最初からトランプ大統領は中国を敵として認識していたのだ

最初からトランプ大統領は中国を敵として認識していたのだ

バラック・オバマは何もしない、何もできない口先だけの大統領だったので、中国はずいぶん図に乗ってアメリカを見下すようになっていた。

しかし、ドナルド・トランプはオバマのように何をされても何もしない大統領ではない。「やられたら、確実にやり返す」タイプである。

そのため、今までアメリカにずいぶん舐めた口を叩いていた中国は、ドナルド・トランプ政権が発足してからほとんどアメリカを見下すような発言をしなくなった。

もうすでにアメリカと中国の闘争は始まっている。トランプ政権は反中派にして強硬派が勢揃いしており、これから起きるのはアメリカによる中国攻撃である。

貿易においても、軍事においても、通貨においても、トランプ政権はすべての面で中国を攻撃し、追い詰めていく。

2018年5月3日から米中の通商協議が行われたが、アメリカは中国に対して「貿易赤字を引き下げよ」「報復をするな」「最先端技術を国家ぐるみで支援するな」「アメリカの知財を尊重せよ」「アメリカの農家を標的にするな」と次々と中国に要求している。

アメリカと中国の協議は物別れに終わったが、中国がアメリカの強硬姿勢で一気に追い込まれている姿が鮮明になった。時代が大きく変わっているのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

中国の優位性を削ぐという目標がアメリカにはある

中国については、大統領直属の「国家通商会議」のトップであるピーター・ナヴァロ氏も、「中国が超高度経済成長を成し遂げることができたのは、安い価格という武器を使って公正でない反則をしたため」と述べている。

「中国の経済を叩き潰す」という点で、トランプ政権の姿勢は明確である。

軍事ではどうか。軍事においては、トランプ自身が「世界最強の軍隊を作る」と当初から発言している。そして、トランプ自身はオバマのように口先だけではなく、本気で戦争をすることも恐れない。

その矛先はどこに向いているのか。言うまでもなく中国である。

中国も2017年の全国人民代表大会で軍拡を改めて表明しているのだが、中国の軍拡は規模が大きいだけで軍拡の中身が伴っていない。

軍拡は技術力と組織力がモノを言うが、中国はそのどちらでも劣っており、アメリカが明確なる軍拡に舵を取ると中国はアメリカに圧倒されるだけである。

さらにドナルド・トランプ大統領は同盟国に対して核兵器の所有を容認する発言をするようになっている。

アメリカが「核兵器の所有を容認する」と言った時に想定している同盟国とは日本以外にない。

周辺に中国・韓国・北朝鮮という頭のおかしな国家がある以上、日本が防衛のために核を持つのは必然である。平和が第一など、きれい事を言っている場合ではないのである。

「国土を守る」という観点から考えると、いつまでも原発のような隠れ蓑で誤魔化していないで、一刻も早く核兵器を堂々と所有できる国家になるのが現実的な対応である。

中国との対立と衝突に備えて、安倍政権もテロ資金提供処罰法、集団的自衛権の整備、国内の売国勢力を一網打尽にする共謀罪の成立と着実にブレることなく動いている。

その上で日本の核兵器所有を容認することによって、アメリカは中国に対する圧力をより高められると計算している。

それによって中国のアジアにおける軍事的優位性を削ぐという目標がアメリカにはある。

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人民元の防衛には限度があり、それは見捨てられる

通貨についても、アメリカは中国を激しく批判している。

「中国は為替操作国家であり、不正国家である」とドナルド・トランプ大統領も、ピーター・ナヴァロ氏も、そして他の閣僚も、すべて中国を批判して止まない。

当初、ドナルド・トランプは「就任初日に中国を為替操作国指定にする」と言っていたが、就任初日の大混乱を避けてそれを見送っている。

しかし、中国が為替を有利に操作しているというトランプ政権の怒りは継続しており、中国は人民元のコントロールをそのうちに失う確率が高い。

中国が人民元のコントロールを失うというのは、まぎれもなく中国の政治経済の崩壊が始まることを意味する。

中国は今も経済成長していると見せかけて人民元には価値があるかのように振る舞っている。

しかし、すでに中国の経済成長を示すGDP(国内総生産)は粉飾した数字で当てにならず、実態はひどいことになっていることを当の中国人も知っている。

中国政府は人民元の防衛のために外貨準備を取り崩す必要があるが、そうなるとさらに人民元に対する裏付けが消えていくわけで、結果的に人民元の防衛には限度がある。

こうした状況の中で、中国政府は必死になって資金の海外流出を防止しようとしているのだが、中国の愛国心の欠片もない富裕層は逆に必死になって人民元を売って外貨にエクスチェンジしている。

この人民元売りの闇ルートのひとつが、ビットコインだった。2017年のビットコインの上昇は中国人が外貨の獲得のためにビットコインを買いまくっていたからだ。中国政府がその穴をふさぐと、ビットコインの価格は暴落していった。

これは、中国人自身が紙くずになるかもしれない人民元を必死になって売っているということだ。

アメリカとの対立で中国が不利になっていくと、愛国心の欠片もない中国人はどのみちキャピタルフライトする動き大々的に繰り広げる。中国政府はそこでも追い込まれる。

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この次に起きるのは「本丸」である中国の破壊

今まで中国は世界中から投資資金を呼び込んで、他人の金で経済成長を成し遂げてきた。中国に大量の投資を行っていたのはアメリカの多国籍企業だった。

バラック・オバマ前大統領は、その中国とより深い関係を結ぼうとして、当初は中国に媚びるように「G2」を提唱していた。

しかし、中国が傲慢になってやがてアメリカをも見下すようになると、さすがの無能の極みだったオバマも中国に見切りを付けるしかなくなった。

中国は貿易でダンピング攻勢を行い、アメリカにハッキング攻撃を仕掛け、南沙諸島で勝手に軍事拠点を作り上げた。やりたい放題だったと言っても過言ではない。

しかし、中国は虎の尾を踏んだ。アメリカを激怒させたのはAIIB(アジア・インフラ投資銀行)の設立だった。

これはドル通貨基軸による挑戦である。アメリカにとってはドル通貨基軸こそが世界支配の中核だったので、これに挑戦する中国は敵でしかない。

アメリカは、2015年には中国を明確に「敵である」という認識をするようになっている。そのため、アメリカはAIIBに賛同していたEU(欧州連合)を揺さぶりにかけるようになった。

2016年にはイギリスがEUを離脱し、ドイツはVWグループが排ガス不正でアメリカに糾弾され、さらにメルケル首相が難民政策で急激に求心力を失うという流れがあった。

この一連の流れは、その裏にアメリカによるEUへの報復があった。イギリスもドイツもAIIBに賛同した国家である。これらの国家が急に政治的動乱に見舞われた。

さらにAIIBであからさまに中国になびいた韓国も、政権が吹き飛ぶという波乱に見舞われている。

アメリカの覇権の中核にあるのはドル通貨基軸である。この部分に関しての挑戦をアメリカは決して許さない。中国はこの部分に侵食してきている。

とすれば、この次に起きるのは「本丸」である中国の破壊でしかない。

「中国は敵だ」という認識ができて、ドナルド・トランプという強硬派の政権が誕生した以上、中国がこのまま無傷でいられると考えるのは根拠のない楽観論だ。

中国は貿易でも、軍事でも、為替でも追い詰められていく。中国の破壊は仕掛けられている。

アメリカと中国との衝突は始まったばかりだが、日本人が気をつけなければならないのは、決して中国に深入りしてはならないということである。

日本人であれば、中国に投資するというのはあり得ない。(written by 鈴木傾城)

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追い詰められていく習近平。「中国は敵だ」という認識ができて、ドナルド・トランプという強硬派の政権が誕生した以上、中国がこのまま無傷でいられると考えるのは根拠のない楽観論だ。

 

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