北朝鮮のマレーシアに対する罵倒の裏側に見える民族の気質

北朝鮮のマレーシアに対する罵倒の裏側に見える民族の気質

2017年2月13日に殺された金正男(キム・ジョンナム)は、なぜマレーシアで殺されたのか。

それは、北朝鮮の人間にとってマレーシアはビザなしで渡航が可能な唯一の国であり、工作員が「仕事」をしやすかったからではないかとも言われている。

北朝鮮の工作員たちは東南アジアに巣食って、闇ビジネスにも関わっている。

北朝鮮が東南アジアで偽札をばらまいていたり、ドラッグやニセ薬を売っていたり、北朝鮮では手に入らない物資を秘かに買い集めて本国に送ったりしているのは以前から噂になっており、知らない者はいない。

たとえば、北朝鮮がばらまいていた偽札は精巧な米ドルなのだが、この偽札はタイやカンボジアに持ち込まれて流されているのは1990年代から分かっていた。

タイは観光立国でドルが程よく流通し、カンボジアは自国リエルと並行してドルが一般流通している特殊な国だ。ドルを流しやすい環境にあった。

これに関わっていたのが「よど号ハイジャック事件」で北朝鮮に亡命した田中義三だったとも言われている。

東南アジアに巣食う北朝鮮の工作員たちと金正男

現在、フィリピンではドラッグの摘発でドゥテルテ大統領が大鉈を振るっているが、このフィリピンにドラッグの原料や、ニセのバイアグラのような薬を垂れ流しているのも北朝鮮だ。

フィリピンには韓国人が大量に入り込んでいるのだが、北朝鮮の工作員が韓国人に扮して入り込んでいる。

北朝鮮の人間が、韓国人に成りすますのはたやすい。韓国人はフィリピンの歓楽街で売春ビジネスやドラッグ・ビジネスに関わっているので、なおさら北朝鮮の工作員はビジネスがしやすい環境のはずだ。

2017年2月4日、ドゥテルテ大統領は「韓国マフィアや不良韓国人も、違法行為を起こせば射殺する」と言っている背景には、こうしたアンダーグラウンドがあるからだ。

東南アジア一帯で違法ビジネスを行っている北朝鮮だが、その工作員たちの拠点になっているのが、北朝鮮「国営」のレストランである。

インドネシアにも、ベトナムにも、カンボジアにも、シンガポールにも、タイにも、こうした北朝鮮の工作員が集まるレストランがある。

もちろん、マレーシアのクアラルンプールにも「工作員御用達レストラン」が存在していた。マレーシアは、北朝鮮にとって東南アジアでは唯一ビザなしで渡航できる国だったので、東南アジアの総本山だった可能性がある。

一方で、金正男もまた北朝鮮から命を狙われていたにも関わらず、中国で大人しくしていないで工作員が跋扈している東南アジアをウロウロしていた。

金に困っていた金正男は何らかの裏ビジネスをしていて、暗殺の危険はあるものの、北朝鮮人脈のある東南アジアが外せなかったからだと言われている。

家族はマカオにいて、金正男はシンガポールに滞在している時の方が多かったようだ。マカオもシンガポールも中華圏だが、マレーシアは違う。

マレーシアで暗殺が行われたのは、工作員たちが動きやすかったこともあるのだろう。

北朝鮮に常識は通じないのは、誰でも知っている

マレーシアは北朝鮮の人間たちがビザなしで渡航できる大切な友好国だったはずだ。

しかし、金正恩(キム・ジョンウン)にとってはそんなことよりも、自分の兄である金正男を暗殺することの方が重要だったようだ。

「恩を仇で返す」のは南北の違いはなく朝鮮人の特徴であり、今回のこの事件でも北朝鮮のマレーシアに対する扱いでよく現れている。

金正男が暗殺された後、北朝鮮は「死んだのは金正男ではなくて別人である」「死因は心臓発作だ」と言い張り、執拗に「男の遺体を北朝鮮に返せ、司法解剖はするな」とマレーシアに恫喝していた。

マレーシアはそれを拒絶して遺体を解剖し、VXガスによる殺人であることを断定した。そして、実行犯やその裏にいた工作員たちを逮捕すると、北朝鮮は激高して保釈しろとマレーシアを口汚く罵って圧力をかけた。

北朝鮮の激しい剣幕に、マレーシア側は一時的に事態の収拾を試みて、工作員のひとりである李正哲(リ・ジョンチョル)という男を保釈して国外退去処分にした。

これはマレーシア側の譲歩であった。しかし、朝鮮民族は相手が譲歩すると「自分よりも弱い」と認識する認知バイアスがあるので、これが状況をより悪化させた。

この男は「強引な捜査で精神的苦痛を受けた」とマレーシアに「謝罪と賠償」を要求し、さらに北朝鮮は「マレーシア側は何かを隠し、我々を欺こうとしている」とマレーシアの対応を激しく批判するのだった。

マレーシアと北朝鮮の関係は急激に悪化した。

マレーシア外務省は北朝鮮大使を「好ましくない人物」として追い出し、それの報復として今度は北朝鮮がマレーシア大使に国外退去を求めた。

さらに北朝鮮は、国内にいるマレーシア人の出国を不許可にしてしまった。事実上の人質だ。この後、国交断絶にまで至ったとしても誰も驚かないだろう。北朝鮮に常識は通じないのは、誰でも知っている。

朝鮮民族とは、手を切っておかなければならない

北朝鮮の一連の行動を見ても分かる通り、彼らにとっては友好も常識もまったく意味がない。自分の都合に合わせて友好を謳い、自分の都合でそれを破棄する。

自分で事件を起こしておいて、真実を暴こうとすると逆ギレして相手を激しく恫喝し、罵る。

さらに「マレーシア側は何かを隠し、我々を欺こうとしている」と責任を相手に押し付け、あたかも自分たちが陰謀の被害者であるかのように振る舞う。

そして、自分の言い分が通らないと、ますます怒りを増長させて相手を罵倒し、問題をより大きくして騒ぐ。「恩を仇で返す」ことになっても躊躇しない。

それが北朝鮮のやっていることである。

そして、その行動パターンを見ると、韓国もまた同じような傾向があるのが分かるはずだ。

韓国もまた自分の都合に合わせて友好を謳ったり、それを破棄したりする。そして、自分で問題を起こしておいて、相手が悪いとすべての責任を相手に押し付け、自分たちは被害者のように装う。

まるっきり、行動パターンが同じだ。

つまり、朝鮮民族というのは、そのような異常極まりない傾向を持った民族であるというのが今回の事件での北朝鮮の動きを見れば分かってくる。

私たちが相手にしているのは、そのような民族である。

朝鮮民族はそれによって信頼を失い、自分たちの首を絞めることになるのだが、それで反省するのかと言えば絶対に反省などはしない。ただ、相手を責め続けるだけだ。

マレーシアは毅然として対応しているが、日本はこの一連の動きを他人事のように見ていてはいけない。日本もまた北朝鮮や韓国と対立しているわけであり、日本は明確に彼らの敵意の対象となっているからだ。

完全に手を切っておかなければならない。それも、早急に、徹底的に行わなければならない。価値感を共有していない国と関わると、最後は悲惨なことになる。

金正男暗殺事件で会見するマレーシア当局。北朝鮮の一連の行動を見ても分かる通り、彼らにとっては友好も常識もまったく意味がない。自分の都合に合わせて友好を謳い、自分の都合でそれを破棄する。

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