「アメリカで生まれた子供は、誰でもアメリカ人になる権利がある」
「たとえ両親がどちらもアメリカ人でなくても子供はアメリカ人になれる」
これを「生得市民権」と呼ぶ。それは、「移民国家」だったアメリカが今までずっと続けてきた伝統的な理念であり、概念であり、政策だった。これは、ある意味アメリカの象徴でもあり、アイデンティティでもあった。
ところがトランプ米大統領は、このアメリカの象徴とも言うべき「生得市民権」を大統領令で廃止する可能性がある。
生得市民権を悪用する人間が大量に増えていることから、トランプ大統領は「外国人が米国で子供を産んで利益を享受している」と不快感を示しており、「馬鹿げている。終わらせなければならない」と明確に語っているのだ。
この制度は、たとえ不法入国をしてアメリカに在住している人たちの子供であっても例外ではないことに問題がある。
たとえ両親が不法移民者であっても、「アメリカで生まれた」という事実を持って、その子供は自動的にアメリカ人になれるのだ。
子供がアメリカ人になればどうなるのか。その子供はアメリカ国内で義務教育を受ける権利を持ち、21歳になれば両親の移民申請を行うことも可能になる。そして、その瞬間、親はもまた合法的にアメリカ人になる。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)
臨月になってから越境出産を行う
何はともあれ、子供をアメリカで生めば、それだけで世界最大の覇権国家である「アメリカ」の人間になれる可能性がある。そのため、アメリカに不法入国や不法滞在している人々の多くが米国内で子供を産もうとする。
赤ん坊を船のイカリのようにアメリカに降ろし、そして自分をアメリカにつなぎ止めるのである。イカリのことを英語で「アンカー」というので、こうした子供たちは「アンカーベイビー」とアメリカでは言われている。
今まで、こうしたアンカーベイビーの手法でアメリカの市民権を得ていたのは中南米の人々だった。アメリカではメキシコから大量の移民がなだれ込んで不法滞在しているのだが、こうした人々の子供はみんなアンカーベイビーとなる。
そして、21年後は子供が親の移民申請をして、晴れて全員が「アメリカ人」となっていく。
ところが、である。
最近では中国・韓国等の東アジアの人間が、アメリカ国籍を取るために積極的に「アンカーベイビー」の手法を悪用するようになっている。彼らもまたアメリカの在留許可や市民権を得る目的のために、わざわざ臨月になってから越境出産を行うのだ。
特に組織的に動いているのが中国系の金持ちだ。基本的に中国人は自国政府を信じていない。愛国心もない。そのため、国が崩壊してもいいように、世界中のあちこちに散らばって華僑として生きていく。他国の国籍を取ることによって、国が崩壊しても安全地帯に逃げられるようにしている。
アメリカでもカナダでも、市民権を求める中国人で溢れている。金持ちになればなるほど、中国人は自分の子供を外国籍にして、いつでも国を捨てられるように準備する。
アメリカの「出生地主義」は、まさに中国人にとっては渡りに船の制度であり、中国人は組織的にこの制度を悪用するようになっていった。
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それを組織的に悪用する中国人
アメリカでは、ロサンゼルスで中国人の妊婦が短期滞在している集合住宅やホテルが一斉摘発されるという事件が続出している。こうした集合住宅は「マタニティ・ホテル」と揶揄されているのだが、そこには中国人妊婦や出産したばかりの母親が詰め込まれている。
彼女たちは、みんな「出産ツアー」でアメリカに来た中国女性である。
子供を「アメリカ人」にするために臨月になってから飛行機に乗ってアメリカに渡って来ていた。総額200万から600万まで。場所によって値段が違うが、金持ちは特別待遇でそれ以上払うこともある。
中国の金持ちというのは、だいたいがワイロで資産を膨らませた党幹部だが、本来であれば国を担うはずの人間が、真っ先に逃げる準備をしているというのが中国の深刻さがある。
しかも、アメリカに送り込む女性は本妻ではなく、愛人であったりする。愛人をアメリカに住まわせてアンカーベイビーで母親に在留許可を取らせ、21年後は自分もアメリカ人になる。それが中国の金持ちのやっていることだ。
アンカーベイビーをサポート・斡旋する業者があって、中国人女性はその業者を通してアメリカにやってきて短期滞在をしている。それは組織的に行われている。
アンカーベイビーでアメリカ人になる手法自体は昔から知られていて中南米の人々が悪用していた。しかし、中国人はそれを数年前から数千人規模で、組織的に、かつ大っぴらに行っていたのだ。
このニュースは大々的に取り上げられ、「出生地主義を悪用した中国人の詐欺行為」としてアメリカ人に知られることになった。トランプ大統領はこれに激怒し、そこから「生得市民権を大統領令で廃止」という形で動いているのである。
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モラルなき利己主義が発揮されている
少なからずの中国人は、その手段が合法か不法かなど考えない。不法だろうが悪用だろうが何だろうが、それが利用できるのであれば何でもする。子供をアメリカで生むだけで国籍が取れるというのであれば、モラルなどまったく考えないでそれをする。
まさにモラルなき利己主義である。
中国はこの「モラルなき利己主義」でアメリカの知的財産も企業秘密も個人情報も、すべて「あらゆる手段」で窃盗して国家を成長させているのだが、いまや国籍までも不法に盗み取ろうと集団で動いているのだ。
それが出生地主義を悪用した「アンカーベイビー」なのである。
出生地主義はアメリカという国家のアイデンティティでもある。そのため、トランプ大統領が見直すと言っても、それはすんなりと決まるようなものではない。国を分断して揉めに揉めるだろう。
場合によっては、トランプ大統領は廃止に失敗するかもしれない。しかし、トランプ大統領は大統領選挙の時からずっとそれを言い続けており、公約を守るために強硬手段をも辞さないはずだ。
アメリカ人は中国人のやり方に激しく不信感を持つようになっている。汚い手口に苛立ちが渦巻いている。トランプ大統領の強引な言動は常々非難されているのだが、その一方で支持を受けていることも考えるべきだ。
出生地主義を悪用して、全世界の国民が不法でアメリカ国籍を入手しようと組織的に動いている中国は、アメリカの国家的アイデンティティを揺るがすところにまで問題を大きくしているのである。
中国人が問題を起こしているのはアメリカだけではない。日本では中国人が「健康保険のタダ乗り」「生活保護のタダ乗り」をしていることで問題になっている。
これもまた「不法だろうが悪用だろうが何だろうが、それが利用できるのであれば何でもする」というモラルなき利己主義が発揮されているわけで、根幹は同じであるということに気づかなければならない。
中国人のモラルなき利己主義は、これからも様々な問題を引き起こす。(written by 鈴木傾城)
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アンカーベイビー。「不法だろうが悪用だろうが何だろうが、それが利用できるのであれば何でもする」というモラルなき利己主義が、アメリカの国家的アイデンティティをも揺るがせている。
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少なからずの中国は、その手段が合法か不法かなど考えない。不法だろうが悪用だろうが、それが利用できるのであれば何でもする。子供をアメリカで生むだけで国籍が取れるというのであれば、モラルなどまったく考えないでそれをする。だからトランプ大統領は激怒している。https://t.co/LCH99JZPIl
— 鈴木傾城 (@keiseisuzuki) 2019年2月13日