「ステイホーム」では駄目だ。最大限の防御をしつつ活動再開の覚悟をすべき

「ステイホーム」では駄目だ。最大限の防御をしつつ活動再開の覚悟をすべき

「コロナを最大限防御しつつ企業活動を最大限継続させる」しか、私たちが生き残る道はない。どんなに完璧にやろうとしても感染は止められない。クラスターも発生する。死者も増える。しかし「ステイホーム」を継続しても社会は崩壊する。完璧かつ長期にすればするほど致命傷になる。経済活動の道を拓く決断と覚悟を、政治家・経営者・個人の全員がしなければならない日が来ている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

すでに中国発コロナウイルスは野に放たれた

中国発コロナウイルスの感染拡大は当面止めることができない。しかし、このまま緊急事態宣言を継続したまま経済を止めていると、日本のあらゆる企業がすべて倒産し、失業者の群れが街に溢れる。

そうなれば、政治や行政がいくら救済措置に走っても間に合わなくなる。どうすればいいのか。そのせめぎ合いで世界が揺れている。

まず、私たちはコロナ感染問題は当面「収束できない」ことを確認しておかなければならない。ワクチンは全世界の製薬会社が死にもの狂いで開発に勤しんでいるのだが、これが本格的に流通するようになるのは来年の春頃からだ。

それまでは行動規制で感染を遅らせることができても収束させることは基本的にできない。

いや、ワクチンができてもコロナウイルスは何度も何度も突然変異を繰り返して広がるので、現在のインフルエンザのように違うタイプのコロナが流行していく中で生活しなければならない。

すでに中国発コロナウイルスは野に放たれた。これを完全に封じ込めることを考えるのは今のところ現実ではない。私たちが見なければならない現実は「コロナウイルスと共に生きなければならない」ということなのだ。

コロナウイルスが爆発的に拡散するようになったのは3月からだ。日本も自粛が広がるようになり、4月には緊急事態宣言で自粛(ステイホーム)が強制されるようになった。たった2ヶ月でコロナウイルスは経済を壊滅状態に追いやっている。

しかし、このままワクチンができるまで1年近くも「ステイホーム」で暮らしていけるわけがないのだ。

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「ステイホーム」を守れるのは富裕層だけ

何年も仕事をしないでブラブラ暮らせる富裕層は、「ステイホーム」を守れるし、それを他人に説くこともできる。しかし、ごく普通の人は誰もが働かなければみんな家賃も払えなくなるし、食事もできなくなる。貯金が尽きたら路頭に迷うしかない。

実際、非正規雇用者などの弱い層から「すでに」そうなってしまっている。フリーランスも個人事業主も仕事を打ち切られたりして収入がゼロとなっている。

さらに、緊急事態宣言の発令で強い自粛要請が出たことによって中小企業・小規模事業者の売上は激減している。石油価格が大暴落しているのを見ても分かる通り、すでに全世界で産業が停止して製造業も壊滅状態となっているので、これから大企業も追い込まれていくことになる。

航空業界は巨額の累積債務を抱えて潰れかけているし、自動車産業もこのままでは存続不能になる。

経営に行き詰まった企業が増えれば、企業にカネを貸し付けている銀行も経営危機に向かっていくわけで、これから年末にかけて「金融危機」が発生したとしても私は驚かない。

そうなれば「ステイホーム」などと言って超然としていられるような状況ではないということが分かる。経済が動かなくなれば「ステイホーム=餓死」なのである。まさに「コロナで死ぬか、飢えて死ぬか」の二者択一と化す。

私たちは生き残らなければならないので、二者択一のどちらも選択できない。私たちが何とか生き延びたいのであれば「コロナで死ぬか、飢えて死ぬか」ではなく、第三の道を選択しなければならないことが分かる。

どうすればいいのか?

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「防御しつつ働く」「防御しつつ会社を継続」

「ステイホーム」の徹底は、「コロナで死ぬか、飢えて死ぬか」の二者択一となってしまう。私たちは今それを迫られているのだが、そのどちらも選択しないで生き残るのであればどうすればいいのか?

「コロナで死なないように防御しつつ」
「飢えて死なないように働く」

そして、すべての企業も生き残るために「コロナが収まるまで休業する」という発想ではなく、以下の考え方に転換しなければならない。

「従業員がコロナに感染しないように防御しつつ」
「企業を止めないで継続させる」

そして、すべての国の政府も経済を壊滅的に破壊しないために「ロックダウンを極限まで継続する」という発想から脱して、以下の考え方に転換しなければならない。

「国民が感染しないような社会ルールを作りつつ」
「感染拡大しない企業活動を推進していく」

どのみちコロナは根絶できないしワクチンの流通は先の話になるのだから、完璧に防御できないとしても今できる最大限のことをして「コロナで死なず、飢えて死なず」を実現しなければならないのである。

繰り返すが、「ステイホーム」ができるのは、カネがあって働かなくても暮らしていける人間たちだけなのだから徹底するのは無理だ。世の中の大半の人はとにかく働きにいかなければならない。「ワクチンができるまでステイホーム」みたいな非現実的な考え方は捨てる必要がある。

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「ステイホーム」を継続しても社会は崩壊する

コロナが蔓延する中で働くために、私たちに求められているのはコロナ社会に適応することだ。コロナは撲滅できないのだから、そうであれば共存して動き回るための新しいルールや秩序や規律や規則を生み出す必要がある。

具体的に言えば、感染防止のための「マスク、手洗い、距離間、3密、遠隔勤務、ネット重視スタイル」に転換する社会的ルールや常識を徹底して、共通認識として定着させるべきだ。言ってみれば文化レベルで常識を作るべきだ。

あらゆる製造業、アパレル企業、IT企業は新たなアイデアとイノベーションで「対コロナ製品」を生み出す必要もある。

また企業も従業員や顧客を感染させないための仕組み作りに変えていく必要がある。たとえば「換気装置を増設する」「窓開けの規則を作る」「抗菌素材に変える」「感染防止の空間に作り替える」などを徹底すべきだ。

政府は、感染防止の設備投資に補助金を出したり税制優遇して企業を支援し、感染者が出ても施設全面停止させるとか、長期休業をしないで事業継続できる環境を作って「感染が拡大しない、企業が止まらない、経済が止まらない」ように法的整備をしていくべきだ。

また、万一コロナの感染者が発生しても風評被害で事業が困難になったりするのを避ける体制を作らなければならない。逆に意図的に感染を拡大させるような個人や企業を強く罰する法律も必要になる。

「コロナを最大限防御しつつ企業活動を最大限継続させる」しか、私たちが生き残る道はない。どんなに完璧にやろうとしても感染は止められない。クラスターも発生する。死者も増える。しかし「ステイホーム」を継続しても社会は崩壊する。完璧かつ長期にすればするほど致命傷になる。

経済活動の道を拓く決断と覚悟を、政治家・経営者・個人の全員がしなければならない日が来ている。

『週刊東洋経済 コロナ大恐慌』

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