すべての人が「金が欲しい、もっと欲しい、今すぐ欲しい」と思っているのは、現代が資本主義だからである。資本主義を否定する共産主義者でも「金が欲しい」と思って活動しているし、宗教をやっている人であっても「何がなくてもまずは金」という世界になっている。
誰も「金、金、金」と言いたくないが、金がない以上は生きていくことができないのだから仕方がない。私たちは主義が何であれ、主張が何であれ、ひたすら金のことを考えている。
資本主義で生きるというのは、金に興味がない人にも「金が人生の中心になるように強要される社会」で生きるということでもある。戦国時代は暴力と共に生きることを強要され、中世の時代は宗教と共に生きることが強要される。資本主義の時代は金と共に生きることを強要されるのだ。
しかし、ほとんどの人は「金」そのものに関心は持っていないのだと思う。
なぜそう思うのかというと、「金があったら、あれも買いたい、これも買いたい。あれも欲しい、これも欲しい」と「金を使う方面」を向いている人の方が圧倒的多数だというのを知っているからだ。
本当に金が好きな人は、買いたいものも欲しいものは必要最小限にして、金を貯めること「だけ」に喜びを感じる。モノを買う、サービスを受ける、金を払って体験することよりも、「金を貯める、金を増やす、金だけ欲しい」というのが本当の意味で「金が好き」な人なのだ。
「モノよりも金、サービスよりも金、体験よりも金」という人は、たぶん放っておいても金は貯まる。貯めるのが趣味なのだから、それはそれは、嬉々として貯める。
しかし、普通の人は金が好きなのではなく、実は金で買える他のモノが好きなだけなのだ。だから、金を貯める・増やすことに対しては実はあまり真剣ではない。

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