金融市場において、プロフェッショナルから一般投資家まで、多くの人々が経済指標やテクニカル分析を用いて相場の動向を予測しようと試みている。
金利の推移、チャートのパターン、失業率の変動、消費者物価指数(CPI)の動きなど、さまざまなデータを駆使して市場の先行きを占おうとする姿勢は、投資の世界では珍しくない光景だ。
しかし、こうした努力がかならずしも利益に結びつくわけではない。むしろ、多くの場合、期待した成果を得られないことが多いのが現実だ。
経済指標の発表後の市場反応は、しばしば予想を裏切ることがある。良好な経済指標が発表されたにもかかわらず、市場が下落するケースや、その逆のパターンも珍しくない。相場は、予測どおりには動かないのだ。
テレビで天気予報を報じる若い女性が「明日は晴れです」といっても、どしゃぶりの雨になったりするのと同じだ。アテにならない。これは、市場参加者の期待値と実際の数値との乖離、あるいは他の要因が複雑に絡み合った結果であることが多い。
「利下げしたら株価は上がるはずなのに下がった。市場は間違っている」という人もいるかもしれないが、間違っているのは本人かもしれない。たとえば、公開されている情報はすでに株価に織り込まれていた可能性もある。
つまり、利下げする前から市場はとっくに利下げを織り込んでいて、新聞やニュースで報じられた段階で、今度は売りにまわる投資機関が出てきたら、「利下げで株価が下がる」というのも十分にある。
さらに、短期的な相場の動きは、しばしばノイズや投機的な要因に左右される。日々の株価の変動は、企業の本質的な価値の変化を反映しているというよりも、投資家の感情や一時的な思惑によって引き起こされていることが多い。
そうなると、相場の動きは結局はカオスとなる。さまざまなデータを駆使して市場の動きを予測しようとしていた時間は「無駄だった」「ただの暇つぶしだった」ということになる。何もしなくても同じだったのだ。
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