「全財産をドル資産にするなど馬鹿丸出し」と嘲笑されたのを私はまだ覚えている

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アーク・インベストメント・マネジメントという投資ファンドを率いるキャシー・ウッドは、1970年後半に投資の世界に足を踏み入れ、ジェニソン・アソシエイツ社に18年勤務し、チーフエコノミストとして活躍してきた。

さらに2001年から十数年、アライアンス・バーンスタイン社のチーフ投資責任者として、130億ドルの資産を運用し、2014年にはいよいよ自身の投資会社「アーク・インベストメント・マネジメント」を設立したのだった。

キャシー・ウッドのこのファンドは、破壊的イノベーションを引き起こす可能性のある企業に投資するというスタイルで華々しい注目を浴びた。

ところが、2022年になると彼女の投資していた銘柄がことごとく不調に陥り、旗艦ETFであるアーク・イノベーションは、ピーク時から75%以上下落するという惨状となっている。

キャシー・ウッドは株式市場や投資先の企業に大きな知見を持ち、キャリアも長く、長らく実績を残してきた「凄腕」のファンドマネージャーである。ところが、そのキャシー・ウッドさえも相場の動きなんか読めないというのが、その成績を見てもわかる。相場の動きは誰にもわからない。

別に、これはキャシー・ウッドが無能だというわけではない。多くの凄腕のアナリスト、著名な投資家がさまざまなヘッジファンドを立ち上げて市場に挑戦するのだが、市場は常に想定外の動きをして、彼らを葬り去っていく。

ノーベル賞受賞の経済学者が運営にかかわった著名なヘッジファンド「LTCM=ロング・ターム・キャピタル・マネジメント」も散っていった。ジュリアン・ロバートソンが設立したタイガー・マネジメントも大損失で散っていった。

ニコラス・マオウニスの設立したアマランス・アドバイザーズも90億ドル以上の資産を運用するまでに成長したが、最後は挽回できないほどの大損失を出して散った。ベイマン・キャピタルもトップトレーダーたちを集めて資産運用したが、やはり大損失で消えていった。

ずば抜けた頭脳を持って高度な戦略を組み立てて市場に挑んでいった天才たちでも、市場は読めないのだ。誰も先が見えていなかった。

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