2018年9月20日、ひとつの節目を迎えてNY株式市場は違う光景になるか?

2018年9月20日、ひとつの節目を迎えてNY株式市場は違う光景になるか?

1980年後半に日本の不動産と株式市場に大量の資金が流れて価格がうなぎのぼりに上昇していったとき、誰もが「バスに乗り遅れるな」と叫んで不動産と株式に資金を突っ込んでいった。

「将来はもっと価格が上がる。今、それを買わないと損する」と言われ、人々は先を争って不動産や株式を買った。

1990年代後半にアメリカでインターネット・テクノロジーという分野が生まれたとき、「これは社会を変え、時代を変える」と叫んで誰もがインターネット関連の企業の株式を買った。

「将来はもっと価格が上がる。今、それを買わないと損する」と言われ、人々は先を争って株式を買い漁った。

2017年に仮想通貨バブルが起きたとき、多くの人が「これからは仮想通貨の時代だ。円やドルのような法定通貨はもう古い」と叫んで誰もがビットコインやアルトコインを買った。

こうした現象は常に起きる。それは不動産や株式や通貨の価格を極限まで高騰させたあと、突如として弾けて莫大なカネを消失させる結末と化す。

バブルの頂点で逃げられれば、巨額の資産を手に入れることができる。しかし、それができない。過去もそうだし、現在も相変わらずそうだ。インターネット時代になって大量の情報が溢れても、結局は誰も世の中を見通すことはできない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

将来を見通すどころか、より混迷してしまっている

かつて人々は情報を手に入れるために涙ぐましい努力をしていた。情報が欲しければ、複数の新聞を読むか、テレビを見るか、関係者にインタビューするか、もしくは図書館に行って関連図書をしらみつぶしに調べるしか方法がなかった。

「調べる」ということ自体が、手間とコストがかかる困難な作業だった。

ところが、時代は革命的に変わった。今ではどこに行かなくても、ただ検索エンジンで何か調べれば、一瞬にしてたちどころに多くの情報が目の前に現れる。

あまりにも情報が溢れ、その情報が膨大過ぎてもはや一人の人間がすべてを消化できないほどの時代になっている。誰もがごく普通に大量の情報を手に入れる。現代は、かつてない大量情報化時代となったのだ。

しかし、大量の情報を手に入れることができるようになっても人間は相変わらず将来を見通せない。将来を見通すどころか、より混迷してしまっている。

大量の情報にまみれればまみれるほど、何が真実で何がフェイクで、世の中の方向性がどちらに向かっているのか、ますます分からなくなっているのである。

大量の情報が、明確な結果を指し示してくれない。ひとつの方向性を示す解決策があれば、逆にその解決策を否定する情報も山ほど見つかる。

今後、日本が崩壊するという情報もあれば、もっと繁栄するという情報もある。成功するためにはこれをしろという情報もあれば、そんなことをしても無駄だという情報もある。

専門家に何かの問題点についてアドバイスを求めても無駄だ。その専門家のアドバイスを打ち消すような情報も大量に溢れているので、ますます世の中が分からなくなっていく。

真実が1個で、残り999個が推測であったとすると、この1000個の中から1個の真実を拾い上げる必要がある。それは大変な作業だ。999個の推測に接しているうちに真実を見失ったとしても不思議ではない。

さらに重要なのは、将来の予測に関する限りその真実さえも決定的ではないということだ。

【金融・経済・投資】鈴木傾城が発行する「ダークネス・メルマガ編」はこちら(初月無料)

世の中は数学のように正解がひとつではない事実

大量の情報に溺れるようになっても相変わらず将来のことなど何一つ分からないことを悟った現代人は、将来を見通すのに「それ」は何の役に立たないことを学び始めるようになった。

大量の情報があるくらいでは「何も分からない」ことだけが分かるようになったのだ。誰も世の中を見通せないし、誰も予言者になることもできない。

もちろん、世の中を動かしているはずの世界的リーダーも、別に世の中が見通せているわけではない。AI(人工知能)なら世の中が見通せるのかと言えば、それも簡単なことではない。

AIを駆使したヘッジファンド「センティエント」が2018年にAIファンドがうまくパフォーマンスを上げられず清算に追い込まれたのを見ても分かる。

どれだけ情報があったとしても、世の中が見通せない大きな理由は、「将来は何も決まっていない」からである。どんなことをしても、「絶対に世の中は見通せない」と言える要因がここに集約されている。

「将来は何も決まっていない」のだ。

決まっていないことに対する見解は、100人いれば100通りの答えが出てきて当然なのである。そして、世の中は数学のように正解がひとつではない。

ということは、どういうことか。それは、未来予測に関しては誰もアテにならないし、自分の直感も信用してはいけないということを意味している。

宗教やオカルトや占いや陰謀論の世界は、暇つぶしには役に立つが自分の人生には何の役にも立たない。アナリストやジャーナリストやコメンテーターの予想も役に立たない。

立派なグラフも、ケインズも、マルクスも、役に立たない。あらゆるものが頼りにできない。それが世の中なのである。

【ここでしか読めない!】『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』のバックナンバーの購入はこちらから。

常識を働かせる時期が近づいているのではないか?

2018年9月20日、NY株式市場でダウ工業株30種平均が過去最高値を更新した。終値は2万6,656ドル98セントだった。

2018年に入ってから相場は崩れかけていたのだが、アメリカの株式市場はアニマルスピリットでこれを乗り切った。

トランプ大統領の周辺で次々と起きているスキャンダル、政権運営の混乱、中国との貿易戦争の激化、新興国の通貨安などの悪材料がある中で、NY株式市場だけがまるで無風地帯を行くかのように上がっているのである。

フェイスブックはフェイクニュースや個人情報流出で叩きのめされ、グーグルは中国に進出するために中国共産党におもねた検索エンジンを納入しようとして批判され、アマゾンはトランプ政権と激しく対立している。

そんな不穏な空気の中で、ハイテク産業の株式もまた上昇している。

混乱は増すばかりなのに、アメリカの株式市場だけが好調というのは、どのような見方をすればいいのだろうか。今後もその好調さは続くのか。それとも、不意に足元がぐらついて暴落していくのか。

アメリカの株式に投資している人々は浮足立っているのだが、本当にここで浮かれていいのか。何か「異常」なことが発生しているのではないか。

将来が見通せない。人々は浮足立っている。しかし、何か得も知れぬ不穏なものを感じる。そうであれば、私たちにできることは何か。

それは、まわりの空気に踊らされず、乗らず、勇気を持って事態を静観し、警戒心を持ち続けることではないか。

暴落がくるかどうかは別に予測しなくてもいい。

それよりも、何が起きたとしても問題がないように資産を構築し直して、被害を最小限にしつつ混乱の最中で攻撃できるように備えておくことではないか……。

NY株式市場は2018年9月20日に節目を迎えた。

今後は、良くも悪くも今までと違った光景が見えるようになってくるはずだ。「備えあれば憂いなし」という常識を働かせるにはちょうど良い時期に入ったということになる。(written by 鈴木傾城)

このサイトは鈴木傾城が運営し、絶えず文章の修正・加筆・見直しをしています。ダークネスを他サイトへ無断転載する行為は固くお断りします。この記事の有料転載、もしくは記事のテーマに対する原稿依頼、その他の相談等はこちらにメールを下さい。

NY株式市場は2018年9月20日に節目を迎えた。今後は、良くも悪くも今までと違った光景が見えるようになってくるはずだ。「備えあれば憂いなし」という常識を働かせるにはちょうど良い時期に入ったということになる。

この記事のツイッター投稿はこちらです

この記事を気に入って下さった方は、リツイートや♡(いいね)を押して頂ければ励みになります。

一般カテゴリの最新記事