「私たちは現金世代」という高齢者を一気にキャッシュレス化させる方法

「私たちは現金世代」という高齢者を一気にキャッシュレス化させる方法

音楽がインターネットに取り込まれ、出版がインターネットに飲み込まれ、テレビや映画ですらもインターネットを介して見る時代になっている。そして今、現金がいよいよインターネットでの決済になろうとしている。

インターネットが「現金」を電子化していくのは、効率性や合理性を考えると避けられない話であり、至極当然の流れである。時代はキャッシュレスに向かって走っているのだ。

キャッシュレスは重要なイノベーションであり、全世界がこの分野で覇権を握ろうとして熾烈な戦いを繰り広げている。この部分を否定していたら、日本という国は時代に取り残され、やがて世界から見捨てられる。

ところが、ジャーナリストだか何だか知らないが、鳥越俊太郎という男が「電子マネー強制社会に怒り」「私たちは現金世代です。支払いはキャッシュじゃないと落ち着かない」とキャッシュレスを全否定している。

この文章は、NEWSポストセブンの『鳥越俊太郎氏(78)が電子マネー強制社会に怒り 「私たちは現金世代」』という記事で読める。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

こうした人間は、企業の効率化と合理化の障害となる

鳥越俊太郎は、ある意味うまく時代に乗り込んでいくことができない高齢者の意識を代弁している部分がある。

この男は『私はガラケーなので困ってしまった』と言っているのだが、この時代になってもスマートフォンを使いこなすことができておらず、新しい時代を頑なに避けているのが見て取れる。

困ってしまったのであれば、さっさとスマートフォンに乗り換えて使いこなせばいいのだが、それをしないのである。

きちんと取り組めばスマートフォンも極度に難しいものではない。最初からスマートフォンの機能のすべてを使いこなす必要はなく、電話とカメラとメッセージの機能だけを使って慣れていけば、電子決済の機能にも手が届くようになる。

しかし、鳥越俊太郎はそうした合理的な判断を欠いている。「今まで紙幣と小銭でやってきた」から「これからもそうするのだ」という、かなり柔軟性に欠けた考え方に凝り固まっている。

鳥越俊太郎はこのようにも言っている。

『ポケットの小銭をジャラジャラさせているから、それが減ると“お金を使った”という感覚が得られる。カードやスマホだと“お金を支払う”という行為を意識しにくいから、ついつい使いすぎてしまうような気がする。ビジネスとしては正解かもしれないけど、私のような現金派としては疑問ですね』

パソコンが会社に入り込んできた時代には「そんなものは上司が触るべきではない。女子社員にやらせておけ」とか言って、パソコンを触らないのを特権だと考えている人間が実際にいた。

結局、こうした人間は企業の効率化と合理化の障害となるので、真っ先にリストラの対象として排除されていくことになるのだが、パソコンがオフィスに入り込んでいた時代には、そうした頭のおかしな人間が実際にいたのである。

キャッシュレスを指して『ビジネスとしては正解かもしれないけど、私のような現金派としては疑問ですね』と言っている鳥越俊太郎は、かつての「私たちは手書き世代だから、キーボードで文字を入力するような行為は手書き派としては疑問ですね」と言っていた人と同じ命運を辿ることになる。

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ここに日本の命運がかかっていると言っても過言ではない

金融とテクノロジーが融合した「フィンテック」は、すでに電子マネーの爆発的浸透によって社会を変えている。この分野で乗り遅れた金融機関は生きていけない。

最近、三井住友フィナンシャルグループは三井住友カードを完全子会社化することを決めている。NTTドコモから三井住友カード株の34%を買い取り、クレジットカードの発行や信販業務を手がけるセディナを傘下に置き、実質的に統合させる。

ここにきて、なぜ三井住友FGはこのような動きに出ているのか。言うまでもなく、次の時代はキャッシュレス事業が主軸になるからである。三菱系も三菱UFJニコスを中心に事業を再編させているが、まったく同じ理由からだ。

楽天は「楽天ペイ」でQRコード決済をすでに始めているし、2018年10月5日にはソフトバンクとヤフーはスマホ決済サービス「PayPay」を開始した。日本でも急激かつ急速に電子決済が普及し始めている。

銀行がうかうかしていると、決済まわりのビジネスをすべて異業種に乗っ取られてしまい、存続の危機に陥りかねない局面にまで来ている。

異業種と言えば、この分野には中国共産党がバックにいる中国のアリババやテンセントのような企業も強大な影響力を持っている。

仮に中国が決済システムの覇権を掌握したら、日本人は日本にいながら中国政府の監視下に入る危険すらも出てきている。(マネーボイス:中国政府に見られてるぞ。日本人が知らない「QRコード決済」の闇=鈴木傾城

世界中の企業がキャッシュレスの覇権を取るために熾烈な競争を繰り広げているわけで、この分野を制した国や企業が莫大な収益を手中にする。

日本はあまりにも出遅れているのは明白で、だからこそ日本人も日本企業も死にもの狂いでキャッシュレスの波に飛び込んでいかなければならないのだ。ここに日本の命運がかかっていると言っても過言ではない。(ダークネス:日本人のこだわりが日本の銀行を凋落させ、日本を金融植民地にさせる

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病院を一気呵成にキャッシュレス化すべきだ

そもそも、日本はなぜキャッシュレスに乗り遅れてしまったのかというと、鳥越俊太郎のようにあまりにも時代遅れ過ぎる感覚を持った人たちが大勢いて、彼らが決して変わろうとしないからだ。

日本人は別に「一億総時代遅れ」になっているわけではない。

10年前は「スマートフォンなんか日本では流行らない」みたいなどうしようもない認識をしている人間もいたのだが、いまや若年層は100%に近い数値でスマートフォンを所有しているし、若年層を中心にキャッシュレスも進んでいる。

しかし、いかんせん日本は少子高齢化が過激に進行して止まらず、「高齢者が多い」国である。

このまま放置していると、日本は少子高齢化の毒が回って地方から崩壊していく危険性も高い。(マネーボイス:日本人は地方を見捨てるのか。2024年、少子高齢化で認知症が這い回る地獄絵図となる=鈴木傾城

日本でキャッシュレスが進まないのは、実のところ高齢者が人口に占める比率があまりにも高く、この高齢者が鳥越俊太郎のように考えて「紙幣と小銭」の世界から抜け出さないからだとも言える。

日本という国がキャッシュレスに乗り遅れたのも少子高齢化を放置したツケなのだ。

そう考えると鳥越俊太郎の発言は、単に「時代遅れな人間が何か言っている」と笑い飛ばせるものではないということに気付く。最も人口の多い層が時代遅れだと国が時代遅れになるからだ。現に、日本はそうなっているのだ、

いったい、どうすればいいのか。

政府、銀行、行政、そして民間団体は、国を挙げてこうした高齢層がキャッシュレスに入れるように、手取り足取り教えて彼らを次の時代に引き上げる試みが必要だ。子供は親を「キャッシュレス教育」しなければならない。

あと、一番いいのは病院を一気呵成にキャッシュレス化することだ。政府が強制的に病院を「現金お断り」にすれば、高齢者は必要に迫られて、何が何でもキャッシュレスに乗る。

政治家も官僚も、それくらい頭を働かせるべきだ。(written by 鈴木傾城)

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日本でキャッシュレスが進まないのは、実のところ高齢者が人口に占める比率があまりにも高く、この高齢者が鳥越俊太郎のように考えて「紙幣と小銭」の世界から抜け出さないからだとも言える。

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