国際社会が北朝鮮を批判するのは、実は北朝鮮の指導部にとっては嬉しいこと

国際社会が北朝鮮を批判するのは、実は北朝鮮の指導部にとっては嬉しいこと

国際社会が北朝鮮を批判してくれるのは、実は北朝鮮の指導部にとっては嬉しいことなのだ。「敵がありとあらゆる手口で北朝鮮を潰そうとしている」という「国内向け」の情報操作が進むからである。しばしばミサイルを発射するのは、そのような意図もある。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

国際社会の批判こそが北朝鮮の望むもの

2019年10月2日午前8時前。北朝鮮は弾道ミサイルを発射し、日本の排他的経済水域に落下したことが判明している。

一時期は、米トランプ大統領と金正恩の「友情」の演出であからさまなミサイル実験は控えられていたのだが、ここに来てどんどんミサイル実験が重なるようになってきている。

結局、北朝鮮は変わらなかったし、状況はすっかり元に戻った。北朝鮮は何かあればミサイルを飛ばして国際社会と交渉するのである。これは何十年も変わらないパターンだ。

トランプ大統領も結局は歴代大統領と同じく、北朝鮮に良いように振り回されるだけになってしまった。北朝鮮に対して唯一、強硬な姿勢を維持していたジョン・ボルトン大統領補佐官も更迭されて、トランプ大統領は北朝鮮に弱腰になってしまった。

今回のミサイル発射で、日米と国際社会は再び北朝鮮を大きく批判することになるだろう。経済制裁を継続することに関しても確認されるはずだ。国際社会がこのような動きをすることは、北朝鮮の指導部はもちろん知っている。

北朝鮮はますます孤立し、経済的にも困窮する。それで、北朝鮮の指導部は困るだろうか。いや、逆に国際社会が北朝鮮を批判するのは、実は北朝鮮の指導部にとっては嬉しいことになる可能性がある。

国際社会が北朝鮮を批判すればするほど、指導部は国内政治がやりやすくなる。なぜ、そんなことになるのか?

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北朝鮮の人民が真実を知ることなど到底無理な話

北朝鮮の国内政治は、情報封鎖と人民監視と弾圧と洗脳である。中国もまた一党独裁を守るために強力な情報封鎖を敷いて人民監視を行っているのだが、北朝鮮もまた同じことをしている。

独裁政権は自分たちの独裁を維持するために「不満分子」をことごとく粛清していく性質があるのだが、そのためには情報封鎖と隣人監視のシステムが欠かせない。

政権が人民に情報を与えるとしたら、それは独裁者に好都合な一方的で偏って誤った情報でしかない。そのため、指導者を神格化するための荒唐無稽な作り話も垂れ流しにされる。

こうした状況の中で、北朝鮮の人間たちは自国がどのような姿になっているのかを正確に知ることができない。また国際的にどのような状況下に置かれているのかも知ることができない。

北朝鮮の指導部の垂れ流す情報だけしか接することができない場合、その政府が発表するニュース「だけ」を元にして状況を判断しなければならないのだから、真実を知ることなど到底無理な話だ。

そして、自分たちが飢えているのは金正恩政権の失策が原因ではなく、悪辣極まるアメリカや韓国や日本が経済封鎖するからで、指導者である金正恩はそんな悪質な国家と必死になって戦っていると勘違いする。

実のところ、北朝鮮の指導部はそうなるように世論操作していると言っても過言ではない。

だから、金正恩がミサイル実験をして国際社会が騒ぎ、北朝鮮を批判すればするほど、自分たちは国際社会に不当に弾圧されている「被害者」であり、自分たちが貧しいのも国際社会の不当な弾圧が原因だと思うようになる。

北朝鮮の指導部から毎日のように一方的なニュースを流されると、人民が骨の髄まで洗脳されたとしても何ら不思議なことではない。極限の中で生活し、そんなときに一方的な情報を聞かされると、正常な人間でも正常でなくなってしまう。

まさに、いかがわしいカルト教団さながらのやり口である。

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人民の不満を常に外部に向けるしかない北朝鮮

北朝鮮の政権はもはや共産主義体制でも何でもない。ただの独裁政権である。金王朝政権だ。独裁を維持するために人民を不当に弾圧し、洗脳し、自由を極度に制限し、人権蹂躙を行っている。

さしたる産業もなく計画性もないので人民は餓え続けている。日米と国際社会の強力な経済制裁によって、さらに状況は悪化した。

こうした経済情勢の悪化は、いかに情報封鎖と指導者賛美の洗脳を行っても人民の不満の高まりを抑えることはできない。

だから、金正恩はその不満をそらすためにミサイルを飛ばしてわざと国際社会から批判を受けて、「国際社会のせいで困窮している」と、困窮の責任を他国に押しつけているのだ。

反日・反韓・反米を強調しないと金正恩政権は持たない。「朝鮮半島の平和」など、受け入れることなど絶対にできない。アメリカも日本も韓国も国際社会も、北朝鮮に敵対していない状況は逆にマズい。

「誰も北朝鮮を敵対化していないのなら、なぜ我々は飢えているのだ?」という話になり、不満がすべて現政権に集中してしまう。平和になった瞬間、「現政権が無能だから我々は飢えている」という不都合な真実が明るみに出る。

人民の不満は、常に外部に向けていないと現政権は持たない。だから、現政権は必死になって「戦時中」「一触即発」を演出している。

北朝鮮が常に「周辺国が我が国を弾圧している」というスタンスで政治をしているのは、問題はすべて外部にあると思わせる金正恩政権の「誘導」なのである。

国際社会が北朝鮮を批判してくれるのは、実は北朝鮮の指導部にとっては嬉しいことなのだ。「敵がありとあらゆる手口で北朝鮮を潰そうとしている」という「国内向け」の情報操作が進むからである。

そのように人民に思わせることに成功すると、人民の不満は経済封鎖するアメリカ・韓国・日本に向かっていく。北朝鮮の指導部がそのような流れを作っている。

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北朝鮮は、強国に利用されている哀れな国家だ

情報統制して、自分たちが貧しいのは何でもかんでもアメリカや韓国や日本のせいにして世論操作を行う。好戦的な言動を国内の人間に聞かせて、指導者が外部と戦っているかのように見せかける。

核開発や弾道ミサイルの製造も、他国から人民を守るためでも何でもない。独裁者が、ただ自分の政権を維持するために必要としているだけだ。北朝鮮はそうやって政権維持を行っている。

まともではない。まともでない以上、こうした政権は崩壊すべきである。

国際社会は北朝鮮という国の存続を求めていないので経済制裁しているのだが、それでも崩壊しないのは裏に中国がいるからだ。

北朝鮮の悪しき独裁政権を維持させているのは中国であるのは、中国が支援を止めようとしないことでも明らかになっている。アメリカがどれだけ強く言っても、中国は北朝鮮への支援を止めない。

北朝鮮は緩衝材として役に立っている。北朝鮮があるお陰で、中国は38度線でアメリカと直接対峙する必要がない。そして中国は、アメリカや日本にプレッシャーをかけたいときは、北朝鮮を鉄砲玉として使える。

中国にとって北朝鮮は便利に使える「駒」である。だから、北朝鮮はいつまでも中国に「生かされて」いる。北朝鮮は強国から自立した国家ではなく、強国に利用されている国家なのだ。

ずっと中国に利用されてきたし、これからも利用される。ただし、物事には限度というものがある。このような愚かな独裁国家が永遠に存続できることなどあり得ない。

国際社会の忍耐はもう限界に近い。いくら中国が裏で支援していたとしても、どこかのタイミングでこの国家は必ず崩壊し、消え去っていくことになる。問題のある国家は、その問題ゆえに崩壊するのは自明の理だ。

北朝鮮の崩壊は早ければ早いほどいい。北朝鮮の崩壊が一刻も早く起きることを望む。これほど世界に必要とされていない国家は他にない。

『北朝鮮 核の資金源―「国連捜査」秘録―(古川勝久)』。厳しい国際包囲網の中、なぜ彼らは核兵器や米国にまで届くミサイルを開発できるのか。国連安保理の最前線で捜査にあたった著者が直面したのは、世界中に巣食う犯罪ネットワーク、それを駆使しての数々の非合法ビジネス、そして組織の中核で暗躍する日本人の存在だった――北朝鮮の急所を抉り出すスクープノンフィクション!

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