中国はトランプ大統領を落選させるために、ありとあらゆる工作を発動する

中国はトランプ大統領を落選させるために、ありとあらゆる工作を発動する

「貿易」「技術」「投資」の三分野でデカップリングが完成すると、中国はアメリカというグローバル経済最大のマーケットから締め出されてしまう。当然、中国の凋落は避けられない。トランプ大統領はそれを進める気でいる。揺るぎない決意でやっている。中国はもうトランプ大統領を買収することも懐柔することも説得することもあきらめている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

中国発コロナウイルスによって責任を追及される

間違いなく言えることがある。それは、中国発コロナウイルスの感染拡大の責任を巡って、中国は今後ありとあらゆる国から責任を追及されることになるということだ。すでにアメリカのトランプ大統領は激しく中国を糾弾している。

フランスのマクロン大統領も、中国がコロナでうまく対処したと自画自賛していることに強い不快感を持ち、「起きていながら私たちが知らないことが明らかにある」と中国が情報隠蔽を批判している。

イギリスも中国の情報隠蔽や感染者・死者の捏造に対して「中国は厳しい質問に答えなければならない」と責任追及の姿勢を見せている。ドイツのメルケル首相も「中国の情報開示が十分でなかった」と言っている。

アメリカ人は中国政府を訴え、カナダ人も中国政府を訴え、イタリア人も中国政府を訴えている。

しかし、中国はこうした各国の姿勢に激しく反発し、ウイルスの感染源を独自調査しようとしたオーストラリアに対しては牛肉の一部を輸入禁止にするような圧力さえも加えている。

自分たちの責任は絶対に認めず、自分たちの隠蔽についても説明せず、全世界を恫喝して、黙らせようとする。これが中国のやっている外交だ。これは中国共産党政権の体質である。

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自分たちが国際社会から「排除される」

中国共産党政権が恐れていることは、自分たちが国際社会とぎくしゃくして「孤立への道」に向かうことだ。

それは中国共産党政権にとって、すなわち「中国の威信が低下する」ことにつながるのだが、それよりも何よりも「14億人が食えなくなる」ことによって自分たちの体制が崩壊することを意味している。

中国は中国共産党政権の一党独裁国家である。中国共産党政権が打倒されると、国そのものが崩壊する運命にある。自分たちが国際社会から「排除される」というのは、国家崩壊に直結する事態である。

今、まさにそうした最悪の事態が着々と進行しつつある。

そこで中国共産党政権は、全世界の指導者に賄賂や恫喝や圧力を加えて中国が排除されないように工作活動している。マスク外交もその一環だ。それぞれの国にマスクを大量に送りつけて「中国に感謝するように」とそれぞれの国の指導者に書簡を送るようなこともしている。

当然、目の前に差し出されるチャイナマネーに目がくらんで中国側につく国も大勢現れる。こうした国々はチャイナマネーを受け入れて、「感染源は中国ではない」と言い始めることになる。

WHO(世界保健機関)がすっかりチャイナマネーに毒されて役に立たなくなったが、中国は常にワイロや恫喝やハニートラップやハッキングなどの手法を使って縦横無尽に工作活動を行う国であり、それはある程度成功する。

そのため、今後は中国が孤立するというよりも、かつての米ソ冷戦の時と同じように国際社会が米中で二分化することになるのではないか。

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米中はデカップリングしていくことになる

「中国政府の責任は多様な方法で追及されなければならない」とトランプ大統領は述べている。その中には当然のことながら、アメリカに対する莫大な賠償金も含まれている。

しかし、中国は絶対に賠償金を支払うことはない。また責任を認めることもない。中国はカネを払いたくないという問題もあるのだが、メンツもあるので絶対にそれを認めることができないのだ。

そのため、米中の対立は「どこかで手打ち」になるというよりも、大きな溝がどんどん広がっていき、最終的には完全なる決裂に至るだろう。

アメリカはすでに中国を自分たちの陣営から切り離すために矢継ぎ早に手を打っている。今までグローバル経済のパートナーとして米中は一種の「カップル」であったが、今後はカップルではなくなる。

すなわち「デカップリング(分離)」していくことになる。この米中のデカップリング(分離)は、3つのジャンルで行われる。

・貿易
・技術
・投資

米中貿易戦争はコロナ以前の2019年からすでに本格化していた。トランプ大統領は中国が「非合法な手段でアメリカを食い物にしている」として激しく中国を批判し、中国に責任を取らせるために報復関税をかけた。

そして、中国が非合法な手段で技術を奪い取っているとして、ファーウェイやZTEのような企業を排除するようになった。

そうした中で中国発コロナウイルスのパンデミックでアメリカは被害を被っているのだが、いよいよ投資のジャンルでも中国をアメリカ及びグローバル経済から排除しようと動くようになってきた。

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トランプ大統領は再選されるのだろうか

トランプ米政権はアメリカの投資家が中国企業に投資しないように働きかけているのだが、他にもアメリカの株式市場に上場している中国株を上場廃止にする施策も検討している。

アメリカの株式市場(NYSE、NASDAQ)に上場している中国企業は156社あり、そのうちの11社が国有企業だが、もしトランプ大統領が再選されたら最終的にこうした企業はアメリカから一掃されることになる。

「貿易」「技術」「投資」の三分野でデカップリングが完成すると、中国はアメリカというグローバル経済最大のマーケットから締め出されてしまう。当然、中国の凋落は避けられない。

トランプ大統領はそれを進める気でいる。揺るぎない決意でやっている。中国はもうトランプ大統領を買収することも懐柔することも説得することもあきらめている。

もし中国がこの状況を一気に変えることができる手段があるとしたら、トランプ大統領が大統領戦で敗退することである。

中国は絶対にトランプ大統領に再選して欲しくない。トランプ政権が再び4年続くとデカップリングは完全に避けられない。

民主党のジョー・バイデンが大統領になったとしても、米中蜜月ということにはならないかもしれない。しかし、民主党系の大統領や議員はトランプ大統領よりも懐柔しやすいと中国は見ているはずだ。

少なくともトランプ大統領よりもずっとマシだ。

とすれば、今後の半年で何が起こるのか分かる。これから起こるのは中国がトランプ大統領を落選させるための、ありとあらゆる工作が発動されるということだ。私たちの見えないところで繰り広げられるあらゆる工作の中で、トランプ大統領は再選されるのだろうか。

その結論は、誰にも分からない。

『AFTER SHARP POWER(アフター・シャープパワー): 米中新冷戦の幕開け』

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