パチンコに取り憑かれたら、間違いなく人生そのものがゲームオーバーと化す

パチンコに取り憑かれたら、間違いなく人生そのものがゲームオーバーと化す

パチンコにはすでに多くの既得権益者がいる。経済のためにパチンコの依存性や危険性は無視され、矮小化されている。パチンコ依存で人生が破滅してしまう人間がいても、それは個人の自己責任とされ、「業界が悪いのではなく、個人が悪い」という話にされていく。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

大量のパチンコホールに囲まれていて、逃れられない

パチンコ依存は紛れもなく病気である。パチンコが、アルコールやドラッグと同じような常習性を生み出し、中にはそれを止められずに人生そのものが破壊されてしまう人たちも存在する。

ホームレスの少なからずはパチンコ依存であるというのは、こうした人々を支援する社会的企業を運営しているビッグイシューでも、『ホームレス状態とギャンブル障害』という冊子の中で指摘している。

パチンコは巨大産業であり、パチンコに関わる企業は巨大企業である。ユーザー数も多く、社会に定着してしまっている。そして、パチンコ企業は大量の宣伝費をかけて今も新規のユーザーを取り込み続けている。

だから、パチンコによる依存や生活破綻が底辺で大きな問題になっても、もはや誰もパチンコ業界を批判することはできなくなってしまっている。いや、批判はあるのだが、少々批判されたところでビクともしないくらい社会に定着してしまったと言うべきか……。

日本人は大量のパチンコホールに囲まれていて、逃れられない。街のどこにでもパチンコ屋が存在する。地方でも、道沿いに巨大なパチンコホールがあって、朝から晩まで台が埋まっている。

学生でも、主婦でも、サラリーマンでも、年金暮らしの高齢者でも、いつでもふらりとパチンコホールに入って依存性の高い「ギャンブル」に耽ることができる。そして、次々とパチンコ依存者を生み出す。

しかし、日本人はそれが「異様」だと感じないくらい馴染んでしまっている。

マスコミも、絶対に何があっても、パチンコというものの危険性を本気で啓蒙したり、注意喚起したり、やめさせようとはしない。むしろ、そういった危険性を喚起する人間の声は抹殺するか、表に出さないようにするか、強い反論と共に紹介する。

なぜなら、そこに金がうなっているからだ。

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パチンコ依存は、立派な「ドラッグ依存」である

今のパチンコはハードが高機能化し、グラフィックスの表現は進化し、より強い刺激を得られるように進歩している。そして、強い刺激が得られるようになればなるほど依存と中毒が突き進んでいく。没入感は半端なく強くなっているのだ。

パチンコ依存は、ある意味「ドラッグ依存」とも言える。パチンコに熱中しているユーザーは、脳内で快楽物質であるドーパミンを大量に放出している。それは、まさにそれはドラッグと同じ働きをしているのだ。

ドーパミンが大量放出されると、ユーザーはそれを少しでも長引かせたくて、どんどんパチンコの世界に引き込まれていく。パチンコを止めることなどできなくなってしまう。

まわりから見ると、まるで気が狂ったように見えるほどパチンコに魂を奪われているのは、つまりドーパミンという快楽物質を必死に放出させようとする依存者の姿なのである。

ドーパミンが継続して大量放出されると、脳は快楽に溺れる。

しかし、強い刺激を受け続けていると、その刺激に慣れてやがて効かなくなる。そうすると、もっと強い刺激、もっと長時間のプレイが必要になっていく。パチンコをしないではいられなくなってしまう。

世界保健機関(WHO)が指摘している危険性は、まさにこの部分を指している。

パチンコにハマり、何時間もパチンコに熱中して他のことをまったくしなくなるのである。人間関係が破綻し、仕事を解雇され、借金が積み重なり、人生そのものが悲惨なものになっていく。

そうなってしまえば、正常な人間関係を保つことはできないし、社会から排除される要因となるので、ますますパチンコ三昧になって孤立を深めていく。

極度なまでにパチンコに取り憑かれていたら、間違いなく人生そのものがゲームオーバーと化す。パチンコに没頭するのは、ドラッグに没頭するのと同じだ。それは自分の脳を破壊し、自分の人生を破壊する。

しかし、そんな危険なものがどこの町にもあって、誰でもふらりと利用できるようになっている。

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経済効果のためにパチンコの依存性や危険性は無視

パチンコ市場は、かつては約30兆円規模で、下火になりつつある今でも17兆192億円の売上を誇っている。これは365日で割ると、一日あたり466億円を売り上げているということになる。

2020年、『鬼滅の刃 無限列車編』という映画が爆発的ヒットしていて、31日間の累計観客数は1750万人、興行収入は約233億円と発表されている。これは凄まじい社会現象であると誰もが認めるはずだ。

31日で233億円というのであれば、一日7億5161万円を売り上げているということになる。しかし、パチンコの売上と比較するとどうなるのか。

パチンコ売上:一日466億円
『鬼滅の刃』:一日7億5161万円

1ヶ月で興行収入約233億円を売り上げる社会現象を巻き起こしているコンテンツも、パチンコの前では62分の1の規模でしかなく、まったく足元にも及ばないということが分かる。

こうやって見ると、「ちょっと待ってくれ、数字が間違っているのではないか?」と思うほどパチンコ産業に流れている金は凄まじいものであるというのが分かるはずだ。こうした「超巨大産業」が、22万4000人を雇用し、広告代理店にも、政治家にも、警察にも金を流している。

パチンコは衰退産業に入っていると言えども、まだ超巨大バケモノ産業なのだ。

そんな状況なのだから、パチンコを利用するユーザーが「パチンコ依存」になって生活破綻したり廃人同様になったところで、そこに意味を見い出す人間はいない。すでに多くの既得権益者がいて、「パチンコがなくなったら困る」と思っている。

パチンコ依存で人生が破滅してしまう人間がいても、それは個人の自己責任とされ、「業界が悪いのではなく、個人が悪い」という話にされていく。業界の利益、あるいは経済のために、パチンコの依存性や危険性は無視され矮小化されている。

そもそも、パチンコ依存に転がり落ちてしまった依存者たちもまた、自分たちが依存しているパチンコがなくなったら困ると思っている。

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日本人に仕掛けられている大きな「ワナ」

すべての人がパチンコ依存になるわけではないのだが、誰でもパチンコ依存になる可能性がある。

パチンコ依存症は「脳を変容させる」ものである。依存というのは、もはや自分の意志でやめることができない状態になるまで脳が変容してしまったということなのだ。変容という言い方が分かりにくければ、破壊という言い方でもいい。

パチンコ依存はその人の脳を破壊する。これは比喩ではない。本当に脳が働かなくなってしまうのである。

具体的に言えば、パチンコ依存によって前頭葉が鍛えられなくなってしまう。前頭葉とは、人間にとっても最も重要な精神作用を司る部分である。

感受性、他者への思いやり、コミュニケーション、思考能力、情緒、思いやり、愛情、想像力、そして善悪の判断といった重要な部分は、すべて前頭葉が受け持っている。この部分が破壊されてしまう。

パチンコ依存は、紛れもなく病気だ。

パチンコをする回数や時間や使う金額を自分の意志ではコントロールできなくなり、パチンコが他の日常生活よりも優先され、生活に悪影響が出てもやめられなくなる。

こうした症状で家族や社会、学習、仕事に重大な支障が起きている場合、それは「パチンコ依存」と診断される。若い脳であればあるほど依存に直結しやすいのだが、中高年も依存に落ちる。男性が落ちやすいのだが、女性も重度の依存者がいる。

誰でも依存者となる。

パチンコ産業の問題は、ユーザーがパチンコ依存症になって人生が破滅するまで金を貢ぐことを前提に事業が成り立っていることだ。こんな産業が放置されていることに危機感を覚えない日本人はどうかしている。

パチンコは、日本人に仕掛けられている大きな「ワナ」である。自分がワナに落ちなくても、自分の大切な家族や、恋人や、友人や、同僚が、そこに落ちて地獄を見ることになるかもしれない。

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