日本人は現金決済にこだわって前が見えていない危険な状態

日本人は現金決済にこだわって前が見えていない危険な状態
ロイヤルホールディングスは、2017年11月1日に支払いを電子マネーやクレジットカードだけにした実験店「ギャザリングテーブル・パントリー」という店を出している。

この店は人手不足に対応するために、注文はタブレット端末で行い、さらに支払いも電子マネーやクレジットカードに限るという斬新なものだ。

ウエイトレスやウェイターが注文を取りに来て、帰りに現金で支払うという部分を、タブレット端末と電子決済を使うことで効率化する。

すでに様々なスーパーやコンビニでもレジで電子マネーを使う人が出てきているのだが、今後はこうした支払い方が普通になり、現金決済は排除されていく流れになっていく。

ファストフードでも、「セルフレジ」と言って、大きな液晶パネルで注文を選ぶシステムが実験的に導入されている。ここでも支払いは電子決済である。

アメリカのマクドナルドでは2014年に従業員が「賃金を上げろ」とデモを起こしたところ、マクドナルドの回答はこの「セルフレジ」だったというオチだった。

賃金引き上げのコストを増やすよりも、雇用削減のイノベーションを取り入れることを選択したということだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

現金決済では、もう次の時代を担うことができない

すでに、セルフレジと電子決済のシステムで合理的かつスピーディーに注文処理を受けることができる。それによって、企業は回転率を上げながら雇用を削減することが可能だ。

回転率が上がることによって売上が増え、雇用を削減することによって利益が上がる。

「回転率を上げて、さらに雇用の削減もできる」というのは、企業にとっては二重のメリットがあるのだ。だから、世の中はこの方向に向かって走り出す。

「人に注文を取ってもらい、現金で支払う」というやり方は古いやり方になり、こうしたやり方に固執している店は価格競争の中で敗退して消えていくことになる。

さらに、いつまでも「注文は人に取ってもらいたい、支払いは現金でやりたい」という人も、気が付けば時代に取り残される。

今の世の中は、「デジタル化できるものはすべてデジタル化される」という流れになっており、この流れの中でいかに合理性を自分の生活に取り込めるかで、次の時代に生き残れるかどうかが決まる。

買い物ひとつでも、より安く、より早く、より合理的に商品を手に入れるために、インターネットで多くの店を比較検討して最も安く最も信頼のおけるところから買い物をするのは当たり前になっている。

だから、ここに特化したアマゾンは世界最大手の小売り企業となり、創業者のジェフ・ベゾスはビル・ゲイツやウォーレン・バフェットを抜いて世界最大の金持ちに成り上がったのだ。

未だに「インターネットでの買い物は信用できないし、クレジットカードも使いたくないので、インターネットでは買い物は絶対にしない」という人もいるのだが、もはや今の時代では理解を得られない。

それでも彼らは生きられるのだが、現代の利便性を享受できていない人として捉えられる。

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次の時代にわざわざ取り残されることを宣言するな

別に世の中がデジタル化しているからと言って、すべてをデジタル化する必要はまったくない。アナログにはアナログの良さがあって、それを評価できることは素晴らしいことでもある。

しかし、デジタル化の流れを意固地になって拒絶していたり、それが時代に逆行する反逆者のように思えて格好が良いとか勘違いしていると、やがては取り残されることを覚悟しなければならない。

巨大なパラダイムシフトは、それに乗り遅れれば乗り遅れるほど生活に支障が生じていく。

かつては、自動車が普及していく中で馬にこだわった人もいただろうし、CDが普及していく中でレコードにこだわった人もいただろう。すべて時代に取り残された。

そろばんは電卓に取って変わり、電卓はパソコンに取って変わり、そのパソコンも今やタブレット端末やスマートフォンに取って変わろうとしている。

それぞれの時代の流れの中で、時代を先取りできる人もいれば、逆に時代に取り残される人も出現する。

日本ではいまだに「スマートフォンは必要ない、ガラケーで充分だ」と発言する人がいて、しかも、そうした発言に拍手したりする人もいる。

こうした人は次の時代にわざわざ取り残されることを宣言している人であり、まったく賢明ではない。

スマートフォンは単なる情報端末ではなく、「知能拡張」のためのツールでもあるので、「スマートフォンは必要ない」と言っている人は「知能は必要ない」と言っているも同然だ。

知能万全の社会で「知能は必要ない」という選択をするのは、自らを無能に落とすと宣言しているわけで、これは大きな、そして愚かな選択肢である。

日本人には今も「ガラケーで充分だ」という人がいるのだが、これは美徳ではない。とても危険な立場に自分を追いやっている一種の自殺行為でもある。

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超巨大なパラダイムシフトがマネーの分野で起きる

紙の紙幣と小銭を使って現金決済するというのも、それにこだわっていると次の時代に取り残される元凶と化す。

マネーは資本主義の世界を貫いている最も重要な要素なので、この部分で遅れてしまうのは、資本主義の根幹から弾かれる可能性すらもある。

2000年代はパソコンができない人が、みんな就職や転職でふるい落とされた。

この時代に非常に重要なアプリケーションはエクセルだと言われていたが、エクセルは主に「マネーの計算」をするためのソフトだった。

2010年代はインターネットができない人が、みんな就職や転職でふるい落とされた。

インターネット時代にはサーバーサイドで動くデータベースが重要視されているが、このデータベースもまた「マネーの情報」を蓄積する必須のシステムである。

パソコンもインターネットも、マネーの「取り扱い」で重要な部分であったから、ビジネスで重要視されていたと言っても過言ではない。

2020年代は、いよいよ紙幣と小銭がデジタルの世界に取り込まれていき、電子マネーが主流になる。

電子マネーを使い、電子決済をすることによって、今後は収支をコンピュータの中でデジタル管理することができるようになり、それによって信用の構築にも差が生まれる。

そうすると、電子マネーの取り扱いができない人が、みんな就職や転職でふるい落とされる時代がやってくる。

また電子マネーを掌握した企業、あるいは電子マネーを最も効率的に使っている国家が、次の時代の覇権を握ることになる。これは、新たな「産業革命」と言っても等しいインパクトを持つものである。

だからこそ、私たちは今のうちに電子マネーに移行し、早い段階で慣れておき、その癖やメリットやデメリットを評価できるようになっていなければならない。

超巨大なパラダイムシフトがマネーの分野で起きようとしているのに、日本人はあまりにも現金決済にこだわりすぎて前が見えていないように感じる。

国を挙げてこの分野を強化しないと、日本は致命的なまでに時代遅れの国となってしまう。(written by 鈴木傾城)

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もうクレジットカードすらも、スマートフォンに取り込まれた。超巨大なパラダイムシフトがマネーの分野で起きようとしているのに、日本人はあまりにも現金決済にこだわりすぎて前が見えていないように感じる。

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