世界を見回すと2020年は混沌しかない。すべての混沌が広範囲に悪影響を及ぼす

世界を見回すと2020年は混沌しかない。すべての混沌が広範囲に悪影響を及ぼす

世界を見回すと2020年は混沌しかない。すべての混沌が玉突きのようにあちこちに悪影響を及ぼす流れになっているのが分かるはずだ。新型コロナウイルスによって起きているのは、全世界の「混沌化」だ。今までの世界秩序がどんどん崩れてきており、全世界で国家運営がうまくいかなくなってきている。それも、巨大なスケールで急激に悪化している。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

世界はリセッション(景気後退)が避けられない局面に

新型コロナウイルスがどこまで深刻化するのか誰にも分からない。いつ封じ込めできるのかも誰にも分からない。中国から始まった新型コロナウイルスの蔓延は、いまは欧米を覆い尽くしているのだが、これからアフリカやインド全土に広がっていくのかもしれない。

全世界がウイルスを遮断するために首都機能を停止させているのだが、このような状況の中で経済が成長するはずもなく、これから大量の失業者、大量の困窮者、大量の「経済的死者」が出てくる局面となる。

どこの国でも想定以上の困窮者が一気に生まれると政府も混乱し、行政も執行能力を失うので、国民が困窮に落ちても助けられなくなる。そうすると国民は政府を見切るしかなくなる。

国家はますます統治能力を失い、機能不全に落ちていく。

政府は情勢を落ち着かせようと巨額の財政出動に動き始めるが、それでも金融市場や実体経済の動揺を抑えられないと、国によっては政権崩壊や、それに近いことが起きることもあり得る。

新型コロナウイルスによって世界はリセッション(景気後退)が避けられない局面となっている。

ムニューシン米財務長官は「アメリカ経済成長は鈍化するものの、リセッション(景気後退)に陥ることは予想していない」と言っており、「経済活動は年内に明らかに上向くだろう」という見通しをマスコミに語ったのだが、果たしてどうなのか。この見方に懐疑的な意見は多い。

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実体経済が本当に助かるのかどうかは未知数

ムニューシン米財務長官の「リセッションはない」という発言の前、顧客の資産を預かる米投資運用会社グッゲンハイム・パートナーズは、「すでにリセッションに向かうドミノは倒された」という見方を披露し『一つ確かだと思われることは、ドミノは倒れ続けるということだ』と述べている。

つまり、リセッションは来ると考えている。

モルガン・スタンレーも「政策対応が景気を下支えするだろうが、リセッションに陥ることは今や基本シナリオでもある」との主旨のことを述べている。「新型コロナウイルスの影響が長引けば長引くほど事態は深刻になる」という見方は至極当たり前のことを言っている。

ゴールドマン・サックスも、『新型コロナウイルスが世界的なリセッションへの引き金を引いた』との意見を出している。

まだリセッションが宣言されているわけではないのだが、これだけグローバル経済が停止しているのであればリセッションは避けられないと見るのが自然だ。

こうした事態を受けて、アメリカ政府は2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策を必死にまとめている。さらにFRB(米連邦準備理事会)も4兆ドル(約440兆円)の金融緩和を行うと発表して、必死で景気の底固めを行っている。

こうした市場への支援策によって市場は爆上げしているのだが、もしこの景気浮揚策の想定を超える出来事が再び起きると、アメリカ政府はさらに泥沼の金融緩和を迫られることになる。

金融市場の下支えになっても、実体経済が本当に助かるのかどうかは未知数であるということでもある。

さらに、世界はアメリカのように大胆かつ大規模な量的緩和ができる国ばかりではないわけで、場合によっては新型コロナウイルスのダメージによって国家崩壊を引き起こす国も起きてくるかもしれない。

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新興国・途上国はどこもこのような状況になっている

新興国・途上国は医療施設が脆弱であるだけでなく、国家基盤も国家財政も脆弱であることが多く、何らかの問題が起きたらすぐに財政はパンクして国家が機能しなくなってしまう。

その結果、暴動や内戦が起きて国家崩壊になっていき、それが再び世界を激震させることもあり得る。

すでで東南アジア・アフリカ・インド・ラテンアメリカなどの新興国・途上国の多くの経済は傷ついている。にも関わらず新型コロナウイルスは収束していないので、今後は途上国の蔓延と政情不安につながっても何らおかしくない。

タイやフィリピンではすでに首都を封鎖しており、莫大な経済的損失を被っている。インドも2020年3月24日に全土の封鎖を決定した。『明日からインド全土を完全に封鎖する。事実上の外出禁止令だ』とモディ首相は述べている。

400名の感染者を出している南アフリカも3週間の外出禁止措置を行っており、人々に助成金を出しつつ自宅待機を命じている。

感染者1500人超えのブラジルも非常事態宣言を出して「不要不急の商業活動・外出」を禁止している。緊急経済対策と利下げも行って貧困層が追い込まれないようにしているのだが、仕事がないのであれば貧困層の暴動は起きやすくなる。

新興国・途上国はどこもこのような状況になっているのである。

2020年。新興国は間違いなく成長できない。GDP成長マイナスに転がり落ちる国が続出する。

新興国が成長をやめたのであれば、そこは「不安定でリスキーな場所」にすぎない。資金は急激に引き揚げられることになる。新型コロナウイルスが収束しないのであれば、多くの国で「国家崩壊」の兆候が現れるようになる。

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「最も弱い人」が社会のどん底で見捨てられる

日本は2019年に消費税を10%にして景気を悪化させた。そして、2020年1月には早くも新型コロナウイルスの問題に巻き込まれてより景気を悪化させた。そして、2020年の景気高揚策であったオリンピックの開催も事実上の延期に追い込まれている。

このような経済活動の停滞によって倒産・休業・縮小に見舞われる企業が増えており、新年度になるとアンダークラス(低所得層)の解雇・一時休業・給料引き下げなどの動きが急激に起こる。

こうした中では思い切った金融緩和や消費税ゼロのような政策が必要になってくるのは当然なのだが、この期に及んでも政府・官僚の危機意識は弱い。アメリカは凄まじいまでの景気高揚策をまとめようとしているのだが、日本政府は大胆な政策を何も決めないまま時間を消費しようとしている。

世界を見回すと、2020年は混沌しかないわけで、すべての混沌が玉突きのようにあちこちに悪影響を及ぼす流れになっているのが分かるはずだ。

新型コロナウイルスによって起きているのは、全世界の「混沌化」だ。今までの世界秩序がどんどん崩れてきており、全世界で国家運営がうまくいかなくなってきている。それも、巨大なスケールで急激に悪化している。

新型コロナウイルスの治療薬や特効薬はまだ存在しないのだから、事態がどのようになるのか常に流動的である。

今、全世界が一斉に「都市封鎖」「外出自粛」の政策を行っているのだから、これが功を奏して新型コロナウイルスの蔓延は一時的に収束させることができるかもしれない。しかし、封鎖や自粛を緩めた瞬間に再び蔓延が始まる。

経済状況が悪化すると、行政サービスも、教育も、福祉も、医療も、生活環境も、すべてが悪化していき、国民はその中で孤立無援になっていく。そして、どうなるのか。「最も弱い人」が社会のどん底で見捨てられる。そして、その見捨てられた人々が今度は社会を悪い意味で変えていくようになる。

事態は、刻一刻とそのようになりつつある。

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