多くの日本人は多文化を欲していない。現に、ベトナム人が大量に入って来ているからと言って、ほとんどの日本人はベトナム語やベトナム文化に興味を持とうとしない。単に、日本企業が高賃金・好待遇を払う環境を整えずに、「使い捨てしやすい外国人を集めているのを「多文化共生」と言っているだけだ。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
企業は明確に「人材使い捨て」を志向するようになった
考えて欲しいことがある。私たち日本人は政治家に「日本を外国人まみれにします」と一言も言われていないし、それについて議論もしていないし、知らされていないのだが、いつの間にか日本は「外国人受け入れ世界4位」となっている。
これは2018年にOECD(経済協力開発機構)が「3カ月以上滞在する予定で日本に来た外国人」で、日本は51万9683人であったことから、そのように言われている。ちなみに、上位国は「ドイツ、アメリカ、スペイン」である。
3カ月以上滞在する予定で日本に来る外国人はもっと増えるだろう。そして、5年以上日本に暮らす外国人も永住権を取る外国人も激増するだろう。そして、彼らは国外にいる家族を日本に呼び寄せていくはずだ。
いったい、いつから日本はこんなことになったのか。
日本は2000年代の小泉政権時代から、竹中平蔵が「クビに出来ない社員なんて雇えないですよ」と言いながら非正規雇用者をどんどん拡大させていって「若者使い捨て文化」に入れ替わった。
この時代から企業は明確に「人材使い捨て」を志向するようになり、非正規雇用者だけでなく、低賃金・悪条件で働く外国人を取り入れるようになったのだ。この低賃金・悪条件の労働者の主力になったのが、外国人技能実習制度で入って来た外国人だった。
私たちは「外国人が大量に入って来る」と聞いたらアメリカやヨーロッパの白人が大量に入って来るようなイメージを持つのだが、彼らは少数派だ。実際には、貧しい中国人やベトナム人の若者が外国人技能実習生として…..(この記事の続きは、書籍『亡国トラップ─多文化共生─』で読むことができます)