ドナルド・トランプ前大統領は、7月16日にメディアのインタビューの中で、全世界の投資家を震撼させる発言を述べた。
「我々はなんて愚かなんだろう。台湾は我々の半導体事業をすべて奪った。彼らは莫大な富を得ている」「我々は保険会社と何ら変わらない。台湾は我々に何もしてくれない」「台湾は防衛費を我々に支払うべきだと私は思う」……。
半導体はアメリカの未来を左右する最重要物資である。その高性能半導体のほぼすべてを製造するのが台湾だ。
この状況がアメリカの安全保障にとって脆弱なものであるというのはバイデン政権も理解していて、だからこそバイデン政権は米国CHIPS法で高性能な半導体の製造をアメリカ国内に戻そうと動いている。
しかし、2030年までに限ってもアメリカでの製造を戻せるのは全体の20％程度でしかなく、80％は台湾か米国外で製造される。そのため、アメリカにとって台湾は地政学的にも非常に重要な拠点である。その台湾を足蹴にするというのは、アメリカのイノベーションを破壊することにもつながる。
結局、トランプのこの発言によって、不確実性を嫌う投資家、ウォール街、そして半導体が必要不可欠なアメリカの巨大企業群は、トランプ前大統領を支持する理由が完全に消えた。
もともと、メガテックも半導体セクターもグローバル企業で、トランプの掲げる米国第一主義とは対立するのだが、台湾敵視発言でますます溝は深まる。
自分たちのビジネス基盤が急激に破壊されることを望まないのであれば、半導体ビジネスの根幹部分を破壊しかねないトランプ前大統領を推すことはできなくなったということでもある。
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