増税、生活保護受給者激増、少子高齢化の加速。弱者がより危険な社会に

増税、生活保護受給者激増、少子高齢化の加速。弱者がより危険な社会に

日本政府はすでに消費増税を決断し、安倍首相も「2019年10月から税率10%への消費増税を予定通り実施する」と明言している。

税金は高くなっていき、福祉は削られていく。すでに年金の削減は、微細ながらも少しずつ行われているし、医療の自己負担も負担額が上昇している。

しかし日本は、少子高齢化という社会を自滅させる要因を誰も真剣に解決しようとしないので、この状況を好転させることができない。

問題を放置して対症療法をしていても、一時的にはなんとかなっても遅かれ早かれ問題はさらに深刻化してぶり返す。アリ地獄に落ちたアリのように、必死にもがいても地獄に堕ちていくのを止められない状況になっている。

日本の人口は約1億2000万人だが、総務省の2016年9月18日の統計によると、高齢者人口は約3461万人、総人口に占める割合は27.3%にまで上昇している。つまり、日本は3人に1人が高齢者の国である。この割合はさらに増えていく。

高齢者が働くと言っても限度があるわけで、彼らの多くは年金生活に入り、年金がもらえない高齢者は生活保護に頼って生活することになる。

生活保護受給者がうなぎ登りに増えているのも、高齢者が増えているからでもある。そのため、生活保護という制度も、このままではいずれは立ちゆかなくなっていく。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

人口動態の方向性にそのまま直線を引いたら誰でも見える現実

今の日本社会の人口構成や、財政赤字や、社会情勢を見ると、楽観視できるものは何もない。

状況は良くなるよりも悪くなる方向性にあるのは、人口動態の方向性にそのまま直線を引いたら誰でも見えてくるはずだ。高齢化と人口減に歯止めをかけるものは何もない。

こうした日本特有の問題以外にも、グローバル化を突き進んでいくにしたがって鮮明に浮かび上がった世界共通の問題も深刻化している。

たとえば、グローバル化によって全世界で企業間に激しい競争が世界規模で湧き上がっている。すべての企業は厳しい競争社会で勝ち残り、利益を得るためになりふり構わずコスト削減に走る。

商品価格を下げて競争力を付けるためにも、少しでも利益を絞り出すためにもコスト削減が欠かせないからだ。もし利益が出せないと、経営者は無能だとなじられて、株主に更迭される恐れがある。

株主に配当を還元するためにも、自分のクビが飛ばないためにも、経営者は何としてでも利益を絞り出したい。そのために常に行われるのが従業員の給料削減とリストラである。

すでに全世界がグローバル化を受け入れているので、全世界の人々が弱肉強食の資本主義の中でどんどんワーキングプアに堕とされる状況と化した。

日本企業もグローバル化の波に現れて、年功序列も終身雇用も成り立たなくなり、従業員を使い捨てにするROE経営の企業が普通になっている。(フルインベスト:労働の価値が下がり、ますます働く者が報われない社会になっていく理由

日本社会特有の病巣と共に、グローバル化による病巣にも蝕まれていくわけで、「年々、生きにくい社会になっているのではないか」と日本人が思うのは錯覚ではない。

実際、社会環境は急激に悪化しており、誰もが生きにくい社会と化している。そして、これからも弱者が切り捨てられる傾向が続いていく。

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社会にも国家にも企業にも個人にも見捨てられる

これから非人道的なまでに弱者が切り捨てられる社会がやってくる理由は、すべてが複合的に絡まって同時並行で襲いかかってくるからだ。

弱者は4つの存在から切り捨てられる。「社会」が弱者を切り捨て、「国家」が社会を切り捨て、「企業」が弱者を切り捨て、「個人」が弱者を切り捨てる。

「社会」にはどの時代にもその時代の空気がある。その空気の中には、弱者を大切にしようとする時代の空気もあれば、弱者を排除しようとする時代の空気もある。

理想主義の社会であれば弱者を大切にするような空気が芽生えるが、競争主義や拝金主義や利己主義の社会であれば弱者よりも自分が大切だと思って、他人を顧みない空気を醸す。

現代社会は、資本主義が苛烈になるにつれて「金こそすべて」みたいな主義主張をするような浅ましい人間が増えて、弱者を負け犬と嘲笑い、踏みつけにするような社会となる。弱者は社会から見捨てられる。

「国家」も財政赤字が膨らむと、福祉を削減するようになって弱者を切り捨てていく。「企業」もグローバル化による激甚な競争によってコスト削減を常に強いられ、弱者を見捨てて切り捨てていく。

そして「個人」も親族や家族という絆も切れやすくなり、家族の中の弱者を支えたり、面倒を見たりする精神的な余裕も経済的な余裕も失っていく。

高度成長期に何とか経済的に余裕を持った両親はニートや引きこもりの子供を養う余裕があるが、一歩間違えれば生活保護を受けなければならないような両親は、もはやニートや引きこもりの子供を養う余裕もない。

自分たちが弱者になるのだから、他の弱者の面倒を見ることができなくなってしまうのである。みんなが弱者になるので、誰も助けられない。

かくして弱者は、社会にも国家にも企業にも個人にも見捨てられて、いったんどん底に転がり堕ちたら誰からの救済も受けられなくなる。

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どのような現象が進めば切り捨てられていくのか?

現在は生きにくい社会となっており、事あればすぐに弱者が切り捨てられることになるのだが、どのような現象が進めば切り捨てられていくのか。

以下のような現象が進めば、弱者はその時点で切り捨てられていく。

(1)効率化・合理化が進むと、弱者が切り捨てられる。
(2)高度化が進むと、弱者が切り捨てられる。
(3)分業化が進むと、弱者が切り捨てられる。
(4)即戦力が求められると、弱者が切り捨てられる。
(5)専門家が進むと、弱者が切り捨てられる。
(6)拝金主義が進むと、弱者が切り捨てられる。
(7)利己主義が進むと、弱者が切り捨てられる。
(8)競争主義が進むと、弱者が切り捨てられる。
(9)社会が貧困化すると、弱者が切り捨てられる。
(10)社会が階級化すると、弱者が切り捨てられる。

文明の「進化」は止まらないが、進化が進むというのは文明がどんどん複雑化するということである。複雑化が進むということは、複雑な社会に対応できるだけの知力・能力・資力が必要になっていくということだ。そして、そのレベルは年々上がっていくことになる。

なぜ、現代社会が莫大な弱者を生み出しているのかというと、こうした側面が複合的に進んでどれも止めることができないからである。

社会が要求するレベルに達していないと、選択肢としては低賃金の労働しか残されていない。しかし、そんな低賃金の労働でさえも、今後はロボットや人工知能が奪っていく時代になる。

ロボットや人工知能は自分の仕事を奪う存在であると実感している勤め人はまだほとんどいない。これは、グローバル化がなし崩しに進むと、自分の賃金が低下したり、リストラされていくと実感しなかったのと同じだ。

気付けば、すでに手遅れになってしまっているのである。

真面目に働いていても、ふとしたきっかけで弱者になっていく恐ろしい時代が待っている。そして、弱者に堕ちると這い上がるのは容易なことではない。非人道的なまでに弱者が切り捨てられる時代がやってくる。(written by 鈴木傾城)

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真面目に働いていても、ふとしたきっかけで弱者になっていく恐ろしい時代が待っている。そして、弱者に堕ちると這い上がるのは容易なことではない。非人道的なまでに弱者が切り捨てられる時代がやってくる。

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