「追求して磨きをかける」ことで偉業を成し遂げる日本人

「追求して磨きをかける」ことで偉業を成し遂げる日本人
2018年3月4日に開かれた第90回アカデミー賞の授賞式で、日本人アーティストの辻一弘氏がメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。

辻一弘氏は映画『ウィンストン・チャーチル。ヒトラーから世界を救った男』で、俳優ゲイリー・オールドマンを特殊メイクで見事に「ウィンストン・チャーチル」に変身させている。

ゲイリー・オールドマンは、「辻一弘氏が特殊メイクを担当しないのであればこの役を引き受けない」と言ったほど辻一弘氏の技術を信用していた。映画の予告編を観ると確かにその技術の素晴らしさは比類なきものであることが分かる。

何しろ、ゲイリー・オールドマンとウィンストン・チャーチルは容貌がまったく違う。

似せるのは不可能であるとすら思えるほどだ。ところが、その不可能を可能にしており、さらに映画を観てもまったく違和感がないというところに驚愕する。

最近の映画の技術はもはや普通の人が考える表現の限界を完全に超えているのだが、それにしても特殊メイクでここまでしてしまうということに辻一弘氏の凄みが伝わってくる。

ひとつのことを極めた辻一弘氏の「職人魂」はアカデミー賞の受賞によって世界でも最高峰であることが証明された。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。

「追求して磨きをかける」という生き様に共感する

この辻一弘氏の技術は、言うまでもなく辻一弘という個人が持つ技能であり、才能であり、特質である。経歴を調べて見ると、子供の頃から特殊メイクに関心を持っており、そこから「我が道」をひたすら突き進んでいたのが分かる。

その信じた道を探求し、追求し、確かな技術で磨きをかけていくという生き様に、日本人らしさやかつての日本人の職人的な意気込みを感じる。

分野や世界が違っても、この「追求して磨きをかける」という生き様に共感する日本人は多いはずだ。なぜなら、それが日本人気質の原点にもなっているからだ。

日本が他の国と違うのは、古来から「追求して磨きをかける」部分に重きを置いており、それが文化として定着しているからだとも言える。

日本で生まれ、暮らし、日本から出たことがない人たちは、あまりにもその姿勢が当たり前なので、今さらそれを強調されてもピンとこない。

しかし、国外に長くいて日本に戻ってくると、日本の製品やサービスや姿勢が尋常でないほど素晴らしいことに気付く。その安心感と信頼感はずば抜けていると言ってもいい。

どこの国でも何かの製品を買ったら、それが本物なのかどうか、きちんと動くのかどうか、その根本的な部分から心配しなければならない。

そんな心配をしたくなければ、日米欧のブランド品を買う必要があるのだが、そのブランドすらも盗用されたニセモノであったりするので油断できない。

しかし、日本に戻れば様相が一変する。製品・サービスの多くは安心できる。日本で売っている日本製の商品は、「目の前のものを信頼してもいい」という気持ちになれるのだ。

日本人のビジネスの素晴らしいところは、他人を騙したり、陥れたり、ごまかしたりして何かを売るのではないことだ。

きちんと製品やサービスを作り込み、しかもそれを何度も何度も微調整を入れて改善して「良いもの」にしていく姿勢があることだ。

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誠実さを突き詰めれば、それは自ずと高品質に

技術のパクリ、剽窃、製品の騙し、手抜き、捏造商品が横行する世界で、日本の企業や個人は誠実さを武器にして戦ってきた。現在、日本の輸出企業の多くは、誠実さが評価されているが故に世界的企業となっている。

自らの製品に誠実さを突き詰めれば、それは自ずと高品質になっていく。

日本製品の多くは高品質を志向しているが、多くの日本人は、それが正しい姿勢であると知っている。逆に、自分が儲かるためだけの、消費者を騙してモノを売るようなビジネスを嫌悪して遠ざける。

「真っ当な製品を作り、改善を続けて良いものにする」というのは、日本人や日本企業の文化の中に脈々と受け継がれている伝統であるとも言える。

私たちが日本人であれば、誰に言われることなくそれを目指すことになるはずだ。

なぜなら、それが正しい道であると誰に言われることもなく分かっているので、自然とそれをしなければならないと無意識の段階で思うからだ。

逆に言えば、「真っ当な製品を作り、改善を続けて良いものにする」という日本人の血に逆らわずに愚直に進む企業や個人が成功しやすいと言える。

こうした文化の中に育っていない民族は「高品質を目指して、とことん改善する」というのは一種の苦行かもしれないが、日本人にとってはそれは苦行でも何でもない。当たり前のことだから、呼吸するようにそれをする。

だから、日本人が何かを成功させようと思ったら「真っ当な製品を作り、改善を続けて良いものにする」を追求していくべきであることが分かるはずだ。

そして、この「絶え間ない改善」は、実は悪質極まりない剽窃・真似・海賊版に対する自然な対抗措置にもなる。

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それは世界中の誰よりも日本人が一番得意としている

「絶え間ない改善」が行われるということは、ある時点の製品がパクられても、本家はさらに改善されてさらに良いものになっているということだ。

多くの部分が改善されていくと、パクリがどんなに巧妙であっても、気が付けば本家の劣化製品となって競争力を失う。それが何度も何度も繰り返されれば、結局、消費者が選ぶのは最初から本家本元のものになる。

パクられても、徹底的な改善が行われ続けているのであれば、いずれはその姿勢がパクリを駆逐することになっていく。ある時点まで到達すると、パクることさえも不可能な領域に入っていく。

改善に次ぐ改善、改良に次ぐ改良。それは非常に手間と時間と知恵が必要な作業でもある。言うのは簡単だが、行うのはとても難しい。地道で忍耐の必要な仕事だ。

しかし、それは世界中の誰よりも日本人が一番得意としており、現に日本企業はその「絶え間ない改善」によって世界で評価を得るようになっている。

日本人は昔からそうだったし、今もそれは変わっていない。日本にはいろんな分野で「職人」がいるが、職人とは「絶え間ない改善」をひたすら続けて高品質を生み出せる人を言う。

「ひたすら改善を繰り返して勝つ」というのは、日本人の持って生まれた天賦の才能と言うこともできる。

だとすれば、私たちが個人的にも成功するためには、自分の人生の中に「絶え間ない改善」を取り入れることであるというのが分かってくるはずだ。

私たちは日本人として生まれ、知らずしてこの「ひたすら改善を繰り返して勝つ」という才能を持っている。あとは、それをどこまで深く突き詰めることができるかにかかっている。

辻一弘氏の偉業と才能を見て個人的に感じたのは、日本人本来の持つ気質を活かすことで、輝ける世界がまだまだあちこちにあるはずだということだった。

「追求して磨きをかける」ことで偉業を成し遂げる日本人はこれからもあらゆる分野で生まれるはずだ。(written by 鈴木傾城)

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ゲイリー・オールドマンの素の容貌と、特殊メイクでウィンストン・チャーチルに変身した姿。世界一流のプロが仕事をするとこうなるという凄みがここにある。

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