菅義偉よ、お前もか。日本経済はすでに消費税でダメージを受け回復不可能か?

菅義偉よ、お前もか。日本経済はすでに消費税でダメージを受け回復不可能か?

タバコを吸えばタバコ税という法外な罰金を取られる。「タバコ税という罰金を取られたくなければタバコを吸わなければいい」と誰もがタバコを吸う人に言う。消費税も同じことが言える。消費すれば10%も税金を取られることになる。消費税という罰金を取られることになるのだ。罰金を取られないためにはどうするか。当然だが、「消費しなければいい」という話になる。


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「消費税」で内需を殺した自民党

ほぼ次期総裁になるのは確実な情勢になっている菅義偉(すが・よしひで)官房長官は、2020年9月10日にテレビでこのように述べた。

『引き上げるという発言はしないほうが良いと思った。だが、どんなに頑張っても人口減少は避けられない。将来的なことを考えたら、行政改革は徹底して行った上で、国民の皆さんにお願いをして消費税は引き上げざるを得ないのかなと思った』

しかし、これが批判されると、翌日には一転して『将来的な話として答えた。あくまでも、(10年後の)その先のことを念頭に置いた話だ』と言い繕った。しかし、国民はこの一連の流れで自民党はいずれ消費税を引き上げるのだろうと直感した。

日本政府は、それをやるつもりだ……。

日本経済は内需で拡大し、内需で成長している国だったのだが、日本政府は1989年に「消費税」というものを取り入れて、内需を殺すことに全力を注いだ。

消費したら政府が横から出てきて税金を持っていく。それは消費を罰するのと同じ効果がある。最初3%だった消費税という罰金は、やがて5%になり、8%になったのだが、それで止まらず10%になり、さらに上がっていく。

高齢層は真っ先に消費を絞ったが、バブル崩壊以後、本来であれば購買意欲の強い若年層さえも消費しなくなっている。贅沢品も売れなくなり、車も売れなくなり、若者の消費離れが話題になった。

しかし、消費したら罰金が取られるのだから消費しないことで対策するのは当然の結果である。

それでも国が消費税を上げるというのであれば、国民はさらに消費しないことで防衛するしかない。当たり前だ。消費したら罰金を取るというのであれば、消費しない生き方が正しい生き方になるのである。

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消費税は日本経済を負のスパイラルに

消費税が撤廃されるまで、消費が戻ることは決してない。政府は何も考えずに消費から税金をふんだくるのだが、企業は消費してもらわなかったら自分たちが死ぬので、必死で消費させようとコマーシャルを打つ。

このコマーシャルが極限まで人間の欲望を刺激してくる。

「買え、買え、買いまくれ」とコマーシャルは叫び、無防備にテレビなどを見ている人から洗脳される。しかし、いくら企業が消費して欲しいと思っても、日本政府がどんどん消費税を引き上げていくと、人々は消費を減らす方を優先する。

コマーシャルで煽っても消費税がブレーキをかけるのである。

売上が上がらなければ企業は従業員を減らしたり、賃金を削減したり、正社員よりも非正規雇用者を増やす方向に走る。そうすれば、日本人の賃金は下がる。賃金が下がっていく一方なのに消費税はとめどなく上がっていく。

すると、人々はますます消費を減らす。消費税は日本経済に大きなダメージを与え、負のスパイラルに陥れる。

それだけではない。賃金も下がり、消費税によって生活に大きな負担を感じる若年層はとても未来のことなどを考えることもできず、結婚することも子供を産むこともなくなる。少子化が進む。

少子化が進む中で、同時に高齢化も進んでいく。日本では世界でも最悪の「高齢者増加国家」である。すでに総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は28.4%となり、3588万人が高齢者である。

この割合は今後も急激に増えていき、社会保障費は莫大に増えていく。そうすると日本政府はそれを理由にしてますます消費税を引き上げて、人々はますます消費しなくなる。そういう構図になっているのに、日本政府は何も考えずに消費税を引き上げ続けて日本を破壊しているのである。

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ミニマリストが増えていくのは当然

タバコを吸えばタバコ税という法外な罰金を取られる。「タバコ税という罰金を取られたくなければタバコを吸わなければいい」と誰もがタバコを吸う人に言う。

消費税も同じことが言える。消費すれば10%も税金を取られることになる。消費税という罰金を取られることになるのだ。罰金を取られないためにはどうするか。当然だが、「消費しなければいい」という話になる。

消費税がどんどん上がっていく日本の社会では、消費するライフスタイルは不利であり、愚かであり、無駄である。消費するたびに政府に金を毟り取られるのだから、消費しないことが今後のライフスタイルの最重要課題となる。

ここ最近、ミニマリストと呼ばれる人たちが日本の中でも増えている。ミニマルというのは「最小の」という意味だが、消費する生活を見直し、最小の持ち物で楽しく生きていこうという考え方がミニマリストの考え方である。

なぜ、このような考え方を持った人たちが増えているのかというと、「消費すること」がもはや大きな意味を持たなくなり、これからの時代には不利なライフスタイルになるという直感が彼らにあるからだ。素晴らしい直感だ。

消費すればするほど罰金を取られるのだから、対策として消費しなくても楽しい生き方を追求するライフスタイルが生まれるのは必然だった。

ミニマリストの生き方は、政府が「消費したら消費税で金を毟り取ってやる」「8%どころか、10%でも12%でも15%でも、どんどん上げてやる」という姿勢を持っている限り、今後の正しいライフスタイルとなる。

日本政府は消費税を引き上げることで、「消費しない人」を増やしているのだ。それは素晴らしい生き方ではあるが、その結果として日本企業はどんどん衰弱していくことになり、さらには日本経済が、日本文化が、日本という国そのものが衰弱していくことになる。

消費税で日本は死んでいくのである。

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日本人は税金を取られすぎている

コロナによって貧困層はさらにダメージを受けている。日本の貧困層が悲惨な状況に陥っているのは書籍『ボトム・オブ・ジャパン』でも触れた通りだ。

消費税が上がっていくと、現代の日本の社会の底辺で広がっている貧困層が、本当に生活に必要なものでも何も買えない状態に陥っていく。

日本の貧困層とは生活保護受給者を見ても分かる通り、圧倒的に高齢者である。そこに母子家庭や障害者家庭が含まれる。

さらに貧困予備軍として単身女性や非正規雇用者が夥しく存在するのだが、収入と生活が不安定な彼らも10円単位でを収支をやりくりしながら生きている。そのため、消費税が2%上がっただけでも苦境に堕ちていく。

日本の社会はもう十分にダメージを受けているのだ。それなのに、消費税を上げていくのだから自滅もいいところだ。いかに政治家や官僚が何も考えていないのか分かるはずだ。

データとしても、消費税がかけられるようになった1989年から日本の内需やGDP成長率が壊滅的なことになっているのが出ているのに、それでも消費税を止めようともしないし、下げようとしないし、撤去もしない。

はっきり言って、日本の経済政策は言語道断だ。

この消費税という最悪の経済政策を破棄しないというのであれば、日本人は「消費しない」ことでサバイバルせざるを得ないわけであり、ミニマリストのように消費しないライフスタイルが正しいということになる。

消費税という税金が続くのなら、消費は不利で消費しないことが有利になる。だから、合理的で賢明な日本人が消費から離れていく。これでは日本の復活はない。

大事なことだから改めて強調したい。
消費税という税金が続く限り、日本の復活はない。

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