莫大な数の高齢層が追い詰められた後に日本には地獄がやってくる

莫大な数の高齢層が追い詰められた後に日本には地獄がやってくる

非正規雇用が常態化して、学歴や職歴のない若年層が貧困から這い上がれなくなっているのだが、高齢者は年金がもらえるので悠々自適だという印象がある。

しかし、この印象はもう改めなければならない時期にきている。

すでに生活保護世帯の半数以上は高齢者であり、彼らは体力的にも能力的にもフルタイムの仕事ができない以上、いつまで経っても生活保護から脱することができない。

さらに生活保護を受けていない高齢層でも、国民生活基礎調査を見ると、高齢者で「生活にゆとりがある」と考えている層は4%しかおらず、50%以上の層は「生活が大変苦しい」「やや苦しい」の中に入っている。

これらの高齢層は貯金を取り崩し、年金で細々と食いつなぐしかないのだが、長生きすればするほど貯金が乏しくなって困窮の度合いは深まる。

さらに現在の50代では5割近くが国民年金未納である。この層は高齢者となったときには「年金がもらえない」か、もらえても「かなり少ない額」と化して確実に極貧化する。

すでに日本の社会保障費の増大は限界スレスレまで来ているので、いずれは高齢層を養えなくなる。少子高齢化も放置されたままだ。とすれば、莫大な高齢層の大半は貧困にあえいで見捨てられると覚悟しなければならない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

 

一番当たらないリスキーなギャンブルに金を賭ける

生活は苦しい。貯金を取り崩していると、そのうちに消えてなくなってしまう。年金は少ない。しかも徐々に徐々に年金の額は減らされていく。

そして、資本主義は必ずインフレを起こすので長い目で見ると物価は必ず上昇する局面がやってくる。高齢者は真綿で首を閉められるように経済的に追い詰められていく。

こうした高齢者の多くは、実は「どうにかしなければ」と思って藁にすがるかのように買っているものがある。

それは「宝くじ」である。宝くじはなかなか当たらないことは誰もが知っているが、それでも多くの高齢者が今日も、明日も宝くじに群がる。

そして、1億円でも3億円でも当たった日を夢想して、それを3000円で買う。

「夢を買う」「買わなければ当たらない」というが、宝くじの勝率は非常に悪くて、当選確率は日本で典型的な年末に行われる宝くじで言うと一等はたった0.0000001%程度しかない。

株式を買うのを「リスクがあるから怖い」と避ける人が多いが、株式は上か下にしかいかないので、上がる確率は単純に言うと50%だ。

しかし、宝くじの当たる確率は0.0000001%なので、客観的に考えると、株式を買うよりも宝くじを買う方がよほどリスキーなのである。

それでも、高齢者は宝くじを買う。

株式は何を買うか考えなければならないし、買う時期についても的確に判断しなければならない。しかし、高齢層はもう「考える」という体力を喪失している。

だから「買う」だけで何とかなる宝くじに賭ける。

宝くじは、どのみち外れても3000円程度の損であり、それくらいならば食事を抜くとか他の部分で節約すれば何とでもなると考える。

そして、とても奇妙な皮肉を私たちはここで見る。金を大切にしなければならない高齢者が、一番当たらないリスキーなギャンブルに金を賭けるという皮肉である。

確率が低いなら、そんなものに賭けないというのが正しい判断だが、高齢者はふらふらと宝くじに引き寄せられる。どんなに確率が低くても、当たった額が本来であれば手に入らないような高額であるからだ。

「無意識の経済的な不安」がそれをさせている。

 

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「無意識の経済的な不安」が犯罪の引き金になる

「無意識の経済的な不安」がさらに深刻な様相を見せている社会現象もある。それが「万引き」だ。万引きは高齢層が手を染めることが多い犯罪である。

万引き癖のある金持ちというのも、もちろんいるのだが、統計的に見れば基本的に高齢層が万引きを行っている。そのため、いまや刑務所は万引きで逮捕された高齢者たちの老人ホームと化している。

実は、高齢者の万引きは一概に「貧しいから」で説明できるものではない。たとえば、地域社会からの孤立や疎外感がそれを引き起こしていると説明されることも多い。

高齢層は大人しくしていると誰からも相手にされない。しかし、問題を起こすと大勢が自分を構ってくれる。自分の話を聞いてくれる。

そのため、高齢者の中には孤独と疎外感から逃れるために、わざと万引きして問題を起こすこともあるのだ。だから一概に「経済的に苦しいから」という理由だけで高齢層が万引きに走るわけではない。

しかし本来であれば、ゆとりがあれば万引きも考えることはないわけで、こうした犯罪は「無意識の経済的な不安」が引き金になっていることも多い。

ギャンブルでも、投資でも、そして人生の選択でも、追い詰められている人が、玉砕覚悟のリスキーな勝負に出る。「いちかばちかの勝負」は、常に追い詰められている人がする。

それは、稀に成功することもあるが多くは失敗する。しかし失敗したとしても、もう元が「どん底」なので運がなかったとあきらめる。

日本では、経済的に追い詰められた高齢層がこうした考えに至り、問題行動を起こしているということに悲劇がある。高齢層の貧困は死ぬまで終わりがない。

そして、日本は少子高齢化の国であり、高齢者はこれからもどんどん増えていく。

 

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「誰も助けてくれない。国も助けてくれない」

高齢ともなれば分別もあり人生経験も長いのだから、万引きのような愚かなことをするわけがないというのは間違いだ。的確な判断は逆に喪失していくと考えるべきである。

仮に的確な判断を持っていたとしても、相当な注意をして自分の考え方を変えない限り、時代に取り残されて的確な判断ではないものを的確だと思い込んでしまう。

日本はこうした高齢層が大量に増える時代に入り、さらにこの高齢者が貧困化してどうにもならなくなってしまう。

高齢層が増えると社会は硬直化し、現状維持に汲々とし、イノベーションも生まれないし、生まれてもうまく定着しなくなって消えていく。

そのため、日本企業の多くは活力を失って競争力を喪失し、日本政府は税収を失う。税収と言えば、少子高齢化による税収の減少も確実化されている。

政府が税収を失うと、苦し紛れに消費税の引き上げ等を必ず行うのだが、高齢層を抱える国が消費税を引き上げると消費はさらに減退して日本そのものが破壊される。

安倍政権は消費増税の引き上げを延期している稀有な政権なのだが、いずれは税収の減少に耐えられなくなった財務省が押し切るのは時間の問題である。

高齢者が増えるので社会保障費が膨れ上がる。税収が足りないので税金を上げる。税金を上げると高齢者が追い詰められる。高齢者が追い詰められるとさらに社会保障費が膨れ上がる。

その繰り返しで、日本は増え続ける高齢者と、膨れ上がる社会保障費に押しつぶされて瓦解してしまう可能性がある。

少子高齢化という「毒」が回っているのである。それが日本を追い詰める史上最悪の「毒」であることに気づかずに、政府も国民も放置し続けてきたし、今も大した問題意識を持っていない。

このような状態に危機感を覚えているのであれば、「誰も助けてくれない。国も助けてくれない。自分の力で何とかしなければならない」と私たちは悟るべきだ。

国はもう私たちを「ゆりかごから棺桶まで」面倒を見てくれるゆとりを失った。それを意識するのは重要だ。年金? そんなものを当てにしていたら人生は終わりだ。莫大な数の高齢層が追い詰められた後に日本には地獄がやってくる。(written by 鈴木傾城)

 

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国はもう私たちを「ゆりかごから棺桶まで」面倒を見てくれるゆとりを失った。それを意識するのは重要だ。年金? そんなものを当てにしていたら人生は終わりだ。莫大な数の高齢層が追い詰められた後に日本には地獄がやってくる。

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