アップルのCEO(最高経営責任者)であるティム・クック氏は、ベルギー・ブリュッセルで開催された国際会議で、このように発言している。
“Our own information, from the everyday to the deeply personal, is being weaponized against us with military efficiency,”
(私たち自身の個人情報、日々のものから非常に個人的なものまで、軍事的な効率性で兵器化されて私たちにぶつけられている)
アップルは常々、最適な広告を出すためにユーザーの個人情報を盗み見て解析するグーグルやフェイスブックのビジネスのスタイルを批判しているのだが、この発言もまたその一環としてなされたものである。
ティム・クック氏は、「グーグルやフェイスブックが軍事兵器レベルの効率で私たちの個人情報を読み取っている」「読み取られた個人情報は彼らの良いように使われている」「それでいいのか?」と問うているのである。
そして、「アップルはそんなビジネスはしない。アップルはユーザーの個人情報は尊重する」と強調している。
この姿勢の違いは非常に重要であり、そして考えるべきことでもある。グーグルやフェイスブックのサービスを使っていると、私たちは軍事兵器レベルの効率性で情報を盗まれくという事実は軽く見るべきではない。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
きちんと使えないほどの劣悪なサービスと化した?
フェイスブックの最高経営責任者であるマーク・ザッカーバーグは明確に親中左派である。
そのため、フェイスブック社内はリベラルの社員が横行して、保守の社員を吊るし上げて回ったり、ユーザーが中国に不利なことを書いたりすると、サービスを使えなくしたりアカウントを削除したりしている。
ザッカーバーグの妻は中国人であり、さらにザッカーバーグ自身も中国語を習得して中国に積極的に食い込むために動いている。
そのため、もはや反中のスタンスを持つ人間や保守系の人間には、それがアメリカ人だろうが日本人だろうが、フェイスブックはきちんと使えないほどの劣悪なサービスと化した。
もう、反中のスタンスを持つ人間や保守系の人間は、フェイスブックと決別しなければならないのである。
日本でも、中国人民共和国のことを「支那(しな)」とフェイスブックで書くとすぐに摘発されるほどの言論封殺をしている。支那(しな)というのは china のから来た昔からある言葉であり、別にそれ自体に何か問題があるというわけではない。
単に「china=チャイナ=支那」という変化形であり、中国を支那と呼ぶことを好む人たちもたくさんいる。
そもそも、日本の鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県の5県のある地区を日本は昔から「中国地方」と呼んでいたので、「チャイナを中国と呼ぶのは日本の中国地方と混同が起きるので好きではない」という人も多いのだ。
しかし、驚いたことにフェイスブックは「支那」という言葉をサービスの中で使わせない。
それがフェイスブックのスタンスであれば、フェイスブックは私企業なのだから好きにしていいと思うが、問題はフェイスブックがユーザーの書き込みを「軍事兵器並みの効率性でのぞき込んで操作するという部分にある。
全世界が、そしてアメリカでもアップルのような企業が、フェイスブックのこうした「ユーザーの個人情報を徹底的にのぞき、利用する姿勢」に疑問を呈するようになっているのだ。
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アップルのようなスタンスを持った企業は重要である
グーグルも、以前からユーザーの個人情報を徹底的に収奪して広告や自社サービスに利用する企業として知られている。個人情報を吸い上げるために容赦がない。
私たちのいる場所から、検索した言葉から、ブラウザの履歴から、メールの内容から、クラウドに保存されたデータまで、私たちのすべてはグーグルに掌握されている。グーグルは私たちのことを想像以上に知っている。
だから、私たちはグーグルが邪悪な企業にならないことを祈るしかないのだが、昨今のグーグルは「邪悪になるな」というスタンスを捨ててしまい、さらにグーグル自身も極秘プロジェクトで中国に参入しようとしていた。
「ドラゴンフライ」と呼ばれるそのプロジェクトは、中国共産党政府におもねた偏向した検索エンジンだったので、グーグルの上層部の変節を危惧した従業員がそれを告発して表沙汰になった。(ダークネス:グーグルは、秘密プロジェクト「ドラゴンフライ」で邪悪になるのか?)
グーグルもまた金儲けのためには何でもするような企業に変わりつつあるのだ。
危険だと思わないだろうか。グーグルのサービスはあまりにも優秀なのだが、グーグルが変質していこうとしている以上は、私たちはゆっくりとグーグル依存から抜け出した方が賢明でもある。
検索エンジンはもはやグーグル以外は役に立たないので、せめてメールや、クラウドや、スマートフォンは、グーグル依存を避ける方がいい。(ダークネス:グーグルはあまりにも優秀だ。だから逆に依存度を下げることを意識する)
そう考えると、アップルのように「ユーザーの情報を盗み見て儲けるようなビジネスはしない」「ユーザーの個人情報はユーザーのものである。尊重する」としっかりと明言してくれているアップルのような企業は、私たちの個人情報を守るという観点では信頼できる企業であると言える。
フェイスブックやグーグルが「武器としての個人情報」を私たちに向けてくるようになっている今、アップルのようなスタンスを持った企業は重要である。
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フェイスブックやグーグルに一極集中すべきではない
もちろん、アップルもまた一企業であり、完全に信頼がおけるのかどうかは何とも言えない。ティム・クック氏が何らかの理由で退任した場合は、アップルもどのように変わっていくのかも分からない。
アップルもまた利益を出すために強引な手法を取ることもしばしばあるわけで、一企業を全面的に信頼するというのは危険なことだ。
だから、いまや全人類の重要なインフラと化したインターネットの中で、ウェブ・サービスは意図的に分散しておかなければならない側面がある。
意図的に使用するサービスを分散させることによって、次世代の新しい仕組みを持った類まれな企業を生み出すことにつながり、私たちの個人情報の堅牢性も高まっていく。
現代の文明はインターネットを核にして文明が再構築されている。
この中で、フェイスブック、グーグル、アップル、アマゾンのような企業が頂点に立ち、君臨している。
しかし、フェイスブックやグーグルのようなビジネスモデルを持つ企業は「本当にそれでいいのか?」と疑問を呈されているわけで、そう考えると10年後のトップ企業の勢力図はかなり変化している可能性もある。
10年前はマイクロソフト・インテルとその周辺企業が頂点に君臨していたのがまるで夢のようにはかなく見えるように、10年後はまったく違う企業が頂点に立っていたとしても不思議なことではない。
もし、「フェイスブックやグーグルが個人情報を食い物にしてユーザーに銃を突きつけている」という考え方をする人々が増えて、こうしたユーザーが何らかのアクションを起こし始めると、盤石だと思われているフェイスブックやグーグルの凋落は早く訪れることになる。
だから、ユーザーも投資家もフェイスブックやグーグルに一極集中すべきではない。栄枯盛衰はこの分野でも起きる。「奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。 猛き者も遂には滅びぬ。偏に風の前の塵に同じ」は真理である。(written by 鈴木傾城)
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もし、「フェイスブックやグーグルが個人情報を食い物にしてユーザーに銃を突きつけている」という考え方をする人々が増えて、こうしたユーザーが何らかのアクションを起こし始めると、盤石だと思われているフェイスブックやグーグルの凋落は早く訪れることになる。
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— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) 2018年10月27日