多文化共生は理想主義者が唱えているただの理想論。現実は多文化衝突になる

多文化共生は理想主義者が唱えているただの理想論。現実は多文化衝突になる

ヘイトまみれの相手に対して好かれようと思っても、それはどう考えても無駄な努力だし意味がない。日本が折れれば「弱い相手」と見なされて、よけいに踏み込んできて相手をつけ上がらせることになる。憎まれている上に価値感を共有していないのであれば、相手との相互理解や共生共存は絶対に得られない。より対立していき、禍根を残すだけだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

日本人というだけで嫌われる世界に

なるべく嫌われないようにして生きる生き方は失敗する。なぜなら、人間には人それぞれ意見や立場や主張があり、それは間違いなく人と軋轢を生み出すからだ。

どんなに好かれる性格の人であっても、人に好かれているということで「八方美人だ」「人に媚びている」「良い子ぶっている」と決めつけて嫌う人も出てくる。

どんな真っ当な意見を言っても、どんな真っ当な生き方をしても、それに対して「気に入らない」「面白味がない」と真逆の反対の意見や感情を持つ人は絶対に出てくる。

何も言わないように注意し、人との衝突をできる限り避けても無駄だ。

何も主張しなくても、いかなる敵対行為をしなくても、たとえば私たちが日本人というだけで、中国・韓国・北朝鮮の人間たちからは強烈な反日感情で嫌われるという事実もある。

もちろん、日本人だけではない。

こうした歴史に起因した拭い難い民族間のヘイトというのは世界中でありふれたものだ。民族間だけでなく、人種間でも、宗教間でも、政治間でも、あらゆるものが対立要素となってすべての民族に緊張を生み出す。

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いつの時代でもと対立構造があった

EU(欧州連合)のマスコミは、大量の移民・難民を受け入れずに多文化共生を拒絶する人たちを「レイシスト」と罵倒してきた。

しかし、莫大な移民・難民が入り込むことによって、社会が混乱し、文化的な軋轢が深刻になり、治安が悪化するようになってから、人々は「何かが違う」と気づくようになっていた。

そして今、国民の半分以上が多文化共生に拒絶反応を示すようになっている。それを裏付けるように、マスコミが「極右」と中傷してきた政党が票を伸ばし、多文化共生を押しつけてきた既存の政党が、軒並み支持率を落として選挙に負けるようになってきた。

アメリカもここ数年で人種対立も深刻化している。エスニックや黒人が優先される社会に対して白人が反撥するようになったり、白人警官と黒人が互いに罵り合ったり殺し合ったりするようになっている。

そして、グローバル経済が生み出した格差によって、貧困層は富裕層を憎み、富裕層は貧困層を軽蔑するようになってきた。格差が広がれば広がるほど対立は決定的になっていき、もはや修復もできないほどの社会の亀裂を生み出している。

こうした対立の構図は今までもあった。人間は、いつの時代でも「自分たちと違う者」と対立していたのだ。

しかし、今までは物理的にも「自分たちと違う者」とは分離されていた上に、交流もなかったので相手の本音を知ることもなかった。

かつては「相手のことはよく知らなかった」のだ。相手が自分をどう思っているのかも、どんなことを言っているのかも、何も知らなかった。だから、逆にやり過ごせていた。

ところが企業がグローバルを促進し、国家が多文化共生と言い出し、ヒト・モノ・カネが全世界で交わるようになっていき、インターネット化によって情報すらも共有されることになった。

「人とつながる」というのは、良いことばかりではない。なぜなら「友達とつながる」だけでなく、「敵対者ともつながる」ということを意味しているからだ。

つながった結果、今まで知ることのなかった自分に対する憎しみや反対意見や拒絶を、人々はワールドワイドに、リアルに、生々しく突きつけられるようになったのである。

インターネットで人がつながるようになった結果、人は突如としてこの世の中に自分に対するヘイトが満ち溢れていることに気が付いたのだ。

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誰もが誰かに嫌われるハードな社会

ここ最近、全世界でヘイトが渦巻くようになったのは、別に驚くべきことではない。人は会わない方がよかった人間と出会うようになり、人は知らなくてもいいことを知るようになったからだ。

軋轢と対立が広がるようになっていったのは、まさにグローバル化と多文化共生と情報化が突き進んだ社会がもたらした負の側面である。

インターネットがなかった時代、人は自分の身のまわりのほんの小さな世界で生きていた。そのため、人は閉ざされた小さな世界でこじんまりと生きていた。

ところが今はインターネットがあってSNSがある。自分が何気なくつぶやいたひとことは場合によっては数十万人、数百万人が目にすることになる。自分のひとことが、場合によっては世界中に拡散されていくのである。

その結果、何気ない「ひとこと」が、まったく違う世界で生きてきた人間の目にも触れるようになり、それらの人たちの感情を害するようになると、発言は激しく炎上するようになっていく。

良いことでも悪いことでも、加速度的に拡散していくのが情報化社会だ。どちらかと言えば、悪いことの方が拡散して炎上しやすい傾向にある。そのため、有名無名に関わらず、すべての人が敵を作ることになる。

そして、激しい勢いで自分を嫌う人が膨れ上がっていくのを目撃することになる。

グローバル化社会というのは、グローバルで自分を嫌う人を生み出す社会である。情報化社会というのは、自分がいかに嫌われているのかを知る社会ということだ。私たちは敵対者をグローバルに見つけられる社会に生きているのである。

つまり、グローバル化と情報化が突き進む社会においては、誰かに嫌われ、憎まれ、攻撃されることを前提に生きなければならないということになる。

基本的に、自分だけは例外だというのはあり得ない。そして、これに関しては他人事にはなり得ない。誰もが誰かに嫌われるハードな社会が到来したのである。

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多文化共生ではなく多文化衝突

グローバル化すればするほど人は異質と混じり合うようになり、情報化社会になればなるほど対立と衝突とヘイトが飛び交う荒んだ世界となる。多文化共生は、理想主義者が唱えているただの理想論で、現実は多文化衝突が生まれる。

グローバル化や多文化共生の強制はまだ終わらない。終わるどころか、これからも続いていく。そのため、社会はより衝突が激しくなって荒んでいく。互いのヘイトが飛び交う中では相互理解や共生共存は絵空事でしかない。

こうしたヘイトにまみれた世界では、自分自身に対する批判や中傷や罵詈雑言を浴びても「何とも思わない」か、もしくはうまく対処できる人間だけが生き残る。

感受性の強い人や、自分に敵意や中傷を向けられると夜も眠れなくなるような人は、今から生き方や考え方を変えなければならない。これからは、繊細な感受性のままではとても生き残れない。

「渦巻く罵詈雑言の中で生き残る体質」に自分を変えていかなければならないのだ。

これは、すべての日本人が対処すべき問題だ。もう分かっている通り、日本人は中国・韓国・北朝鮮の人間たちの激しいヘイトに直面しており、日本人は侮蔑と中傷の対象になっている。それを「反日」と呼ぶ。

反日は、これからも続く。

今まで日本人はヘイトを自分自身向けられることに慣れておらず、何とか相手に理解してもらおうと謝罪したり、相手の要求を飲んだり、カネを払ったりして、嫌われないように無駄な努力をしてきた。

ヘイトまみれの相手に対して好かれようと思っても、それはどう考えても無駄な努力だし意味がない。日本が折れれば「弱い相手」と見なされて、よけいに踏み込んできて相手をつけ上がらせることになる。

憎まれている上に価値感を共有していないのであれば、相手との相互理解や共生共存は絶対に得られない。より対立していき、禍根を残すだけだ。

もう社会は明確に「対立と衝突が避けられない時代」に入っているのだから、自分をヘイトの中で生き残る体質にしていく努力は必須のものだ。情報化時代というのは、誰かが自分をヘイトしているのを見つける時代なのだから。

『欧州複合危機 – 苦悶するEU、揺れる世界(遠藤 乾)』1993年に誕生し、単一通貨ユーロの導入など統合への壮大な試行錯誤を続けてきたEU(欧州連合)。だが、たび重なるユーロ危機、大量の難民流入、続発するテロ事件、そして2016年7月のイギリスのEU離脱決定と、試練が続いている。

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