ワクチンが有料化したら「金がある人は打って、ない人は我慢して寝てろ」となる

ワクチンが有料化したら「金がある人は打って、ない人は我慢して寝てろ」となる

コロナに感染して重症化したり死亡したりしやすいのは、肥満で基礎疾患がある人である。現代は貧困層ほどジャンクフード漬けになって肥満しやすく病気になりやすく、糖尿病のような基礎疾患を抱える。すなわち、貧困層であればあるほど「コロナで死にやすい環境」になっている。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

「ワクチンを打ちたいが金がないから打てない」となるか?

現在、新型コロナウイルスのワクチンは世界各国の政府が自国経済と国民の健康を守るために、感染を少しでも抑えようとワクチン接種を無料にしている。

しかし、コロナが何をどうやっても抑制できないという事態になったり、収束させるにしても非常に長期に渡るという結論になった時、ある時点から政府は方針を変えるかもしれない。

すなわち、コロナを特別な病気と見なさず、ワクチンも治療薬も有料にして、「後は国民健康保険の範囲で自分の判断で何とかしろ」という方向転換である。財源の問題もあるし、経済も動かしたいし、「いつまでも政府にワクチン代を負担させて甘ったれるな」というわけだ。

今後はワクチンの治療薬の部門で研究が進むと、「金はかかるがよく効く治療」と「安いがそれなりにしか効かない治療」に分かれていく可能性もあるだろう。

そうすると、当然のことながら富裕層は「コロナは怖くない病気」になって、死ぬのはワクチン接種も治療薬も受けられない貧困層ばかりになっていくこともあり得る。つまり、金で健康と寿命が変わっていく。

「いや、そんな無慈悲なことはしないだろう」という人もいる。もちろん、本当にそうなるのかどうかは分からない。しかし、現在でも先進国で治る病気は途上国では治らず、金持ちが治る病気は貧困層が治らないというものは多い。

コロナもいずれは政府が見切りを付けて「ワクチンも治療薬もいつまでもタダとは思うな」と言い出しても私は驚かない。「ワクチンは打ちたくない」ではなく「ワクチンを打ちたいが金がないから打てない」という状況に変わっていくという可能性も考えておくべきだ。

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いずれはワクチンも治療薬もタダではなくなる?

そもそも、いつまでもワクチンが無料で無償だと思える神経が分からない。状況が悪化しても政府は最後まで面倒を見てくれるほど優しいと国民は思っているのだろうか? そうだったとしたら、おめでたい話ではあると感じる。

私は政府をそれほど無防備に信じていない。だから、コロナ禍が収束せずに長期化したら、いずれはワクチンも治療薬もタダではなくなると考えている。そうなれば、富裕層がワクチンと治療が十分に受けられて、貧困層が置いてけぼりにされて死んでいく光景も下手したら生まれる。

私がそこに思い至ったのは、東南アジアの状況をずっと追っていたからだ。

東南アジアのそれぞれの国の金持ちは、家族で飛行機に乗ってアメリカに行ってファイザーやモデルナのワクチンを接種している。しかし、貧困層はワクチンが打てないか、打てても中国製ワクチンで我慢している。金がないので病院にも入れない。

結局、東南アジアではコロナ禍の中で、富裕層が助かって貧困層が死んでいくのである。もっとマイルドな言い方をすれば、富裕層が健康を維持できて、貧困層が病気に苦しんでいくのである。

世界的に、今後は富裕層と貧困層の寿命はより明らかに違っていくだろう。

医療が充実し、早期治療や健康維持の方法が確立されていくと、富裕層も貧困層も同時に恩恵を得る。しかし、どちらかと言えば富裕層の方が受ける恩恵が大きい。なぜなら、医療は「タダではない」からである。

病院で検査を受けるのも、高度医療を受けるのも金がいる。金がモノを言う。富裕層には問題がない金額でも、それは貧困層には大きな問題になることが多い。

貧困層は金がかかると思ったら、貧困層は医者に行かない。そのため、本当であれば医者にいかなければならないような病気やケガでも放置して、それを重篤化させてしまうことが多い。

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貧困層であればあるほどワクチン接種率は低い

時間の余裕がたっぷりある富裕層と違い、貧困層は身体の具合が悪いからと言って仕事を休んでしまえばたちまち生活に窮するので休めない。そのため、たとえば貧困層は歯の治療などを放置することが多いことがよく知られている。

虫歯や歯石や歯槽膿漏などは早期に治療を受けていれば完治できるものだが、放置しておくとどんどん歯が悪くなって最終的にすべてを失うこともあり得る。

歯を失うと固いものなどがうまく食べられなくなり、それで栄養が偏るようになって寿命が短くなる。早い段階で治療を受ける必要があるのだが、生活に余裕がなければ、どうしても治療よりも仕事を優先してしまうことになる。

歯だけではない。貧困層はあらゆる身体の不調を放置するので、それが積もり積もって寿命に反映されていく。

コロナでもそうだ。貧困層であればあるほどワクチン接種率は低い。(マネーボイス:なぜ貧困層ほどワクチン接種率が低いのか?貧しさがコロナ感染を広げる3つの理由=鈴木傾城

コロナに感染しやすく、感染しても放置しやすく、重症化しやすい。当然、そうした状況は健康寿命や寿命に関わっていくことになる。

富裕層と貧困層は、食べているものも違う。富裕層が少々高価でも、オーガニックで栄養価が高く、健康的で、身体に優しいものを継続的に買える収入がある。そして、たまにジャンクフードが食べたいと思ったら、それを食べることもできる。

しかし、貧困層は「選択肢」がない。カロリーが高くて身体に悪くても、安いものだけを選んで食べることになる。安い価格でカロリーを取ろうと思うと、砂糖と添加物と油脂と加工物でまみれたジャンクフードが主になる。

それしか食べられないので、栄養のバランスなどほど遠い食生活だ。

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貧困層であればあるほど「コロナで死にやすい環境」になっている

ジャンクフードはたまに食べるくらいならいいのだが、それを常食するとやがて体調を悪化させ、病気やケガをしやすい体質になっていく。富裕層は食べれば食べるほど健康になるのに、貧困層は食べれば食べるほど不健康になっていく。

そこで、もう一度コロナの特質を考えて欲しい。コロナに感染して重症化したり死亡したりしやすいのは、肥満で基礎疾患がある人である。

現代は貧困層ほどジャンクフード漬けになって肥満しやすく病気になりやすく、糖尿病のような基礎疾患を抱える。(マネーボイス:日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城

すなわち、貧困層であればあるほど「コロナで死にやすい環境」になっているということを知る必要がある。

途上国ではワクチン接種が進まず、コロナの重症患者が爆発的に増えて病院が機能不全に陥って貧困層のほとんどが自宅療養を強いられている。

途上国の貧困層の自宅は、ほとんどがエアコンなどないので、部屋は気が狂うほど暑い。部屋の中で蒸されて意識が朦朧とすることもある。シャワーを浴びようと思うと水が出なかったり、水が濁っていたりする。

そもそもシャワーなどなくて、雨水が溜まったバケツの濁った水を浴びるのがシャワーだというところもある。貧困層というのは、そんな劣悪な環境の中で暮らし、劣悪な仕事に就き、劣悪な食べ物を食べるしかない状況なのである。

途上国だけでなく、先進国の貧困層も低度の差こそあれ環境が悪いところに住んでいるのだから、「コロナで死にやすい環境」になっているということも言える。

今はまだ目立っていないし誰も気づいていないのだが、いずれコロナも「格差問題」になっていくことを私は懸念している。コロナ禍の収束が先に延びれば延びるほど、このコロナ格差は鮮明に、深刻になっていくことだろう。

とりあえず、いつまでもワクチンがタダだとは思わない方がいい。そして、良く効く治療も国民が平等で受けられるとも思わない方がいい。

全世界の政府が「コロナ撲滅は無理だ」と匙を投げたら、「ワクチンも金がある人が打って、金がない人は我慢して寝てろ」「治療も金がある人が受けて、金がない人は我慢して寝てろ」という話になることもあり得る。

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