これらの一連のフェイクニュースが、ヒラリー・クリントンの落選とドナルド・トランプ大統領の誕生につながったのではないかとして、米民主党支持者の多くが激しく憤っている。
以後、これらのフェイクニュースを垂れ流しにしていたフェイスブックの企業イメージは急激に悪化しており、今もそれが続いている。
反ドナルド・トランプが多いハリウッドでも、フェイクニュースの発信源となったフェイスブックを公に批判しており、たとえば俳優ジム・キャリーも「アカウントを削除して、株を投げ捨てちまえ!」と呼びかけている。
一方で、メディアもまたドナルド・トランプ大統領に対する大量のフェイクニュースを量産しており、記事を書いた記者が懲戒免職に追いやられたり、新聞社が謝罪して記事を取り下げるような事態も起きている。
大量の情報が流れるようになって、人々は的確な判断ができるようになったのではない。逆だ。人はより判断に迷い、戸惑い、間違うようになっている。(鈴木傾城)
情報が大量に手に入る時代になっても見通しが悪い
世の中は情報化によって、見通しが良くなったのか? いろいろな情報を手に入れることができるようになって、物事は判断しやすくなったのか?
答えはすべて「ノー」だ。
今まで手に入らなかった情報がたくさん手に入る時代になっているのに、世の中は一向に見通しが良くならない。それはフェイクニュースの蔓延以外にも多くの要素がある。
たとえば、高度情報化社会が生み出した複雑性だ。
文明は年々高度化しているところを、情報化社会はさらにその高度化を一歩上の次元に推し進めていった。それによって社会がさらに「複雑化」していった。
大量の情報は必然的に大量の意見、異論、反論、方法論、分岐を生み出す。それが世の中の複雑化を加速させる。だから誰もが全体像を見失い、世の中で何が起きているのか誰もが分からなくなった。
様々な情報を手に入れることができるようになって、物事が複雑化する方向に進み、逆に事実関係が判断できなくなってしまったのだ。
そして、この傾向はスマートフォンからウェアラブルに、知能が人工知能に、労働力がロボットになることで、もっと深まっていくことになる。複雑化が極まっていく。
何らかの予測をするには、単純な世界であればあるほど精度が高い。予測するための要素が少ないからだ。
しかし複雑化した世の中では、あまりにも予測のために考慮しなければならない要素が多すぎて、しかもそれらの要素が密接に絡み合うので、予測が不可能になっていく。
社会が複雑になれば、その複雑さを説明するための情報が大量になるのだが、そうした情報が増えれば増えるほど複雑さは累進的に増えていき、結局は全体を見通すことが不可能になる。
世の中が完全に「予測できない」ものへと化す
インターネットで全世界がリンクした。グローバル化によって全世界がリンクした。これによって、世界の片隅で起きている事件が全世界に悪影響を及ぼすことになってきた。
グローバル経済の問題は世界を崩壊させるかもしれない。あるいは、世界各国の国家の膨大な累積債務が世界に影響を与えて世界経済を崩壊させるかもしれない。
中国の異常な政治体質やバブル崩壊が世界を激震させて世界経済を崩壊させるかもしれない。EUが分解するかもしれないし、中東の混乱はさらにひどくなるかもしれない。
これらのすべては日本にも関連する。
今後、世の中がさらに発展し、さまざまな事象が絡み合って互いに影響を与えるようになると、世の中がまったく「予測できない」ものへと化していく。
あまりにも、世の中に変動を与える要素が複雑に絡み合ってしまって、考えなければならないこと、注意しなければならないこと、分析しなければならないことが山のように増える。
その結果、超高性能コンピュータを駆使しても、世の中がシミュレーションできなくなる。
これは、国家や行政が、自らの手で社会をコントロールすることができなくなることを意味している。またマスコミの世論操作も効かなくなる。すでにそうなっている。
複雑化した社会が暴走して、誰も止めることができない。制御できなくなるというのは、混沌さを生み出す元になるのだが、これがまた世の中の予測を難しいものにする。
こうした爆発的な複雑さを抱えた現代は、かつてのように心から信じられるものを喪失させてしまい、精神的な拠り所も安心をも奪い、人々を心理的に不安定化させていく。
もちろん、日本人も大量の情報に巻き込まれて安定感をとっくに失っている。
情報化で私たちに真実に辿り着くというのは妄想だ
こうした社会の複雑化と共に、満ち溢れる情報の中にフェイクが混じってより混沌化しているのが現代の姿だ。
世の中が大量情報化で不安定化しているのは多くの人たちが感じている。
グローバル化から逃れられない以上は複雑化が止められず、より混沌とした大量情報の中で人々は荒海の小舟のように翻弄されていく。
十年ほど前まで、日本人は国際ニュースにはまったく興味なかった。
しかし、社会がグローバル化していくにつれて、世界の動向が日本の存続を揺さぶることに気付くようになり、誰もが否応なく世界に目を向けるようになった。
世界には国連加盟国だけでも193ヶ国もある。今までは日本という国だけを見ていればよかったのに、今後は193ヶ国に関心を持たなければならなくなった。
この時点で日本人はグローバル化によって193倍の複雑化を抱え込んだということになる。
そして、グローバル化が進むにつれて、日本もまた周辺諸国との対立や軋轢に巻き込まれるようになっていき、プロパガンダやデマやフェイクによる日本中傷が、日本人をダイレクトに攻撃するようになってきた。
大量の情報が、複雑化した上に危険な暴走をも見せるようになっているのだ。
あまりにも多くの問題や対立が国境を越えて広がるようになっていき、本来であれば人々を合理的にするはずの情報が世界中の人々を翻弄していくようになっている。
人々は大量の情報は持っているが真実を見失い、判断に迷い、戸惑い、間違い、やがては自分をも見失っていく。
情報化で私たちに真実に辿り着くというのは妄想なのだ。何かを検索しても、それで真実に辿り付けるわけではない。むしろ大量の異論、反論、方法論に接して真実を見失う。
日本の状況も深刻で致命的だ。何しろ日本は、マスコミ自体が中国・韓国・北朝鮮のシンパや工作員どもに乗っ取られて意図的なフェイクニュースをまき散らしており、今や「マスゴミ」と称されるような末期症状に入っている。
マスコミの情報は、もはや公害と言っても等しいレベルだ。ゴミのようなマスコミが発信するゴミのような情報は、それが大量であればあるほど深刻な害を与える。(written by 鈴木傾城)
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情報化で真実に辿り着くというのは妄想だ。むしろ大量の異論、反論に接して真実を見失う。さらに日本ではマスコミ自体が意図的なフェイクニュースをまき散らして世の中を混乱させている。マスコミに接して真実を見失うのだから、日本の状況は本当に深刻で致命的だ。https://t.co/4l5ZMEksFS— Keisei Suzuki (@keiseisuzuki) 2018年2月13日
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