激しい主張でトラブルまみれになっているトランプ前大統領だが、それでも支持は拡大していく一方だ。現職のバイデンやマスコミがトランプを批判すればするほど、トランプもまたやり返す。この姿勢そのものが、トランプが世界にもたらした最も大きな変革であると思っている。(鈴木傾城)
プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com
トランプ大統領が社会にもたらした功績はこれだ!
今回の大統領選挙でまたもや強烈なインパクトで大統領選挙に歩を進めているのが、トランプ前大統領である。相変わらずトランプのまわりはトラブルだらけだ。訴訟だけを見てもひどいことになっている。
2020年大統領選挙結果を巡る訴訟では、ジョージア州選挙担当者への圧力疑惑で訴えられ、連邦議会議事堂襲撃事件への関与疑惑で訴えられている。さらに、退任後に持ち出した機密文書の違法保管疑惑でも訴えられている。
他にも選挙にロシアが介入した疑惑に関する捜査への妨害疑惑で訴えられ、不正会計疑惑で訴えられ、トランプ大学詐欺訴訟で訴えられている。先日は、トランプ前大統領にレイプされ、その後の言動によって名誉を毀損されたと訴える作家ジーン・キャロル氏の裁判で敗訴し、123億円の賠償命令も受けた。
ところが、そんなトラブルまみれをモノともせず、トランプ前大統領の支持は拡大していく一方で、現職のバイデン大統領を追い込んでいる。バイデン大統領やマスコミがトランプを批判すればするほど、トランプもまた激しい主張と批判を彼らに浴びせて泥沼になる。
どんなに嫌われても主張する。トランプ大統領のそれは、歴代の政治家としても今までに見たことがないほど激しく強烈なものである。
世論はリベラルに遠慮し、ポリティカル・コレクトネスで窒息し、非合法であっても中国を排除できずに容認して侵略されるがままになっていたが、トランプ大統領はこうしたものを一気に吹き飛ばした。
良いか悪いかは別にして、私自身はこの姿勢そのものが、トランプ大統領が世界にもたらした最も大きな「変革」であると思っている。
日本人は他人に良い顔をしようと八方美人になりやすいが、そもそもどんなに八方美人になっても全員に好かれるというのは妄想だ。
世界には、「恨」を持つしか生きられない薄気味悪い人間が山ほどいる。八方美人になるというのは、そういう人間にも好かれようとすることである。「恨」を抱く人間にも好かれようと思うのは、時間の無駄だ。
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「嫌われても構わない」という度胸を持つことが必要
別に、自分を殺して誰にも彼にも好かれる必要はない。好かれる必要がない、というのは逆に言えば「嫌われても構わない」という意味でもある。
今までの日本人は「好かれる」ことに意識を集中しすぎた。嫌われたくないから相手の無理難題を飲み、嫌われたくないから金を出し、嫌われたくないから様々なことに妥協してきた。
しかし、こうした日本人の「お人好し」な体質は、世界中から良いように利用され、「無理難題を押し込めば、何でも日本人は飲む」と嘲笑されてきた。そこには八方美人的な日本人の体質がよく現れている。
岸田文雄首相も、そういうところがある。国益のために日本のためにならないことは毅然として突っぱねる姿勢はどこにもない。
現代の日本人政治家も学習しなければならないのは、より八方美人になることではない。むしろその逆だ。ドナルド・トランプのように、「どんなに嫌われても構わない」という度胸と気概が必要なのだ。
さらに言えば、正しい主張であると思うならば、敵を作っても自分の言いたいことを言い、やりたいことをやるという行動力も重要になってくる。
「好かれること」に意識を向けるのではなく、「嫌われても自分の意見を言う」ことが今の日本人に求められていることだ。それをドナルド・トランプから学習しなければならない時代に入っている。
世の中には妥協できないことがある。政治的主張はまさにそうだ。しかし、それだけではない。
「誰とも仲良く」と言われても、暴力団やテロリストや詐欺師や殺人鬼や犯罪者と仲良くする理由はない。そんな反社会的な存在の顔色を窺って、それでも良く思われたいという心理自体が、おかしなものなのである。
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「嫌われたくない」という部分だけが肥大化
日本人は、他人に褒められることや認められることを動機にして行動する人が多い。それは、日本人独自の気くばりや優しさになって現れるので、一概に悪いことではない。むしろ、日本人の美徳はそこから生まれているとも言える。
ところが、物事には表もあれば裏もあるわけで、日本人の気質のメリットはデメリットにもなり得る。
たとえば、詐欺師や犯罪者が事実でもないことを押し付けて謝罪と賠償を求めてきたとき、日本人はそれに頭から反発しないで、いったん飲み込み、犯罪者と自分が互いに妥協できる点を探ろうとする。
詐欺師や犯罪者にしてみれば、真実でもないことを100回でも叫び、無理難題を押し付けているだけなので、それで謝罪や金が取れれば「ゴネ得」になる。
犯罪者は日本人の優しさに付け入ってゴネて金をふんだくるのが目的で、日本人は何度もそれに騙される。まさに、日本人の気質のデメリットの部分に寄生されているのである。
「戦争するくらいなら中国の属国になる」「侵略されても戦わない」と主張する頭がおかしい日本人もいる。こうした人間も「嫌われたくない」という部分だけが肥大化して現実が見えなくなってしまった人間の典型例でもある。
中国・韓国・北朝鮮と言った特定アジアにすっかり乗っ取られてしまったマスコミは、こうした奇妙な人間たちを「日本の良心」のように報じて悦に入っている。
日本人が戦わずして降伏してくれるのは特定アジア諸国にとって願ったり叶ったりなのだから、乗っ取られたマスコミも、そんな頭のおかしな人間たちの取材にも力が入る。日本人の「誰とでも仲良くしたい」という潜在的な気質は、今や日本の侵略に使われている。
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「日本に対しては、まず最初にゴネろ」となる
そういった意味で、中国・韓国・北朝鮮に何度も何度も謝罪し、何度も何度も金を出すことを厭わない政治は、いかなる理由があったとしても、それは日本にとって良くないことだ。
一時的にそれが功を奏したとしても「日本人はゴネれば謝るし金も出す」というメッセージを全世界に与える。つまり、「日本に対しては、まず最初にゴネろ」という戦略が様々な分野で行われるようになる。
長期的に見ると、意味もなく謝罪し賠償するというのは、日本を傷つける愚かな行為でもある。日本を貶める国とは、嫌われようが何だろうが、徹底的に対立し、戦い、突っぱね、断交し、攻撃して日本の底力を見せつけるべきなのだ。
「反日国家とは妥協しない。歴史プロパガンダは日本の攻撃と見なす」と言い切ればいいのである。別に日本が妥協したり、折れたり、譲ったりして、問題を解決する必要はない。
そもそも相手が仕掛けている歴史プロパガンダを、日本が解決する必要性すらもない。国家間の対立を解決する機関は国連であり、歴史プロパガンダを仕掛けられている日本ではない。
日本の政治家がそこまで腹がくくれないのは、やはり日本人そのものが「そこまでして嫌われたくない」という潜在的な心理状態があるからだと言える。日本人の中には、嫌われないことや、相手に妥協することを「民度が高い」と勘違いしている人もいる始末である。
たとえば、「日本は相手国が納得するまで謝り続けるべき」と発言して「とてもノーベル賞候補の作家とは思えない」と嘲笑われた作家すらもいる。
歴史プロパガンダを仕掛けられて「謝るべき」というのだから、この人間は完全に何かが間違っている。日本人なら、日本の国益を守る方が重要であり、それで嫌われるのであれば、むしろ嫌われる方が正しい。
日本人は、まわりから嫌われることにもっと免疫を持つべきだ。反日の国家や人間に嫌われても大したことではない。ドナルド・トランプに日本人が学ぶべきことは多い。