社会の底辺は、コロナ禍における情勢の悪化で打ちのめされている。2021年1月1日から翌日2日にかけて、私は新宿で多くのホームレスと共に時間を過ごし、話を聞き、状況を確認していた。
多くの人たちが新しい年を祝う年末年始は、ホームレスの人々にとっては「凍てつく寒さになる」「店が閉まる」「役所が閉まる」という三重苦に見舞われ、生きるか死ぬかのサバイバルの時期となる。
年末年始の新宿では、コロナ禍の中で明らかにホームレスは増えているように見えた。西口は以前からホームレスが多かったが、東口の方まで増えていたのだ。聞いてみると、「確かに新顔が増えた」と彼らは語った。
私が確認したところ、西口と東口をつなぐガード下の入口でも、ホームレスになったばかりの人が死んだように眠りこけていた。50代くらいの男性で荷物は最小限しか持っていない。
彼が目を覚ました頃に、「大久保公園で年越し支援の相談をやっていて、弁当や缶詰がもらえる」と言ったら、「いいんだよ、そんなものは」と取り付く島もなかった。
苦境に落ちても行政に相談したり慈悲にすがるのを拒絶する人もいる。まだ、プライドが残っているからだ。最初は自分で何とかしようともがく。やがて疲れ果てて本格的に荒んでいくと、かろうじて残っていたプライドは消えてしまう……