数ヶ月に渡って収入が半減したりゼロになっても生きていけるかを自分に問え

数ヶ月に渡って収入が半減したりゼロになっても生きていけるかを自分に問え

新型コロナウイルスによる環境の悪化は自分のせいではないし、自分の力ではどうにもならないのだから、支援を受けることを躊躇してはいけない。むしろ、積極的に受けなければならない。そのために税金を払ってきたのだから当然のことである。しかし、支援を受けるだけでは問題は解決しない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

経済悪化の中で政治は国民を救済しただろうか?

1990年代のバブル崩壊で多くの国民が実体経済の悪化に苦しんでいくようになった時、政治は国民を救済しただろうか。

いや、政治は1990年代に日本経済が縮小していくのを放置し、未曾有の就職氷河期を生み出しても何もしなかった。それどころか、いよいよ国民が苦しくなった1997年に、なんと消費税を5%に引き上げて景気回復を完全に破壊した。

2000年代の格差拡大の時代で多くの若者が非正規雇用に追いやられていくようになった時、政治は国民を救済しただろうか。いや、政治は2000年代に格差が広がっていくのを放置し、むしろ「人材の流動性を高めるのが重要」と言って、より非正規雇用者を増やしていく方策を取った。

これによって働いても働いても賃金が上がらず、企業の都合で雇い止めされ、低賃金の仕事を転々とするしかない若者が増えた。そして、彼らの中の最底辺は、ついに住居すらも持てないでネットカフェで寝泊まりするしかないような状況になっていった。

2009年の民主党政権になってから政治はさらに混乱した。そんな中、日本は2011年3月11日に東日本大震災に見舞われた。日本が崩壊するかどうかの瀬戸際になってしまうと、もう政治家も国民も社会のどん底でもがいている若者たちに関心を失った。

30年かけて日本経済は悪化し続けていく一方だった。これによって日本は、平均年収約186万円の「アンダークラス」と呼ばれる低所得層が930万人にもなって、社会の底辺を覆い尽くしていく社会となってしまったのだった。

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社会問題がコロナ禍による経済停滞によって深刻化

これは日本経済が縮小していく中では、政治は国民が低所得層に落ちていくことを止める能力は持っていないことを意味している。つまり、経済が悪化していくと、多くの国民が貧困に落ちていくのを放置される。

そうであれば、新型コロナウイルスによって1930年代の世界大恐慌なみの景気後退(リセッション)が襲いかかる中、政府が強力に国民を救済する能力があると考えるのは「甘い」ということに気づく。

2008年のリーマンショック時は1年間で失業者は110万人以上増加した。コロナ禍はリーマンショックをはるかに超える危機であり、失業者は110万人を超えるどころか、どれくらいのスケールで増えていくのか分からない状況になる。

雇用の状態を見るすべてのデータが雇用の悪化を示している。有効求人倍率も、完全失業率も、新規求人数も、コロナ禍によって一気に悪化した。そのため、2020年から日本の貧困はより加速してしまうことが確実になってしまった。

そして、日本はいくつもの社会問題がコロナ禍による経済停滞によって、より深刻化していくことになる。

・低所得層はさらに増加する。
・少子高齢化はさらに加速する。
・結婚率はさらに低下する。
・虐待はさらに増加する。
・日本国民の自信喪失はさらに深まる。
・国への帰属心はさらに低下する。
・政治不信はさらに深まっていく。

にも関わらず、政治は国民の窮状を救済することができない。企業も減収減益に追い込まれれば従業員を抱えておくことができない。

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政府による救済支援を徹底的に使いこなせ

新型コロナウイルスによって経済環境が激変してしまった人は、政府による救済支援を徹底的に使いこなし、経済支援を受けるべきだ。2020年5月1日の時点で政府が行っている支援はいくつもある。

・特別定額給付金
・子育て世帯への臨時特別給付金
・緊急小口資金・総合支援資金
・持続化給付金
・実質無利子・無担保融資
・社会保険料等の猶予
・住居確保給付金
・生活困窮者自立相談支援事業
・生活保護

「特別定額給付金」は普通の国民なら誰でももらえるが、申請しなければもらえないということに注意すべきだ。役所の申請用紙を書くのは苦手だとか言ってやらない人もいるかもしれないが、そんなことを言っている場合ではない。

休業・失業に見舞われた個人は「緊急小口資金・総合支援資金」で当面の生活費を貸し付けてもらえる。受けるべきだ。また、「社会保険料等の猶予」にも応じてもらえる可能性もある。

家賃が支払えないほど危機に落ちているのであれば「住居確保給付」を受けることができるかもしれない。

電気・ガス、水道・下水道、NHK、固定電話・携帯電話料金の支払いも困難になっているのであれば、事業者に相談することによって猶予を受けることも可能になりつつある。政府がこれらの事業者に対して柔軟に対応するように要請が出されているからだ。

収入が激減した個人事業主・フリーランサーは「持続化給付金」や「実質無利子・無担保融資」が使える。その他、個人的な事情によって包括的な支援が必要な場合は「生活困窮者自立相談支援事業」で相談ができる。

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数ヶ月に渡って収入が半減したりゼロになった時

環境の悪化は自分のせいではないし、自分の力ではどうにもならないのだから、支援を受けることを躊躇してはいけない。むしろ、積極的に受けなければならない。そのために税金を払ってきたのだから当然のことである。

しかし、支援を受けるだけでは問題は解決しない。

特別給付金は今のところ一度きりであり、それは支給が遅い上に足りない。そして、その他の政府が行っている経済支援のほぼすべては何度も何度も繰り返し受けられるものではなく一過性のものだ。支援のお代わりはできない。

企業も危機の中で最初は従業員を守ろうとするが、企業はボランティア組織ではない。それゆえに、いつまでも自粛による減収減益に耐えられるわけではない。有利子負債の大きな企業は潰れていくし、内部留保が潤沢な企業もそれを使い果たしていくと継続する危機を乗り越えられなくなって限界がくる。

企業が限界に達したらリストラが吹き荒れることになる。

日本を揺るがすような危機が起きた時、当初は政府の経済支援はあるのだが、多くの国民を取りこぼす上に、支援を与えるのは一度きりで、危機が長引けば長引くほど支援は途切れていく。さらに企業も危機が長引けば従業員を守れなくなって切り捨てていくことになる。

状況が悪化していくのは、これからである。今年後半から来年にかけて、日本のみならず全世界の実体経済が崩れていく。そして、経済悪化の第二波が来た時、政府も企業も経済支援を継続できなくなっている可能性がある。

そうであれば、私たちはこれからの時代をかなり注意深く生き残らなければならないということになる。結局、誰も助けてくれないのである。

今後、数ヶ月に渡って収入が半減したりゼロになったりした時、自分が生きていけるのかどうか。それを今のうちに自分に問わなければならない。そうなるかもしれないのだから……。

『週刊エコノミスト 2020年05月05・12日合併号 大予測コロナ経済&マーケット』

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