米ドルMMFでで現金を待避させつつ、注意して2025年の株式市場を見つめていきたい

米ドルMMFでで現金を待避させつつ、注意して2025年の株式市場を見つめていきたい

基本的に、2025年は現金を備える年にしたい。しかし、次の買い時がいつやってくるのかはわからないので、状況に合わせて動きたい。2025年に動乱がやってきたら、即座に動けるように準備だけはしておく。具体的には、米ドルMMFで高い利回りを得ながら、状況を注視し続ける。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

米ドルMMF(マネー・マーケット・ファンド)

2025年はETF【VTI】などのコアを保持する一方で、サテライトとして保有している株式を処分して、現金を保有する予定でいる。べつに暴落に備えているわけではなく、米国株式市場が上がりすぎだと思うので、利確して、次の買い時のための現金を備えたい。

基本的に、2025年は現金を備える年にしたい。しかし、次の買い時がいつやってくるのかはわからないので、状況に合わせて動くつもりだ。もし2025年に動乱がやってきたら、即座に動けるように準備だけはしておく。

現金はそのまま寝かせてもいいのだが、次の買い時が当分先になる可能性もある。現金はただ置いておくだけならまったく増えない。この現金の「置き場」として役に立つのがマネー・マーケット・ファンド(MMF)である。

私の場合は米国株を売っても日本円にする予定はないので「米ドルMMF」を使う。

マネー・マーケット・ファンド(MMF)は、短期金融市場に投資するための投資信託の一種である。流動性が高く、安全性の高い金融商品に資金を振り向けることを目的としている。

これらの金融商品には、短期国債、コマーシャルペーパー、銀行預金証書(CD)などが含まれる。MMFは、投資家に対して安定したリターンを提供する一方で、流動性を確保し、リスクを最小限に抑えるよう設計されている。

企業は余剰資金をMMFに預けることで、即時に引き出せる流動性を維持しながら、定期預金よりも高い利回りを得ることができる。個人投資家にとっても、MMFは普通預金の延長線上にある商品として認識されており、資産を安全に運用しつつも利息を得る手段となる。

すでに私の資金の一部は米ドルMMFになっている。具体的には「ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンド」を使っている。

フルインベストの電子書籍版!『邪悪な世界の落とし穴: 無防備に生きていると社会が仕掛けたワナに落ちる=鈴木傾城』

元本確保、流動性確保、高い利回り

米ドルMMFは、投資対象を米ドル建ての資産に限定している点が特徴だ。これは、ドルベースでの資産管理やリターンを求める私のような投資家に適している。

頻繁にドルを日本円に転換する投資家や、日本円ベースで物事を考えている投資家は、為替リスクが大きなデメリットとなって浮上する。ドル安、つまり円高になると、米ドルMMFの資産が減るので、為替損をそのままかぶることになってしまう。

私の場合は、長期にわたって(場合によっては一生)ドル資産を日本円に転換する予定はないので、為替リスクは重視しなくても問題ない。この点は、他の投資家とは立場が違うかもしれない。

MMFは「元本をなるべく確保しつつ、流動性が高く、なるべく高い利回りを約束する」という目的で運用がおこなわれている。そのため、運用会社は金利リスクや信用リスクを慎重に管理している。

短期国債はリスクが低いものの利回りは限定的だ。一方でコマーシャルペーパーやCDは若干のリスクを伴うが、より高い利回りを提供する。そのため、この二者のバランスを取ることが、運用会社の腕の見せ所となる。

このバランスが崩れたとき、MMFでも元本割れすることがある。つまり、MMFは「安全性」が謳われているが、リスクはゼロではない。実際、2008年の金融危機では、一部のMMFが投資家に約束した元本を維持できなかった。

したがって投資家は、このMMFの利便性とリスクの両方を理解して米ドルMMFを保有する必要がある。ただ、総合的に判断すると、米国株に投資している投資家の「現金置き場」として、米ドルMMFは安定性と流動性と利回りが得られる重要な選択肢であるのは間違いない。

その米ドルMMFの具体的なものとして「ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンド」がある。これは、世界的な金融サービス企業であるノーザン・トラストが運用する米ドルMMFである。

『邪悪な世界のもがき方 格差と搾取の世界を株式投資で生き残る(鈴木傾城)』

歴史と信頼性からしても信頼に足る

「ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンド」は、通称「楽天・米ドルMMF」とも呼ばれている。ノーザン・トラストは1889年に設立され、長年にわたり、顧客に高度な資産運用サービスを提供してきたシカゴの企業だ。

金融サービスを利用する場合は、一にも二にも運用企業の信頼性が重要だが、ノーザン・トラストはその歴史と信頼性からしても、十分に信頼に足る企業であるともいえる。

このノーザン・トラストのMMFも、短期国債、銀行預金証書、政府機関債など、信用リスクが低い資産に幅広く投資されている。これにより、個別の資産のリスクがファンド全体に与える影響を最小限に抑えられている。

また、運用期間が短いため、金利変動の影響を受けにくい設計となっている。短期金融市場は一般的に金利の変動が激しいが、このファンドはそのリスクを巧みに管理している。

興味深いことに、ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンドは、特に機関投資家に支持されている。機関投資家は、大量の資金を安全に運用しながら流動性を確保する必要があるため、このようなファンドは理想的なのだ。

現在(2024年12月25日時点)、この「ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンド」の利回りは4.045%となっている。ちなみに、楽天証券で買える他の米ドルMMFとしては、以下のようなものがある。

日興USドルMMF(年換算利回り=3.879%)
GS米ドルファンド(年換算利回り=3.973%)

GSというのは、もちろん「ゴールドマン・サックス」のことである。このいずれも、日本の個人投資家にとって、手軽に米ドル建て資産へのアクセスを可能にする商品として利便性が高い。

『亡国トラップ-多文化共生- 多文化共生というワナが日本を滅ぼす(鈴木傾城)』

サテライトの部分のみを現金化・米ドルMMF

MMFは長期で持つべき資産ではない。株式に長期で投資していれば得られるはずのリターンを逃すことになるし、特に低金利環境では魅力が著しく減少するし、長期的にはインフレ率に負けてしまう可能性が高い。

あくまでも、短期的な資金運用が必要な場合や、安全性と流動性を重視する場合に適している。特に、金利が上昇局面にあるとき、MMFは定期預金や普通預金と比較して競争力のある利回りを提供することができる。

アメリカの金利でいうと、2025年はあと2回くらいの金利引き下げがあるはずなので、なおさら米ドルMMFは魅力が下がっていく。しかし、現金で置いておくと、金利すらもつかないのだから「現金よりマシ」という意味でMMFは使われる。

MMFに資金を預けることで流動性を確保しつつ、金利収益を得ながら、虎視眈々と市場に入るタイミングをうかがうことができる。

私が2025年に現金をMMFに入れて置くのは、現在の米国株式市場が割高であり、あまり米国株に魅力を感じなくなっていることが大きな理由である。ドルを円に戻して日本株で運用するつもりもない。しかし、現金(米ドル)を遊ばせたくない。

2025年は暴落するとか、そういう予測をしているからではない。投資の見解については、『フルインベスト・メルマガ編』でつねに取り上げているので、そちらを読んで欲しいのだが、私は予測で株式の取引はしない。

暴落するのが100%わかっていれば、持っている米国株のすべてを売り飛ばす。そんなことはわからないので、コアはしっかり保有して、サテライトの部分のみを現金化・米ドルMMFで運用するという話だ。

果たして、2025年はどのような年になるのだろうか。

トランプ政権ver2が開始して、ますます世の中が複雑化していくと思うが、「ノーザン・トラスト・米ドル・リクイディティ・ファンド」で流動性を確保しつつ、注意して株式市場を見つめていきたい。

メルマガ
まぐまぐメディア・マネーボイス賞1位に3度選ばれたメルマガです。より深く資本主義で生き残りたい方は、どうぞご購読して下さい。最初の1ヶ月は無料です。

鈴木傾城のDarknessメルマガ編

CTA-IMAGE 有料メルマガ「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」では、投資・経済・金融の話をより深く追求して書いています。弱肉強食の資本主義の中で、自分で自分を助けるための手法を考えていきたい方、鈴木傾城の文章を継続的に触れたい方は、どうぞご登録ください。

株式市場カテゴリの最新記事