まだ間に合う。2025年は凋落する日本の中で自分が助かる道を模索したほうがいい

まだ間に合う。2025年は凋落する日本の中で自分が助かる道を模索したほうがいい

日本国民の半分が政治に無関心となって選挙もいかなくなってしまっているのだから、政治情勢はますます悪化していく。そんなことは国民もわかっている。わかっているが、国民は30年も馬鹿な政治家に裏切られ続けてきたのだ。すでに、政治で日本を変える試みは失敗しているといえる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

選挙なんかやっても半分は投票にもいかない

日本についてはさまざまな見方があるが、私自身はもう日本が経済的に力強く回復できる臨界点(ティッピング・ポイント)は過ぎてしまったので、あとは不可逆的に衰退していくだけの国になったと見ている。

かつては世界第2位の経済大国として君臨し、技術立国として世界を牽引してきた日本だが、そんなのは30年以上前の「昔話」である。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛されたこともあったが、今は出遅れて取り残される一方だ。

端的にいうと、政治家の無能がそれをもたらした。

貧困層の増加、少子高齢化問題の解決不能、外交能力の欠如、成長戦略の遅れ、政策推進力の欠如、円安対策の失敗、長期的視野の欠如、労働生産性向上策の不足、物価安定と経済成長のバランス欠如など、あらゆる面で政治家の無能さが露呈している。

困窮する人々は増加するばかりで、少子高齢化問題は社会保障制度の崩壊をもたらしかねない。外交能力の欠如は、国際社会における日本の発言力を弱め、成長戦略の遅れは日本経済の競争力を著しく低下させている。

このような状況下で、日本政府は有効な対策を打ち出せずにいる。

政策推進力の欠如は、必要な改革を遅らせ、円安対策の失敗は輸入物価の上昇を招き、国民生活を圧迫している。長期的視野の欠如は、将来を見据えた戦略的な政策立案を妨げ、労働生産性向上策の不足は、日本経済の成長を阻害している。物価安定と経済成長のバランス欠如は、デフレ脱却と経済再生の両立を困難にしている。

今の政治に期待できるものはない。実は大半の日本人はそれをわかっているので、もう選挙なんかやっても半分は投票にもいかない。政治が好きな人はSNSで燃えているが、大半の日本人は冷めていて「かかわりたくない」という感情でいる。

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それくらい日本人は政治不信になっている

もちろん、日本国民の半分が政治に無関心となって選挙もいかなくなってしまっているのだから、政治情勢はますます悪化していく。そんなことは国民もわかっている。わかっているが、国民は30年も馬鹿な政治家に裏切られ続けてきたのだ。

選挙にいっても、ハニトラに引っかかる政治家、利権にむらがる政治家、公約を守らない政治家、売国反日活動家の政治家、国籍不明の政治家、カルトべったりの政治家、アイドル崩れの政治家、寝てばかりの政治家、他の国のために働く政治家、世襲の無能政治家、国会に出席しない政治家、税金を食い物にする政治家の中から誰かを選ばなければならないのだ。

普通の国民からしてみたら「馬鹿とクズと無能の中から誰かひとりを選ぶ」という選択を強いられているように感じてしまうのだ。

しかも、その馬鹿を選んだら、その馬鹿を自分たちの税金で養わないといけないし、その馬鹿は自分たちに重税をかけてくる。なぜそんなのをわざわざ選ばないといけないのか、という話である。

与党は無能だとはわかっているのだが、野党はもっと無能だというのも、すでにわかっている。新興の政党は変なカルトみたいな人間が騒いでいるだけだし、一部のまともな議員は、ただの政治的不満のガス抜きのマスコットでしかない。

国民の半分は「どれを選んでも無駄だ」というのを実感している。社会調査研究センターの世論調査によると、74%の人が日本の政治を「信頼していない」と回答しているくらいだ。74%というと、もう国民の4分の3である。

これだけの人々が政治を信頼していないというのは、なかなか壮絶な事実である。政治の不満は単なる一時的なものではない。それは、30年にわたって蓄積された、深刻な不信感を示している。この根深い不信感が、投票率の低下に現れている。もう国民は氷のように冷めてしまっているのだ。

私自身はこのまま日本が凋落していくのを見るのが耐え難いので、政治的には強い意見も持っている。だが、大半の日本人はまったくそうではない。

ほとんどの人にとっては、「政治家という、うさんくさい人間とかかわりたくない」という感情のほうが強い。だから、「うさんくさい人間を選ぶための儀式」である選挙に、時間を取られたくないと思う。

客観的に見ると、今の政治システムは機能不全を起こしているといえる。「だから、それを改善するために、より政治にかかわるべき」と思うのは、政治に敏感な一部の意識の高い人の考えである。大半の日本人は、「無駄なものに首を突っ込みたくない」と思っている。

それくらい、日本人は政治不信になっていることを政治家は知っておくべきだ。

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次のような事態はかならず起こる

政治家は無能だし、日本人はもう政治を見放している。政治を見放しているから、ますます日本は凋落していく。負のスパイラルが30年も続いた結果、さらなる凋落は決定的になった。

もう日本が凋落から逃れられないというのを理解したら、その次に考える必要があるのは、「どれくらいの悪影響が自分に降りかかってくるのか」という点である。日本が経済的に凋落していくと、少なくとも次のような事態はかならず起こるし、すでに起こっているものは悪化していく。

・年金支給額の減少や支給開始年齢の引き上げ
・医療保険制度の縮小、自己負担額の増加
・介護保険サービスの縮小や利用者負担の増加
・経済縮小による雇用の不安定化
・非正規雇用の増加と労働条件の悪化
・公的教育支援の縮小による教育費負担の増加
・奨学金制度の縮小や返済条件の厳格化
・物価上昇に伴う生活必需品の価格高騰
・公共サービスの有料化や料金の値上げ
・貯金による資産形成の困難化
・公共インフラの維持管理の困難化
・地方自治体のサービス縮小や破綻リスクの増大
・若年層の負担増加と将来不安の高まり
・高齢者の生活水準低下リスクの増大

これらの影響は、個人の生活の質を直接的に低下させる。経済的セーフティーネットの消失は、個人が予期せぬ事態や経済的困難に直面した際の支援が弱まることを意味するわけで、日本人の貧困化はより深刻なものになってしまうだろう。

すでに日本人は1,200万人が相対的貧困のレベルにまで落ちている。若年層なんかは、「男は闇バイトで強盗、女はパパ活か路上で売春」の世界になっているのだが、中高年もそうなってしまうだろう。

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今から準備しても、まだ間に合う

そういう状況であるのがわかったのであれば、私たちはこれからどこに力点をおかなければならないのか理解できるはずだ。すでに政治を変えて日本を立ち直らせようとする試みは失敗している。

今後は日本社会の経済的なセーフティーネットは消え去り、いったん経済的に困窮したら、政府や行政はこれまでのように手厚く助けてくれなくなってしまうことを意味している。不幸な境遇になったら、自分で何とかしなければならないのだ。

すでに企業も従業員を雇いたくないし、雇うとしても安く雇いたいし、雇ってもいつでも切り捨てる体制でいたいと考えているので、昔みたいに終身雇用で面倒を見てくれるわけでもない。

最近は家族の絆も薄くなっているし、親も子供を手厚く面倒を見るような金銭的余裕はないのが普通だ。つまり、これからは自分ひとりの力で経済的サバイバルをしなければならないのだ。

たとえて言えば、巨大な船が沈んでいく途中では、沈まないように努力するのは意味がある。しかし、もはや沈むのが止められないのがわかったら、もう沈まないように努力するよりも、今度は自分がいかに助かるかに注力しなければならない。

すでに、こうした状況を察知している鋭敏な感覚の持ち主は、早くから日本に見切りをつけて資金を外国にキャピタルフライト(資産逃避)させていたり、生活をダウングレードしたりしていたはずだ。

2025年も日本の政治経済は変わるとは思えないし、アメリカはトランプ政権がふたたびスタートするので、日本はとことん翻弄されるだろう。2025年は、今まで何もしていなかった人も、凋落していく日本の中で自分が助かる道を模索する契機にしたほうがいい。

巨艦は沈むまで時間がかかる。今から準備しても、まだ間に合う。

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