時代が危険な方向に変化しており、日本も侵略の対象にされている以上は、変わらなければならない。「平和を唱えていれば平和になる」「憲法九条があれば日本は平和」みたいなお花畑の精神構造から早く抜け出し、懸念国から日本を防衛できるように動くときがきている。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com
「国」という巨大な存在でも消滅する可能性がある
日本人は、国民や民族がどんなに危機に瀕しても国は残ると勘違いしている。それもそうだ。数千年に渡って大和民族の国が続いてきた日本に住んでいれば、あたかも国は永遠に生き残るような錯覚を抱いても不思議ではない。
しかし、国内の政治的混乱や衝突、周辺国の侵略、戦争、飢餓や伝染病や高齢化による人口の減少、天災などの国土の破壊などのさまざまな理由で、「国」という巨大な存在でも消滅する可能性がある。それが世界の常識だ。
実際、第二次世界大戦後にこの地球上から消滅した国々の数は183ヶ国もあると、吉田一郎氏はこれを著書『消滅した国々〜第二次世界大戦以降崩壊した183ヵ国』でまとめている。
この78年近くで183ヶ国もの国が文字通り「消えてなくなってしまった」のである。
世界は常に変わりゆく。そんな中で国も民族も危機に晒されるときがくる。その対応を間違うと、どんな国でも消滅する。日本は例外だろうか。いや、日本も環境に適応できない国になったら滅亡してしまうだろう。
大和民族は永遠とか、日本という国は不滅とか、根拠もなくそんなことを思って防衛も何もしないでいると、日本人もまた国を失う日が来るだろう。
徐々に衰退していく中で、多くの日本人は「この国はもう終わりだ」と感じるようになってきている。しかし、「国がなくなるかもしれない」と思うところには至っていない。想像すらもしていない。
大和民族は今まで一度も歴史が分断されたことがないので、「これからも起きない」と高をくくっているのかもしれない。
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どんな変化にも対応できる社会システムはない
国家にとっては、環境とは「時代」を意味する。世界は無数の国家が覇を競っている。戦争や、競争や、人口の増減や、資源や、食料生産が有利な国が、他の国を押しのけて隆盛になっていき、やがて世界に君臨するようになる。
時代は常に、確実に、変わっていく。だから時代に合わせて、民族も国家も変わっていく必要がある。
なんらかの環境の変化が起きても「このままでいい」と国家も国民も変化を拒んだら、それが致命傷になって国は衰退するしかない。そして、新しい時代に馴染んだ国民のいる国が次に成り上がる。
かつてうまくいった社会システムも、数十年もしたら成り立たなくなっていくのは当然なのだ。社会は変化するからである。しかし、国家も国民もいったん馴染んだシステムを変えられないので、社会環境が変わったと思っても対応が遅れるのだ。
時代に合わせて変化に対応するというのは、口で言うほど生やさしいことではない。今までの安楽や慣れを捨てて、慣れないことに新しく取り組まなければならないからである。それは苦しいことでもある。
それに、時代が変わるときは、常に今までの権益を守る人間と、新しい時代を代表する人間が互いに壮絶な叩き合いをする。そして、社会が荒れていく。対立が限界を突破して、物理的な衝突を引き起こす場面も起きていく。
そんな対立の中で、国が変わるか変わらないかの分岐点がやってきて、国の命運が決まっていく。
環境が変わっているのに変化するということができなかった国も当然あるわけで、そうした国は歴史の波に飲まれ、そのまま衰退し、滅亡してしまう。歴史はそうやって国の興亡が繰り返されてきた。
国というのは、いつまでもそこにあるわけではない。国が支えていた民族が滅びると、その土地は異国民が居座ってまったく違う国をスタートさせる。滅んだ民族の国は歴史から抹消され、人類の長い歴史の中で「なかったこと」になる。
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今までとは違う異質な時代の変化が生み出されている
現在、世界のいろんな地域で「時代」が変わりつつあるのを人々が自覚するようになっている。中東も、アジアも、欧米も、中南米も、アフリカも、ほぼすべてのブロックで、今までとは違う異質な時代の変化が生み出されている。
たとえば、これまで世界は脇目も振らずにグローバル化を進めてきた。国境を壊し、その国の独自文化を壊し、ヒト・モノ・カネが自由に行き来できる社会を押し進めてきた。今でもエスタブリッシュメントや多国籍企業の経営者やメディアは、グローバル化を盲信している。
しかし、大量の移民が自国に入るようになって多文化共生みたいなものを押しつけられるようになったとき、人々は自国内で「文明の衝突」を経験するようになった。
人種も、宗教も、文化も、道徳観も、何もかも違っている民族がいきなり隣人同士になるのだ。わかり合えない対立はやがて深刻化して衝突し、殺し合いにまで発展し、国内で民族が分断して憎しみ合う。
現代はグローバルな資本主義体制なので、経済環境の変化が変わるとすべての国の環境が変わり、なんらかのショックがドミノ倒しのように世界に波及していく。
ロシアとウクライナの泥沼の戦争も、エネルギー供給や食料供給に問題を引き起こし、これが世界的なインフレを引き起こして、世界経済を混乱させているような社会現象もある。
こうした、あらゆる要素が「時代」を変化させて、ある国を有利に立たせたり、ある国を苦境に落としたりしてしている。
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後戻りできない「時代の変化」が日本を直撃
すでに後戻りできない「時代の変化」が起きている。全世界が、今までとは違う激変に巻き込まれており、否が応でも環境の変化に対応せざるを得なくなっている。日本も時代の変化に巻き込まれている。
経済的にも社会的にも民族的にも衰退が隠せなくなった日本は、いよいよ懸念国からの侵略が日本を蝕んでいくのではないかと真剣に考えなければならない時期に入っている。
たとえば、周辺の敵対国家の言動を見てもわかる通り、これらの国々は明確に日本を敵国として照準を定めており、日本の侵略を虎視眈々と狙っている。これらの懸念国から大規模な政治工作も仕掛けられているし、土地・建物の買収も進められている。
日本は戦後78年も経つのに、まだ核保有もできず、憲法改正もできず、自衛隊を国軍にできず、スパイ防止法も作ることができていない。日本はスパイ天国の国であり、各国の工作員が好き勝手に日本で工作活動に手を染めており、そういった活動に日本は激しく翻弄されている。
今、日本を巡る周辺の環境が危険になっているのに、日本が時代の変化に対応できていないのは、政治家の無能も相まって「日本が情けない国のままでいるように工作されているから」という見方をする人も多い。
スパイ防止法ひとつできないのを見たら、誰もがそう思ってしまうだろう。
いつまでもそれでいいわけがない。時代が危険な方向に変化しており、日本も侵略の対象にされている以上は、「変わらなければならない」のである。
「平和を唱えていれば平和になる」「憲法九条があれば日本は平和」みたいなお花畑の精神構造から早く抜け出し、懸念国から日本を防衛できるような環境に持っていかなければならない。
生き残るためには変化に対応できる国になるしかないわけで、それこそが日本の生き残る道なのだ。変化に対応できなくなったとき、どんな国でも崩壊の危機に瀕してしまう。
そういった意味で、日本は国が存続できるかできないかの瀬戸際にあると言ってもいい段階に来ている。世界を巡る「時代の変化」は留まるところを知らず、日本もまたそうした激変に巻き込まれている。
変わらなければ取り残される。取り残されてしまうと、やがて国家の滅亡がやってくる。戦後183ヶ国もの国が消滅したが、絶対に次の消滅国家を日本にしてはならないのだ。もっと強い危機意識を持たなければならない。