ブックオフは時代の波に飲まれて凋落し、紙の書籍もまた消えていく

ブックオフは時代の波に飲まれて凋落し、紙の書籍もまた消えていく

「本屋」が街から消えている。1999年には2万2296店あった本屋は2017年には1万2526店となっているので、18年で43%近くの減少ということになる。

実際に店舗として稼働している「本屋」はさらに少ないので、すでに1万軒を割っているのが現状だ。出版社も次々と潰れて出版物も全体的に部数が減少しているので、出版業界は完全に斜陽になってしまったことが窺える。

一時期、本屋の苦境を見て躍進していたブックオフのような中古本販売業者も2期連続の最終赤字を見ても分かる通り、すっかり勢いを喪失して事業は縮小するばかりになっている。

林立していたブックオフの店舗も、どんどん消えている。

採算が取れない店は次々と消えて、残った店舗もパート・アルバイトスタッフの労働時間の調整を行っており、コスト・コントロールでやっとのことで生き残っている始末だ。

すでにブックオフは「書籍」で儲けるのをあきらめて、携帯電話や家電製品の中古品のようなもので何とか事業を継続できないかを模索している。

それが成功するか失敗するかは未知数だが、いずれにしても「本」という商材はブックオフからも徐々に、そして確実に消えていく現状がこれからも続く。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

ブックオフの衰退もまたインターネットが原因だ

街の「本屋」が廃れるきっかけになった理由は複合的だ。

若年層が本を読まなくなったこともあれば、若年層の賃金が低くなって本が買えなくなったことや、インターネットでアマゾンのような巨大インターネット・サイトが台頭したことがまずある。

それ以外にも、ブックオフが比較的新しい書籍を100円や200円で売るようになったことや、電子書籍が台頭するようになったこと等、すべてが絡んでいる。

しかし客観的に見ると、10年ほど前までは「本屋」にとって最大の敵はブックオフであったのは間違いない。

新刊でも少し待てばブックオフで半額かそれ以下で買えるのだから、若年層が新刊にこだわる必要はまったくなかった。

読み終わった本はまたブックオフに売れば買い取ってくれたのだから、紙の書籍はブックオフを中心にぐるぐると回るようになって、普通の本屋は急激に首が絞まるようになった。ブックオフの時代は永遠に続くようにも見えた。

ところが、である。このブックオフもまた、ここ数年で急激に衰退していくようになっていったのである。いったい何が起きていたのか。

街の本屋が廃れていったのはインターネットによる若年層の「本離れ」も大きな要因として挙げられていたが、皮肉なことにブックオフの衰退もまたインターネットだった。

当初、若年層は「紙の書籍を買ってブックオフに売る」というスタイルで生きていた。

しかし、このスタイルが次第に「紙の書籍を買ってメルカリやヤフオク等のネットオークション・サイトで売る」というスタイルに転換するようになっていった。

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ブックオフの殿様商売はもう通用しなくなったのだ

ブックオフは買取価格があまりにも安すぎて、若年層は激しい不満をブックオフに持っていた。いくら大量に本を売っても1冊10円程度にしかならなかったのだ。

商品的に価値がある書籍であっても、新品の書籍であっても、そうでないものも、すべてひとまとめにされ十把一絡げで扱われていた。

それでもブックオフしか選択肢がなかったので、人々はこのブックオフの殿様商売に付き合わされていたのである。

しかし、「インターネットとスマートフォン」の組み合わせの中で、若年層はネットオークションを使いこなすようになって選択肢が増えた。

若者たちはブックオフに本を売るのではなく、ネットオークションで本を売る方が「得する」ことに気づいたのだ。

アマゾンのマーケットプレイス、ヤフーオークション、そしてメルカリ。中古本を売るための選択肢がブックオフ以外にどんどん増えていった。

そして、ブックオフだと10円でしか売れない本が、500円、600円、あるいは1000円、2000円と、それ相応の価格で買ってくれる人がいくらでもいたのだ。

そうであれば、やりとりに多少は手間があったとしても、高く売れる方になびいても当然である。

ブックオフの「買い叩いて書籍を集める」という手法がここで通用しなくなった。つまり、ブックオフの殿様商売がここで終わった。

もちろん、今でもインターネットをうまく使えない中高年や、ネット・リテラシーに欠ける若年層や、ただ大量の書籍を処分したいだけの層もいるので、こうした層がブックオフに本を売っている。だから、ブックオフのビジネスも続いている。

しかし、中古本の販売ルートが増えた以上、もうブックオフに時代の趨勢が移るようには見えない。ブックオフはこれからも苦しみ続けることになる。

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もう「紙の書籍」というジャンルそのものが古い

ブックオフは凋落していく一方だが、だからと言って街の本屋が息を吹き返すわけではない。そして、中古本の市場もインターネットでいつまでも回るわけではない。

なぜなら、もう「紙の書籍」というジャンルそのものが、古いスタイルとなりつつあるからだ。

これから時代を制するのは「電子書籍」である。紙の書籍はもう時代に合わない。重いし、かさばるし、汚れるし、破れるし、検索することもできない。保管する場所も必要だ。

電子書籍になると、手のひらにあるスマートフォンの中に何百冊、何千冊、何万冊も入る。何万冊と言えば蔵書レベルの品揃えだが、それがスマートフォンに入るのである。

スマートフォンの容量に限度があるのなら、それをクラウドに保管して、必要なときに必要な書籍をスマートフォンに送り込むということも簡単にできる。

驚いたことに、紙の書籍でもPDF化してアドビ・アクロバットのソフトウェアに付属しているOCR機能を使うと、文字の検索すらもできるようになっているのだ。眠っていた紙の書籍が自由自在に検索できるようになって蘇る。

私は書籍だけを収納する倉庫さえ持っているくらいだから、誰よりも紙の書籍を愛してきたし、大量に本を読んできたのだが、もう私が紙の書籍に戻ることは決してない。

電子書籍はかさばらないし、汚れないし、破れないし、検索もできるのだから、こうした利便性に慣れていくといかに紙の書籍を愛した人間であっても、時代の波がどちらにあるのか痛感して態度を変えていく。

今はインターネットで紙の書籍が流通しているのだが、やがてはそれも下火になって消えていくことになる。骨董品としての価値がある書籍は残るだろうが、そうでない書籍の多くは電子書籍として形を変えていく。

紙の書籍は残らない。

私たちは覚悟を決めて、もう紙の書籍から脱却するのがこれからの正しい生き方となる。部屋に紙の書籍が大量にあるのであれば、PDF化してスマートフォンやタブレットやパソコンの中に収めていくべきだ。

電子書籍やPDFにすれば、手のひらに大量の書籍を持てる。いつでも読み返せる。検索もできる。これは、大きな知識武装になる。武装した人間は、丸裸の人間よりも圧倒的に強い。

私は知識武装する環境を整えている。あなたも、そうすべきだ。(written by 鈴木傾城)

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紙の書籍はもう時代に合わない。重いし、かさばるし、汚れるし、破れるし、検索することもできない。保管する場所も必要だ。電子書籍になると、手のひらにあるスマートフォンの中に何百冊、何千冊、何万冊も入る。何万冊と言えば蔵書レベルの品揃えだが、それがスマートフォンに入るのである。

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