不安定化した社会の中で生きているのだから誰もが明日は当事者になる

不安定化した社会の中で生きているのだから誰もが明日は当事者になる

私たちは誰でも、すっと足元が崩れて社会から転がり堕ちていく可能性がある。どんなに真面目で、楽観的で、向学心に溢れていても、問題は去らない。自分の手に負えないところで物事が暗転するからだ。

「このままでは立ちゆかなくなる」と分かっていながら、問題を避けることができない。蟻地獄のように悪い方向に引きずられてしまう。

誰でも堕ちたいと思って堕ちるわけではない。堕ちると分かっていても逃れられないのである。勤めている会社の業績が猛烈に悪化して、一生安泰だと思った人生がぐらぐらと崩れていくかもしれない。

もう「一流企業」も安泰ではないというのは誰もが知る時代になった。

たとえば、10年前に銀行に入社した社員は「カタい会社」に入社して誇らしい気分であったはずだ。何しろ銀行である。信用がある。まわりからも「勝ち組」だと言われて、さぞかし誇らしい気持ちでいたことだろう。

しかし、銀行はフィンテックの波に飲まれて軒並み経営が悪化しており、いまや数万人規模のリストラが為される業態と化した。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

そこに就職すれば人生の終わりまで安泰?

数万人と言えば、かなりのインパクトを社会に与える。しかし、時代が変わり、銀行のビジネスモデルがうまく回らなくなっているので止めることができない。最終的には今の形の銀行は残らない可能性がある。

銀行は、そこに就職すれば人生の終わりまで安泰だと思われていた業態でもある。それが、社会情勢の変化によって、やっていけない会社になってしまった。それは時代に対応できなかった経営者の問題で、社員の問題ではない。

そうであっても「社員の努力」以外のところで世の中が暗転し、巻き込まれ、「このままでは立ちゆかなくなる」と分かっていながら巻き込まれ、結局は自分たちがリストラされることになったのだ。

今、銀行の社員は不満と憤怒と不安に満ち溢れていて、インターネットでも明らかに銀行の社員と分かる人間が、経営者を痛烈になじっていたりしている。

銀行に例を取ったが、他にも新聞社もテレビ局もジリ貧のビジネスモデルを抱えている企業は日本には大量にある。スマートフォンにシェアを食われているカメラ業界もまた然りだ。

イノベーションを読み違えたり、古いビジネスモデルに固執したりすると、急激に変わる今の社会では先がない。

大企業から中小企業まで、すべての企業が一瞬にして「凋落」してしまうのが現代社会の特徴である。誰しもが、一瞬にして叩き落とされるような危険な世界で私たちは生きている。

しかし、社会から転がり堕ちる要因は、リストラだけではないことに注意すべきだ。個人的な理由もまた転落を生み出す。個人的な理由で転落するのは、大きくまとめると10項目の要因がある。

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人々が社会から転落していくきっかけ10項目

人々が社会から転落していくのは、大きくまとめると以下の10項目のどれかに含まれる。このどれもが、それほど奇異なものではなく、日常でよく見聞きするものであることに注目して欲しい。誰もが、自分の身に起きる可能性がある。

(1)リストラ。倒産。
(2)劣悪な労働環境。初職の挫折。不安定就労。
(3)病気。本人の精神疾患。家族の病気。
(4)職場における人間関係トラブル。
(5)頻繁な転職。
(6)ドラッグ、犯罪の露見。
(7)若年妊娠・シングルマザー。
(8)結婚の失敗、家庭崩壊。
(9)親との断絶、住居不安定。
(10)ギャンブル、借金。過大な住宅ローン。

会社が業績悪化から逃れられず、リストラや倒産に巻き込まれるというだけではない。勤めている会社がブラック企業であったり、詐欺的な商品・サービスを売るような違法企業であったりすることもある。

知らずにそういった企業に自分が潜り込んでいるというケースもある。

自分の精神や健康が壊れてしまうということも人生を変転させる大きな要因となっていく。最近は鬱病になる人も続出している。無理もない。

昔のように終身雇用ではなく、いつ解雇されるか分からないような状態の中で過労働させられるのだから、精神に変調を来すような人が出てきても不思議ではないのだ。

犯罪で解雇される人もこれから増えていく。犯罪と言えば、人殺しや強盗のようなものを思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、日常で頻繁に起きる犯罪というのは、そういった重大なものではない。

むしろ「なんでこんなことを」と絶句するような馬鹿げたものである。スマートフォンで女性のスカートの中を撮ったとか、満員電車で女性の身体を触ったとか、そんな何の徳にもならないような軽犯罪で解雇されるケースが増えている。

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誰もが明日は当事者になるのが現代社会の特徴だ

昔は横領で逮捕される社員も多かったが、こういった社員は今も消えていない。今ではSNSで不用意な発言をして解雇される社員もいる。

女性であれば、結婚に失敗し、シングルマザーとなるのが人生における大きな脅威でもある。今は男女関係があまりにも軽いので、離婚は「よくある話」でもある。女性にとってシングルマザーになるというのは、珍しいことではない。

しかし、その珍しくない話が女性を追い込んでいく。

終身雇用時代にはリスクではなかった住宅ローンは、不安定化した雇用状況の中では、人生を破壊するほど大きな不安定要素になることも多い。

こういった「ちょっとしたこと」は誰のみにも起こり得ることであり、それだからこそ恐ろしいのだ。今日は安定した生活を送っていられても、明日からはもう人生が足元からガラガラと崩れていくかもしれない。

だから、私たちの誰もは「金の面で自分の生活を防御する」ということを真剣に考えなければならない。また、何としてでも「生き残るための金=サバイバル資金」を手元に置いていなければならないのだ。

日本人の貯蓄率は1101万円が平均値だが、実際には日本人の80%は1000万円以下の貯蓄率であり、そのうちの50%は100万円未満である。

100万円はないよりマシかもしれないが、それではとてもサバイバル資金とは言えない。

これからますます追い込まれていく人たちが増えるはずだが、それを他人事として見ていてはいけない。不安定化社会の中で生きているのだから、誰もが明日は当事者なのである。

何としてでも、サバイバル資金を増やすべきだ。そして、資本主義の中では、否が応でも資本主義に対する感受性を磨いておく必要がある。私たちは、理屈をこねる前に、生きるための金を持っていなければならないのである。(written by 鈴木傾城)

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大企業から中小企業まで、すべての企業が一瞬にして「凋落」してしまうのが現代社会の特徴である。誰しもが、一瞬にして叩き落とされるような危険な世界で私たちは生きている。

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