誰もグローバル化や多文化共生を進めてくれと頼んでいないのにそうなる理由

誰もグローバル化や多文化共生を進めてくれと頼んでいないのにそうなる理由

グローバル化や多文化共生の社会など普通の人は求めていないし、政府に頼んでもいない。にも関わらず、グローバル化はどんどん推進されていく。人々は、こんな社会を破壊したいという意識的・無意識的な感情を持ってSNSで怒りをぶちまけ、社会の空気はどんどん悪化している。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「1%の富裕層と、99%の貧困層」政策を押し進める

2020年11月24日。ジョー・バイデンは新政権発足に向けてオバマ政権時代の閣僚を引き連れて記者会見し、トランプ大統領が掲げている「アメリカ第一主義」を捨てて、再び国際協調の政策に戻ることを発表した。

国際協調の政策というのはすなわちグローバル化である。

ジョー・バイデン政権が発足すると、アメリカは再びグローバル化を高々に復活させて多国籍企業を莫大に儲けさせて、国民を困窮化させる政策に戻る。つまりは、「1%の富裕層と、99%の貧困層」政策を押し進めることになる。

グローバル化を推進し、多文化共生を「強制」させているのはエリートとエスタブリッシュメントである。多国籍企業の代理人である彼らは、そこから莫大な儲けを手にすることができる。

そのため、グローバリズムを心から愛している。

しかし、こうしたエリートやエスタブリッシュメントは、人口から見るとほんの1%に過ぎない。残りは非エリートであり、グローバル化した社会の中で支配される側の階級だ。

その支配される側の人々は、別にグローバル化や多文化共生によって恩恵を受けているわけはない。

国や企業が「安い労働者が欲しい」という理由で連れてきた移民によって、彼らは低賃金化を余儀なくされ、文化も価値観も違う移民と対峙させられ、恩恵どころか大きな損害を被っている。

エスタブリッシュメントにとっては企業を成長させ、利益を生み出すためにグローバル化は非常に大切な動きだが、労働者にとってはそんなものはどうでもいい。むしろ、グローバル化は支配される側の労働者にとっては敵である。

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自国の労働者も移民もどちらも不幸になっていた

当初、世界中の労働者は「国内のグローバル化」が何をもたらすのか分からなかった。だから、企業やマスメディアがそれを推進しても、労働者は「自分たちには関係ない」と考えただけだった。

しかし、関係ないどころではなかった。

グローバル化は、多国籍企業と関わっていない労働者にも深刻なダメージを与えることになる。グローバル化することによって多国籍企業だけでなく、すべての企業が新興国との激しい価格競争に巻き込まれることになるからだ。

価格競争に巻き込まれた企業は、価格を下げるためにとにかく人件費を下げる必要があった。そのため、高い賃金を要求する自国の労働者を切り捨てて、安い賃金でも働く途上国から来た外国人労働者を使うようになったのである。

すべての先進国が「移民」問題に悩まされるようになったのは、多国籍企業が自分たちの競争力強化のために「安い賃金」で働く移民が欲しかったからであり、それを押し進めるのがグローバル化であり、それを美化したのが多文化共生という言葉だったのである。

利益優先の企業にとって、自国の文化やら価値観よりも「儲け」の方が重要だ。だから、ひたすらグローバル化と多文化共生を押し進めた。当然のことながら、労働者は、賃金引き下げと社会不安定に巻き込まれた。

そして、世界中の労働者が「グローバル化というのは自分たちの仕事や賃金を破壊するものである」ことに気付いた時は、もうすっかりグローバル化は定着して後戻りできない状況と化していた。

外国からやってきた人々は、途上国の賃金体制でモノを考えるので低賃金でもそれなりに働く。

しかし、彼らも自分たちが先進国の企業に「いいように搾取されている」ことには気づいており、自分たちが公平に扱ってもらえないことに苛立ちを感じ、不満と怒りを徐々に沈澱させていくようになる。

底辺では、自国の労働者も移民もどちらも不幸になっていたのである。だから、欧米先進国の多くの労働者はグローバル化に激しい憎悪を抱くようになり、それを推進するエリートやエスタブリッシュメントに激しい怒りを持つようになったのだ。

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隠そうと思っても隠せない負のエネルギーが噴出

欧米では反移民・難民の政党が躍進し、アメリカでは反グローバリズム、反エスタブリッシュメントのアウトサイダー、ドナルド・トランプが2016年に登場したのはそんな背景があった。

アメリカではトランプ大統領という武器でエスタブリッシュメントが支配する社会を叩きつぶそうと労働者は考えたのだ。

この2016年当時、マスメディアは「暴力の感情」がグローバル化によって膨れ上がっていることに気付かなかった。しかし、2020年はその反省を経て、強引かつ不透明にジョー・バイデンを大統領の勝利者に仕立て上げた。

これでグローバル化と多文化共生を押し進めるエスタブリッシュメントの完全勝利となったのだろうか。それは、まだ分からない。

もうグローバル化によって生み出された歪みに、人々は耐えられなくなってきている。そして、「怒りの感情」はどんどん膨れ上がり、次第にその言動が無視できないものとなっている。

「なぜエリートどもが信じられないほど儲けて、我々が貧困に堕ちないといけないのか?」

「なぜ外国から知らない人間どもがやってきて我々の国に住み着いて大きな顔をしているのか?」

「なぜ政治家は貧困に喘いでいる自国民を放置して、外国の方ばかりを優遇するのか?」

グローバル化や多文化共生の社会など普通の人は求めていないし、政府に頼んでもいない。にも関わらず、グローバル化はどんどん推進されていく。

既存の政治家はみんな大企業から献金を受けてグローバル化推進主義になっており、誰も自分たちの不満を代弁してくれない。完全に無視されてしまっている。そんなグローバル化第一の風潮に、人々は不満を隠せなくなっているのが今の空気だ。

そして彼らは、こんな社会を破壊したいという意識的・無意識的な感情を持って、SNSで怒りをぶちまけ、反グローバリズム・反移民を主張している。

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すでにグローバル化というバスは暴走している

誰もが、突き進んでいくグローバル化に対して激しいストレスを抱えている。この社会の中では、どんなに真面目に働いても、どんどん賃金削減やリストラによって犠牲にされてしまう。

そんな時代に生きているのだから、「怒り」はグローバル化を推し進めているエスタブリッシュメントに向けられていくのは当然のことでもある。今や、エスタブリッシュメントは労働者の敵になったのだ。

だから今、グローバル企業は攻撃され、多文化共生の欺瞞は批判され、傲慢な経営者が攻撃され、多国籍企業の味方であり、富裕層の味方であり、グローバル化を賞賛するマスコミが攻撃されている。

さらに、グローバル化によって自国に入り込んできた自分たちとは価値感の違う人種、宗教、文化、哲学を持った人間との激しく実りのない攻防も生まれている。

外からやってきて好き勝手に振る舞って権利だけを主張する人間と、今まで大切に自国文化を守って来た人間とがうまくいくはずがない。価値感があまりにも違い過ぎるからだ。

インターネット内でも相互に憎悪をぶつけ合い、対立が止まらない。それは無限の罵詈雑言と中傷となって吹き荒れていき、暴力の言葉となって積み上がっている。

理解も和解もない。どちらも激しい言葉には激しい言葉で返すようになり、罵詈雑言と中傷と差別の応酬と化してインターネットとSNSはどんどん荒廃していくのが現実なのだ。

グローバル化と多文化共生が進む限り、生まれるのは相互不信と社会の果てしない荒廃である。

それは止めることができない。なぜなら、すでにグローバル化というバスは暴走しており、それは行き着くところまで行くしかないのである。グローバル化は止まらないし人間の本性も変わらない。最後まで暴走する。では、どこに行き着くのか。

もちろん、ネット内で噴き出して止まらない言葉の暴力は、リアルな世界で物理的な暴力を生み出す。「暴力の時代」に入る。主義主張や立場や人種や宗教の違う人々が、互いに殺し合う時代がやってくる。

実際、ヨーロッパではすでに移民と白人が路上で、罵り合い、殴り合い、殺し合いをしている。日本人は大人しいので、対立よりも自殺を選ぶのかもしれないが、それもまた不幸な社会現象である。

ジョー・バイデンはグローバル化と多文化共生を押し進める。
そういう時代に入る。

『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム(中野 剛志)』

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