貧困の子供が「一生」貧困のままで終わる危険性が高い理由

貧困の子供が「一生」貧困のままで終わる危険性が高い理由

5月5日は「子供の日」なのだが、日本は子供を巡る環境が悪化しているのは統計を見ても分かる。

日本は今まで政治の無為無策で37年間連続で子供の数が減っており、14歳以下の子供の人口推計は前年比で17万人も減少して「過去最低」を記録した。

さらに子供の貧困率も先進国にしては高い状態が続いている。安倍政権になって子供の貧困率は徐々に改善しているのだが、それでも7人に1人は貧困である。給食費が払えない子供も今や珍しい存在ではなくなった。

虐待も増え、児童虐待相談もうなぎ登りに増えている。全国の児童相談所がまとめた「児童相談所が対応した虐待の件数」は2016年で前年比18.7%増の12万2578件だった。(ブラックアジア:虐待に耐えるのは「助けを求めても無駄」という学習の結果

また、ひとり親が増えたことによって放置児童も増え、夜中に外をうろついて事件に巻き込まれる子供も出てきている。

日本がグローバル化の波に飲まれていく過程で非正規雇用が増えて貧困が拡大し、そこから派生する問題が子供の問題として波及している。

つまり、子供を巡る問題は突き詰めれば貧困の問題であるというのが分かる。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

貧困児童は、一生貧困から抜け出せない可能性

子供の貧困を放置すると将来の日本に大きな問題を起こす理由のひとつとして、「貧困の連鎖」がある。貧困に生まれ育った子供は貧困から抜け出せず、あたかも「貧困が遺伝する」ような様相を見せることだ。

普通、遺伝と言えば容姿が遺伝するとか、性格が遺伝するとか、そういった肉体的・精神的なものを指すことが多い。

だから、「貧困が遺伝する」という言い方が広がっていることに戸惑いを覚える人も多い。貧困とは社会現象だから遺伝とは結びつかない。それなのに遺伝と結びつけられていることに困惑を覚える。

「貧困が遺伝する」という言葉には、実は2つの意味が含まれている。

(1)貧困者の子供は自動的に貧困の生活になる。
(2)貧困者の子供は「一生」貧困のままで終わる。

ここで重要なのは「一生」の部分だ。

貧しい家庭に生まれた子供が貧しい生活をするのは当たり前の現象だが、問題は彼らが「一生」その世界から抜け出せない可能性が高いことである。

貧困をモノともせず這い上がっていく子供たちもいる。しかし、貧困の度合いが強ければ強いほど這い上がりが難しくなっていく。なぜ貧困の中で生まれた子供たちは、そこから抜け出す可能性が低いのか。

ここで重要になってくるのが「教育」である。複雑化し、専門的になった現代社会では、そこで働くためには何にしても一定レベルの教育が必要となる。

教育レベルは高ければ高いほど良い。なぜなら、現代社会が高度な知識・技術・技能を求めているからだ。

また世間では教育があるかどうかを知るため、最初に出身大学や所持資格を見るので、やはりそこでも「教育の履歴」が重要になってくる。

そういった教育を受けるためには本人の資質も重要なのだが、その資質を伸ばすための「教育費」も重要になってくる。

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学歴を向上させるような雰囲気になっていない

金持ちの子供が比較的「高学歴になりやすい」のは、教育費に何の問題もなく、ありとあらゆる教育サポートが為されるからだ。資質がなくても資質を伸ばす環境が用意される。

財力があれば、場合によっては学歴も資格も「カネで買える」ようになり、中身はともかく表面的には学歴や資格で「飾る」ことすらも可能になっていく。

しかし、貧困層は日々の生活をやりくりすることに精一杯で、子供の教育に投資することができない。また、貧困層の環境も、学歴を向上させるような雰囲気になっていないことも多い。

国外では貧困層の子供はみんな働きに出ており、教育に金や時間をかけるのは無駄だという意識もある。また、子供たちも最初から上を見るのをあきらめる。

だから、貧困層では子供にいくら資質があっても、その資質は眠ったままになってしまうことが多い。

もちろん、すべての子供がそうなるわけではない。貧困家庭に生まれながらも凄まじい知性と能力で成り上がっていく希有な子供たちもいる。そういう子供たちを、私たちの社会は痛切に求めている。

しかし危険なのは、そういった「貧困を克服して成功した」という才覚を持ち合わせた成功者がでると「あの人ができたのだから成功できなかった人は自己責任」という言われ方をされて貧困がもたらす問題が矮小化されることだ。

貧困から抜け出して大成功する人もいるのだが、大部分は貧困家庭で生まれると貧困に飲まれて一生が終わってしまう。その日を生きるのに精一杯なのである。

子供の時期に資質も伸ばされないで放置され、教育も学歴なく、その日暮らしのための仕事をするしかないのであれば、いつまで経っても這い上がることができないのが普通だ。

つまり、貧困者の子供は自動的に貧困生活になる。そして貧困者の子供は一生貧困のままで終わる。これを指して「貧困は遺伝する」と言われているのである。

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貧困層の中で最もダメージが大きいのが母子家庭

日本の識字率は下がりつつあるのではないかと教育現場から声が上がっているのだが、それでも統計的に見ると識字率は100%に近い。日本では非常に教育の行き届いた社会だと言える。

しかし逆の見方をすると、日本では「字が読めるくらい」では何の自慢にもならず、もっと高度な教育が必要になるということでもある。

実は子供の成績と親の年収は比例するというのは、すでに文部科学省の全国学力調査の結果から明らかにされている。

一番分かりやすいのは、保護者の収入が多ければ多いほど、子供の大学進学率が高くなる現象だろう。

単純に、大学に行くにも金がかかり、貧困層の家庭はそれを用意できない。それが長い目で見ると子供たちの収入格差につながっていく。

貧困層の中で最もダメージが大きいのは母子家庭だ。基本的に母子家庭が追い詰められるのは、3つの要因がある。

夫からのサポートがなくなること。子供がいるので働けないか、働きづらいこと。それなのに子供のために出費がかさむこと。

母子家庭の子供たちは母親が苦しんでいる姿を見て育ち、無邪気に向学心だけを伸ばす気にはなれない。学歴が低くても早めの独立を考えるし、そういったプレッシャーを受ける。

学歴で評価する社会では、その時点で「貧困が遺伝する」危険性が高まってしまう。

ユダヤ人は貧困から脱するには何が何でも教育が必要だと流浪の人生の中で痛感していたので、一家全員が飢えても子供にだけは教育を施し続けた。

それほど教育の重要性を認識していたことになる。

日本でも貧困層が拡大している今、子供の貧困と教育は切実な問題になっていく。

日本政府は急がなければならない。さもなくば手遅れになってしまう。このままでは貧困が遺伝して、浮かび上がれない子供たちが拡大していく。その結果として、日本という国も大きなダメージを受けていく。(written by 鈴木傾城)

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日本政府は急がなければならない。さもなくば、手遅れになってしまう。このままでは貧困が遺伝して、浮かび上がれない子供たちが拡大していく。その結果として、日本という国も大きなダメージを受けていく。

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