アメリカではドナルド・トランプ政権が樹立して、「アメリカとメキシコの国境に壁を作る」「中国に関税をかける」と矢継ぎ早に選挙公約を実現しようと動き始めている。
これはアメリカが「外国との対立を辞さない」という立場を選んだということである。他国を犠牲にしてもアメリカは自国第一主義を選ぶと宣言したも同然なのだ。
今後のアメリカは、文字通り「全世界」を敵に回して保護主義に走るのは明白な事実だ。
また、ドナルド・トランプは選挙中に激しくマスコミに攻撃され、今もマスコミからの攻撃は止まっていないことから、既存のマスコミとも激しく対立している。
そのため、ドナルド・トランプ自身がツイッターで情報を発信し、それを台頭してきた「オルタナ・ライト」と呼ばれる超保守系のメディアに取り上げさせ、既存メディアを冷遇し、攻撃する形となる。
これは、マスコミが今まで進めてきた世論操作が効かなくなり、政権を世論でコントロールする能力を失って、政権の暴走を止められないことを示唆している。
つまり、ドナルド・トランプ政権は今後は激しい対立と衝突と混乱を生み出す政権となり、全世界をこうした混乱の波に突き落とすことになる。
EU(欧州連合)に不穏な空気が漂うようになった
「自国第一主義」は世界中で台頭している。特に、今まで「自国第一主義者は極右だ」と言っていたはずのEU(欧州連合)に不穏な空気が漂うようになっている。
すでに何年も前から、EU各国には移民・難民が大量に流入するようになり、次々と解決不能の問題が続出して国民は大きな不満を抱くようになっていた。
文化が破壊され、秩序が崩壊し、異文化が勝手に持ち込まれて強制された。さらに、地域を乗っ取られ、政治を乗っ取られ、暴動やテロを起こされるようになった。
女性は次々と移民たちにレイプされていったのだが、現地のマスコミは一様にそれを報道しなくなった。数百人単位でレイプ事件が起きているのに情報封鎖していたのである。
それを報道することは、多文化共生に反しており、移民・難民たちの差別になるという配慮からだった。
こんな状況をEUの国民が黙って受け入れるはずがない。ところが、公(おおやけ)の場でこうした事実を指摘したら「差別主義者だ」と糾弾されるようになって口を封じられる。
それでも、「こんなのは間違っている」と声を上げる人たちがいて、やがて彼らが政党を作って「今の政治は間違っている」と主張するようになる。
そうすると、「極右政党だ」「差別主義者の集まりだ」と既存のマスコミがレッテル貼りをして激しく攻撃し、糾弾し、「こんなレイシスト団体にかかわるな」と紙面で述べるのだった。
しかし、移民・難民の大量流入は救いがたい社会問題を起こしているのは隠し切れない現実であり、人々はこぞって「極右政党」とレッテル貼りされた保守政党を支持するようになっていった。
オランダでも、フランスでも、ドイツでも、スウェーデンでも、みんな状況は同じだ。
もう人々は、マスコミが押し付ける欺瞞に飽き飽きしていて、マスコミが「極右だ、レイシストだ、ポピュリズムだ」と言っても耳を貸さなくなった。
マスコミがそう叫べば叫ぶほど、逆にマスコミの方が「偏向している」と見捨てられるようになっていったのだ。
オランダ総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ議会選挙
2016年は時代が転換した年として記憶されることになる。
グローバル化を推し進めるメディアが世界中で敗北するようになっていき、2016年6月23日にはイギリスがEU脱退、さらに2016年11月9日にはアメリカではドナルド・トランプが大統領戦を制した。
イギリスのEU離脱とトランプ勝利は、グローバルメディアはいずれも「想定外」と言ったが、想定外というよりも、自分たちの世論操作が効かなくなったことの驚きと言った方が正しいのかもしれない。
この流れは2017年に入って止まったわけではない。ドナルド・トランプ政権が誕生したことで、世の中は混沌としており、さらなる「想定外」が次々と生まれる可能性も考えられるようになっている。
EUでは今年は、いくつかの重要な選挙を控えている。
3月 オランダ総選挙
4月 フランス大統領選挙
8月 ドイツ議会選挙
オランダ、フランス、ドイツは、かつては移民・難民たちに非常に寛容な国であった。
ところが皮肉にも、今や大量の移民・難民たちがこの3ヶ国に流入して国内が大混乱した結果、今やこの3ヶ国の国民がマスコミが「極右だ」とレッテル貼りしている保守政党に支持が集まるようになっているのである。
当然だ。治安悪化にテロ続出に文化崩壊している最中に、「多文化共生」みたいなお花畑の理想主義を押し付ける既存政党が正しいと思う人がいるわけがない。
「移民・難民は出ていけ、EUは失敗だ、多文化共生などうまくいかない」と、きちんと現実を見ている保守政党の方に支持が集まっているのが現在の状況なのである。
そのため、2017年のオランダ総選挙、フランス大統領選挙、ドイツ議会選挙は、非常に重要なイベントとなる。
オランダでは、「自由党」のヘルト・ウィルダース。フランスでは、「国民戦線」のマリーヌ・ルペン。ドイツでは、「ドイツのための選択肢」フラウケ・ペトリが注目されている。
EUの理念は、もはや崩壊寸前になっている
選挙は蓋を開けてみないとどうなるのか分からないのだが、確実に言えるのは、この各国の保守政党は決して泡沫政党ではないということだ。充分に勝算はある。
ドイツに関しては、フラウケ・ペトリ氏がどうなるかというよりも、EUの盟主であるアンゲラ・メルケル首相が再選できるかどうかが重要だ。
メルケル首相の再選が為されなかった時、EUの弱体化は避けられないものと化す。
では、仮にこの三者が全員敗退したら、EUは安泰なのか。それが、必ずしもそうとは言えないのが現在の状況である。すでに国民の多くはEUという仕組みに限界と不満を感じており、現状に満足していない。
それなのにEUという欠陥のある枠組みが維持されるとなれば、むしろ国民の不満はさらに巨大なものになって、よけいに事態を悪化させる可能性がある。
EUはもう機能不全を起こしている。これは、もうグローバルメディアがどのように隠蔽しようとしても、隠蔽できないものになっている。
オランダの台風の目になっているヘルト・ウィルダース氏は、「オランダ人のアイデンティティーは、イスラム教の重圧を受けて消滅の危機にある」と訴えている。
さらにオランダの現職の首相であるマルク・ルッテ氏も2017年1月23日に各新聞会社に意見広告を出したのだが、これがこのような内容のものだった。
“Act normal, or go away!”
(普通に振る舞え。さもなければ出ていけ)
現職の首相が移民・難民に対して「もしこの国に住んでいて、お互いへの接し方にそれほどイライラするなら、打つ手はある。出ていけ!」というのだから、いかに苛立っているか分かるはずだ。
「ヒト・モノ・カネ」を自由にして多文化共生を強制するEUの理念は、もはや崩壊寸前になっているのである。