アメリカと中国が貿易戦争に突入したが、アメリカは中国に圧勝する

アメリカと中国が貿易戦争に突入したが、アメリカは中国に圧勝する

ドナルド・トランプ大統領は、まだ「大統領候補」だった頃から、「中国から雇用を取り戻す」としばしば発言してきた。そして、その具体的な方法としてこのように述べた。

「すべての中国製品に関税をかける」「アメリカ企業が中国に建てた工場を取り戻す」さらに中国がアメリカに対してハッキングを仕掛けていることにも触れて「アメリカ政府の情報を盗んでいる」と断言し、「これを止めさせる」とも言った。

それは選挙に勝つために言ったアメリカ人に耳障りの良い「できもしない公約」だったのか。いや、ドナルド・トランプは本気でそれを実現しようとしていたのだ。

2017年、トランプ大統領はアメリカの企業に「工場はアメリカに作れ」とあちこちの多国籍企業に圧力をかけて、アップルが製造の一部をアメリカに移転、フォードもメキシコ工場を中止した。

そして2018年3月22日、トランプ大統領は中国に対して知的財産関係の輸入品に関税を含む報復措置を取り、さらに5月3日には米中通商協議でファーウェイやZTEをアメリカ市場から締め出しすという措置を中国に通告している。

トランプ大統領は中国との対立を恐れていない。最初から「対立するつもり」で大統領になっていたのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

 

中国との関係悪化など何とも思っていないトランプ

中国のハイテク企業であるファーウェイやZTEのスマートフォンは「ハッキング端末」であると言われている。

ユーザーのSNS、連絡先、通話記録、電話番号、端末の識別番号を72時間ごとに中国のサーバに送信する機能が組み込まれていたのは2017年にはFBI、CIA、NSAを含むアメリカの情報機関のトップが上院情報委員会でも報告している。

ドナルド・トランプは2016年の大統領選で「アメリカ政府の情報を盗んでいる」と言っていたが、これは本当のことだったのだ。

中国の端末が勝手に顧客の情報を集めているという「事実」は数年前から広く知れ渡っていた。

しかし、中国という巨大な市場で金儲けしたいアメリカの多国籍企業の意向もあって、オバマ前大統領はこれをまったく問題視しなかった。

オバマ政権は中国に対して徹底的に弱気だった。「何もしない、何もできない」大統領だったのだ。そして、アメリカの多国籍企業も、中国との関係悪化を望んでいなかった。

しかし、ドナルド・トランプは当初からグローバル化よりも「アメリカ第一」を掲げており、中国との関係悪化など何とも思っていない。

だから、中国に対して強硬的なピーター・ナヴァロ氏やジョン・ボルトン氏やマイク・ポンペオ氏などで脇を固め、確実に中国を追い込んでいる。

ファーウェイやZTEは中国が作り出した「国策ハイテク企業」だ。中国はこれらの企業を使って全世界に中国の影響力を広げ、アメリカのハイテク産業をも中国の支配下に置こうとしていた。

トランプ大統領は明確にこれらの企業をアメリカ国内から締め出した。そして「もしアメリカでの事業を継続したいのであれば、17億ドルの罰金と監視強化を受け入れろ」と中国に通告している。

これに対して中国は2018年6月2日に、マイクロン・テクノロジーと韓国2社を「独占禁止法違反の疑い」で調査に入り、事実上アメリカへの報復に入っている。

 

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「中国がアメリカを強姦するのを放っておかない」

ドナルド・トランプ大統領は、中国と徹底的に敵対する道を「あえて」選んでいる。

だから、ファーウェイとZTEの締め出しはほんのジャブであり、これからいよいよ本当の「貿易戦争」の幕が切って落とされる。

トランプは大統領になってから、「国家通商会議」という専門の組織を設立し、そのトップにピーター・ナヴァロ氏を起用している。

ピーター・ナヴァロ氏は、カリフォルニア大学アーバイン校教授なのだが、アメリカきっての「反中派」として知られる人物で、実際に中国を批判する著書をいくつも書き、さらに反中のドキュメンタリー映画も製作している。

著書『米中もし戦わば』は日本でもよく知られているが、これを読むと分かる通り、ピーター・ナヴァロ氏は中国の策略を完全に見切ることができる優れた観察眼を持った人物だ。

そして、ドナルド・トランプが「中国製品に45%の関税をかける」というのを「支持する」と当初から言っていた学者のひとりでもある。

ドナルド・トランプが信頼しているのがこのピーター・ナヴァロ氏である。

こうした「反中国」の人物を、トランプ政権で重要な役割を果たすと思われるホワイトハウス直属の「国家通商会議」のトップに据えたのだから、ドナルド・トランプのメッセージはこの上なく明確なものである。

「アメリカと中国の貿易戦争」は避けられないのだ。

すでに中国とアメリカは互いに貿易戦争を開始している。現在は、ファーウェイとZTEがやり玉に上げられてマイクロン・テクノロジーが報復の対象になっているだけだが、これから問題は一気に拡大していくことになる。

 

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中国共産党が崩壊したら、国そのものが崩壊する

実際に中国とアメリカの間で貿易戦争が起きたら、中国が大きなダメージを受けるのと同時に、中国の報復によってアメリカもまた無傷ではいられない。

つまり、グローバル経済は米中の対立に巻き込まれて激しく動揺する。これが意味するところは、アメリカの株式市場もまた波乱を余儀なくされる確率が高いということでもある。

ドナルド・トランプとその陣営もそれが分かっている。しかし、分かった上で乱打戦を仕掛け、最終的にアメリカが勝つ方向に賭けようとしている。

乱打戦というのは、互いに相手を殴り合うことだ。

中国は「自分たちの製品に高額関税をかけるというのであれば、中国も報復する」と警告している。2018年に入ってから実際にそうなっている。

では、この乱打戦がエスカレートしていったとき、最後まで立っていられるのはどちらなのか。

それは言うまでもなくアメリカである。

アメリカの対中輸入規模は中国の4倍もある。貿易戦争が始まってアメリカが中国の製品を入れなくなったら、中国はアメリカの4倍のダメージを受けるということだ。

それに、中国で作れるものは他国でも作れる。アメリカは単に自国生産に切り替えるか、あるいは輸入先を他の国に変えればいいだけだ。アメリカはそれほど困らない。

一方で中国はアメリカという巨大市場を失って壊滅的ダメージを受け、それによって中国国内で失業者が溢れると、その失業者が中国共産党の大批判に動き出す。

中国は一党独裁なので、中国共産党が崩壊したら中国という国そのものが崩壊することになる。

こうした事態を避けるためには、中国は必死で貿易戦争を回避するしかない。貿易戦争がこのままエスカレートしていくと、最終的には中国が致命傷を負うので習近平は必ずどこかで折れる。

しかし、その結論に至るまで、中国はありとあらゆる策略と揺さぶりをかけてアメリカを追い込むことになる。それでもトランプ大統領は最初から中国と対立するつもりで大統領になったので、トランプの中国に対する攻撃も止まらない。

この米中の戦いは、全世界を大きく揺るがすことになる。(written by 鈴木傾城)

 

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中国はありとあらゆる策略と揺さぶりをかけてアメリカを追い込むことになる。しかし、トランプ大統領は最初から中国と対立するつもりで大統領になったので、トランプの中国に対する攻撃も止まらない。この米中の戦いは、全世界を大きく揺るがすことになる。

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