新型コロナウイルスで混乱する世界。オリンピックどころではないのではないか?

新型コロナウイルスで混乱する世界。オリンピックどころではないのではないか?

今のところ、東京オリンピックは開催される予定になっているのだが、私は本当に開催にまでこぎつけるのか楽観はできないと思っている。仮に日本が武漢肺炎の封じ込めに成功したとしても、世界各国が失敗して感染を拡大していたら、もはやオリンピックどころではなくなってしまうからだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

政府が対応を間違えると国は危機的なことになる

新型コロナウイルス(武漢肺炎)が全世界に蔓延しているのだが、この武漢肺炎はすでに2019年の11月から12月あたりに武漢で「謎の肺炎」として広がっていた。

しかし、中国共産党政権が隠蔽に走ったために無防備な市民に拡散していき、2020年1月にはついに手の施しようがない状態と化した。

隠蔽が問題を拡大した。

政府が新型コロナウイルスの感染を隠蔽する理由は、社会的動揺が経済に波及すると困るのと、政府の無策を国民に突き上げられたら体制危機が発生するのと、国際社会に批判を受けたくないからの三点があるからだ。

しかし、隠せば隠すほど何も知らない国民に感染が広がり、事態がどんどん深刻化していくことになる。

この中国から始まった新型コロナウイルスは、いまや日本を含めて全世界に広がっており、収束の兆しは今のところない。今は収束の局面ではなく、まだまだ拡散の局面にある。

効果的な治療法も確立しておらず、ウイルスに効くワクチンもなく、しかも困ったことに武漢肺炎は抗体ができにくい性質があるので、治ったからと言って二度とかからないわけではなく、何度もかかってしまうのである。

危険なことに、一度回復した患者が二度目にかかると今度は重症化するという性質まで確認されている。そんなわけで、特効薬としてのワクチンが開発されない限り、武漢肺炎の蔓延が収束することは決してない。

これは、「政府が対応を間違えると国は危機的なことになる」ことを意味している。

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世界各国はうまく対処しているのだろうか?

日本政府はインバウンドと習近平への忖度があって。1月に武漢肺炎の蔓延が確認されていたのに春節の期間に大量の中国人観光客を日本国内にじゃぶじゃぶと入れて、北海道から沖縄まで次々と感染者を広げていくことになった。

結局、政府はこの対応を激しく批判されて、3月に入ってから中国・韓国・イランという「超汚染国家」からの入国を事実上禁止したのだが、「時すでに遅し」のような状態になっている。

それでも対応しただけまだマシで、これからが本当の意味の感染防止の戦いが始まることになる。日本政府は東京オリンピックを控えているので必死だ。これ以上の蔓延と混乱は絶対に避けたいだろう。

今のところ、東京オリンピックは開催される予定になっているのだが、私は本当に開催にまでこぎつけるのか楽観はできないと思っている。仮に日本が武漢肺炎の封じ込めに成功したとしても、世界各国が失敗して感染を拡大していたら、もはやオリンピックどころではなくなってしまうからだ。

世界各国はうまく対処しているのだろうか。いや、とてもそのようには思えない。

隣国である韓国は「軽症者を自宅待機させて重症者を中心に治療に当たる」という基本がまるっきりできておらず、混乱をいたずらに広げている。

感染者を見つけることに躍起になって、感染者が見つかったら片っ端から病院に隔離して、病院が医療崩壊を起こして死者を広げているのである。しかも、韓国も最大の汚染国家である中国からの入国を制限しようとしなかったので、感染者がどんどん増えるという構図もある。

EU(欧州連合)ではイタリアがアウトブレイクを引き起こしている。イタリアは「誰がウイルスを持ち込み、誰が感染を広げたのか」が突き止められないまま、どんどん感染者を増やして、現在のところ感染者が4000人超え、死者100人超えという最悪の事態に陥っている。

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EU(欧州連合)もイランも為す術もなく汚染地帯と化す?

EU(欧州連合)各国は、イタリアは特別で自国では封じ込められるという根拠なき自信が2月まであった。

ところが今になって、フランスでも、ドイツでも、スペインでも、スイスでも、フィンランドでも、スウェーデンでも、ベルギーでも、オーストリアでも、クロアチアでも、ルーマニアでも、デンマークでも、オランダでも、次々と感染者が出てきており、このままでは中国を超える汚染国家になる可能性もある。

フランスもドイツも感染者は400人超え、スペインは270人超え、スイスやイギリスは110人超えとなっている。

EU(欧州連合)は「ヒト・モノ・カネ」を自由にした。人がそれぞれの国を行き来できるのであれば、ウイルスも人と一緒にそれぞれの国を行き来できるということだ。国境を封鎖しないのであれば、為す術もなくEU全土が汚染地帯と化すだろう。

中東はどうか。

中東ではイランが地獄のような有様になっている。感染が確認されたのは「公式発表」だけで3513人、死者は107人なのだが、イランは当初からずっと現状を隠蔽するか極小化して報道していたために、感染者がどんどん広がるという最悪の事態に陥っている国である。

しかし、イランの在外反体制派組織であるNCRI(国民抵抗評議会)によると、「3月1日時点でイラン国内の死者は650人を超えている」と報道で述べている。

BBCによる「病院関係者」の話でも「死者は少なくとも210人以上」と伝えているので、イラン政府はかなり現状を矮小化しようとしているのが見て取れる。イランでは政府関係者も武漢肺炎で死亡している上に、副大統領も保健省次官も感染してしまったことが分かっている。

経済制裁によって経済的ダメージを受けている中で、武漢肺炎の蔓延がイランを混乱させている。そういう状況である。

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こんな状態で、オリンピックが開催されると思うだろうか

アメリカはどうか。アメリカもまた武漢肺炎がカリフォルニア州を中心にして、いよいよ全米各地に広がろうとしている。

現在のところ16州で計215人なのだが、ニューヨーク州、テキサス州、ネブラスカ州、ワシントン州、フロリダ州などでアウトブレイクが起きている。封じ込めはかなり厳しいものになるだろう。

世界中がこのような状況に陥っているのが3月時点での状況だ。

今のところ、アフリカやインドのような人口が多く貧困層の比率も多い地域での感染はまだほとんど報告されていない。

しかし、EU(欧州連合)と結びつきが深いアフリカに感染者がほとんど報告されていないというのは不可解であるし、人口13億人のインドでもわずか28人の感染者しかいないというのも信じがたい事実だ。

仮にこのアフリカとインドで隠しきれないほどの感染爆発が起きた時、もはや武漢肺炎の拡大を阻止することは不可能になってしまうだろう。私自身は、すでにアフリカやインドにも感染者が広がっているのだが、マラリアか何かと誤診断されて処置されているのではないかと思っている。

唯一、何も起きていないのは北朝鮮だ。中国・韓国という「超汚染国家」に挟まれているのに「感染者ゼロ」なのだから、北朝鮮はきっと地上の楽園か何かなのだろう。もっともその北朝鮮も裏側で7000人を隔離したとか死者が数十人出ているとかいろんなきな臭い噂も出回っているので真相は分からない。

「暖かくなればウイルスは自然に沈静化する」という説もあるのだが、「東南アジアでも広がっている現状を見よ。暖かくなろうが沈静化しない」という反論もある。

自然に沈静化すれば人類にとっては幸運なことなのだが、そうでなければかなり危機的な状況に進行していくことになる。

こんな状態で、オリンピックが開催されると思うだろうか。オリンピックの開催は7月24日だが、延期するかどうかの最終的な判断は恐らく5月中には為される。

その時まで武漢肺炎を巡る世界の状況が変わっていなければ、オリンピックどころではない。いくらIOC会長が「予定通りにやる」と言っても、かなり厳しいことになるのではないか。

私は楽観視できないのではないかと思っている。

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