世界に注視すべきだ。世界経済の不安定化がじわじわと迫っている

世界に注視すべきだ。世界経済の不安定化がじわじわと迫っている

アメリカとの貿易戦争で報復関税の応酬になっている中国が大幅な株価下落と通貨下落、さらには政治不安も起きて大きなカントリーリスクを露呈させるようになっている。

中国は自力でイノベーションを生み出して発展した国ではない。他国から知財や技術を合法非合法問わず、ありとあらゆる手口で盗み取って「自力発展した」と自画自賛しているインチキ国家である。

中国が経済発展したら民主化すると考えて1990年代から破格の待遇で経済大国化への道を推し進めてきたアメリカも、2015年あたりから中国を見放すようになっていた。

2015年と言えば、まだ前オバマ大統領がアメリカのリーダーだった時代だ。当初は中国と「G2を促進したい」と言っていたオバマも、やっと中国が信用ならない国であると気づいたのがこの年だったのだ。

以後、アメリカは中国に対して一歩下がって関わるようになっていたのだが、ドナルド・トランプ大統領の登場からは一気呵成に中国を締め上げる戦略に転換している。

トランプの中国敵対戦略は「中間選挙のための人気取り」と思っている人もいるが、それは間違っている。トランプ大統領の取り巻きはみんな「中国脅威論」を主張する人物であり、中国を仮想敵国として見ているからだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

中国「だけ」が追い詰められているわけではない?

こうしたこともあって、2018年から中国経済はどんどん悪化するようになっており、それが現在も続いている。

アメリカの報復関税は、2018年7月6日に818品目340億ドル、8月23日に279品目160億ドル、そして6031品目2000億ドルと続く。

中国もまた報復関税に対抗しているのだが、そうやって対抗すればするほどアメリカという巨大市場から締め出されることになるので中国の景況は凄まじく悪化することになる。

このアメリカの中国締め付けは一過性のものなのか。いや、中国警戒論を主張して国際ルールを守らない中国に対して激しい憤りを持っているのはトランプ政権だけでないことに注意する必要がある。

「中国は危険だ。狡猾だ。締め上げろ」というのは、共和党・民主党問わず超党派の認識なのである。そのため、中国に対するアメリカの「攻撃」は長く続くと考えた方がいい。

今後、中国は今までのように他国から技術・知財を盗んで経済発展するビジネスモデルは取れなくなる。中国経済は、今まさに正念場に立たされているのである。

そして、2018年に入ってから中国以外の新興国経済は、アメリカの利上げや当事国の政治的失策で急激に経済悪化が進むようになってきている。

ポピュリズムに走って経済無策と反米左翼ニコラス・マドゥロ大統領の権力独裁で国家崩壊したも同然になっているのがベネズエラだ。(ブラックアジア:インフレ率は100万%。ベネズエラはもはや国家崩壊したも同然の国だ

ベネズエラはマドゥロ大統領が権力の座にしがみついて今の政治的混乱を収められない限り、国は絶対に復活することはない。この国は完全に終焉に向かう。

ベネズエラだけでなく南米の国家は総じて経済指標は悪いのだが、ここにきて再び問題になっているのはアルゼンチンである。

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アルゼンチンは1年持たず国家破綻するのではないか

アルゼンチンは「デフォルト常連国家」なのだが、2018年8月に入ってからのアルゼンチンの経済的見通しは急激に悪化して通貨アルゼンチン・ペソが激しく売り飛ばされている。

そのため、アルゼンチンでもインフレが急激に進行するようになっており、すでに30%のインフレ率に入っている。しかし、これで止まらない。

年末までにはインフレ率は40%を超えていくのではないかと予測されるようになっている。

マクリ大統領は省庁の数を半減させ、輸出品への税金を引き上げ、その上でIMF(国際通貨基金)に追加融資を求めている。

輸出品への税金の引き上げについてはアルゼンチン企業の競争力減退につながるので大きな反発が出てきているのだが、マクリ大統領は「これは緊急事態だということを理解してほしい」と呼びかけてギリギリの国家運営を続けている。

アルゼンチンの財政赤字は2009年から一貫して赤字なのだが、この赤字が急激に膨らんでいるのが実態だ。

当然、市場はこの財政赤字を問題視してアルゼンチンの通貨ペソを売り飛ばすことになるので、通貨安が止まらずそれがますますアルゼンチンのインフレや政情不安を招き寄せる結果になっている。

さらにアメリカは利上げサイクルに入っているので、世界中でリスクを取っていた資金がアメリカに戻る動きも起きており、その理由からもアルゼンチンからドルが流出していく結果になっているのだ。

アルゼンチンは今、破滅に向かって突き進んでいる状況であると言っても過言ではない。今のままではアルゼンチンは1年持たないで国家破綻するのではないか。

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世界経済の不安定化がじわじわと迫っている

アメリカと敵対しているトルコもまた通貨大暴落で政情不安が起きている。

日本人の中でもトルコ・リラが高金利であるとして、FX(為替証拠金)でレバレッジを賭けてトレードしていた投機家も大勢いたが、軒並み通貨暴落に巻き込まれて財産をすべて吹き飛ばす目に遭っている。

高金利というのは「ヤバいから高金利」なのだ。そこに気づかなければあっという間に財産は吹き飛ぶことになる。(フルインベスト:トルコ・リラ大暴落。ヤバい国に関わればヤバい結果になるのは常識

トルコは通貨防衛のために何とかEUと関係を深めようと躍起になっているのだが、EU側はIMF(国際通貨基金)と協議に入るべきとトルコを説得している。

しかし、エルドアン大統領は経済的指揮権をIMFに渡したくないのと、政権の経済運営が失敗であったことを認めたくないのでIMFとの協議には絶対に応じない。

トルコは進退窮まって、何の手を打てないまま状況を悪化させているのである。トルコでも通貨下落によるインフレが止められず、危機的なことになっている。

こうした状況の中で、投資家は新興国に対する投資に二の足を踏むようになり、資金を急激に新興国から引き上げるようになってきる。

南アフリカも農作物の不作が報じられると、これをきっかけにして通貨ランドが2018年9月に入って売り飛ばされるようになった。

混乱は拡大する一方で、新興国危機は東南アジアにも迫るようになっている。

インドネシアでは2018年に入ってからジリジリと通貨ルピアが下落していたのだが、8月に入ってからは劇的なまでに暴落しており、インドネシア株式市場もまた下落に次ぐ下落を避けられなくなっている。

世界に注視すべきだ。世界経済の不安定化がじわじわと迫っている。(written by 鈴木傾城)

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投資家は新興国に対する投資に二の足を踏むようになり、資金を急激に新興国から引き上げるようになってきる。世界に注視すべきだ。世界経済の不安定化がじわじわと迫っている。

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