円安になればなるほど引き起こされる地獄絵図を日本人はまだわかっていない?

円安になればなるほど引き起こされる地獄絵図を日本人はまだわかっていない?

円安と物価高で、2024年の倒産件数は1万件突破も視野に入っているほど深刻になっているのだか、行き過ぎた円安が引き起こす危険な面を多くの人は理解していないと思うので、ここでひとまず、それがどれだけ問題があるのかを列挙してみたい。地獄絵図を理解してほしい。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

これは「円安」ではなくて「円弱」ではないか

私自身は、ドル円レート1ドル70円台の2012年に資産のほぼすべてをドル資産に変えた。そのため、円安になればなるほど私の資産は増える。そういう意味で、私は円安になっても困ることはない。

というよりも、円安になればなるほど私の資産は増えるのだから、円安を待望するインセンティブがあるともいえる。

しかし、私は日本人であり、日本がふたたび経済的にまともな国になったらよろこんでドル資産を円資産に戻したい。円の経済圏で生きているのだから、円を保有したいのは当然のことでもある。

ただ残念ながら、今の政治状況を見ると安心して資産を日本に戻せるような政治状況・経済状況にはなっていない。将来もそうなるのかどうかとても懐疑的だ。

日本の大きな社会問題は少子高齢化であり、増税や社会保険料の引き上げが繰り返し議論になって国民負担率も50%近い状態になってしまっている。これは、ひとえに今の政治家たちが少子高齢化問題を30年以上も放置してきたからでもある。

結果として日本は社会が停滞し、イノベーションも失い、やがては内需も失い、円の価値も喪失して、もっとひどい経済状況になってしまうだろう。

それはすなわち、小手先ではどうしようもない「取り返しのつかない円安」がくるということに他ならない。

円は、国家間の貿易で揺れ動く為替レートとしての側面とは別に、国力の価値を指し示す側面もある。国が強くなればなるほど、通貨も信用ができて強くなる。その逆も然りだ。

日本は国が弱体化していくのであれば、円の価値も弱体化していく。今の円安はそういう側面もでてきているのではないかと見る人も増えてきた。そのため、これは「円安」ではなくて「円弱」ではないかと述べる人もいる。

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円安が引き起こす危険な面を多くの人は理解していない

為替は金利で説明できるので、金利が上げたらすぐにでも円高になる。しかし、金利を上げたら、企業活動の停滞・住宅ローンの返済苦、株価の暴落、日銀の金利負担増で日本経済の首が絞まる。

国民の資産を新NISAに誘導し、金利を上げて株価が暴落したら、さすがに温厚な日本人も「岸田にハメられた」と激怒して岸田首相も物理的に吊し上げられるだろう。

金利のコントロールができないというのであれば、日本は金利政策ができないほど経済が脆弱化しているということなのだから、「円安」ではなくて「円弱」という考えかたが出てきても奇異ではない。

日本という国の弱体化による通貨安が起きているのだとしたら、これは非常に由々しき問題であるともいえる。私自身は今の円安は行き過ぎな面もあると思っているので、まだ円高に戻せる体力はあると思っているが、どうなるのかはよく状況を観察しておきたい。

ちなみに、円安になったら、一部の輸出企業が儲かるとか、ドル資産を持った富裕層が儲かるとか、株式を保有している投資家が儲かるとか、そういう局面もあるので「円安も良い面がある」と煽る人もいる。それこそ「円は1ドル300円になってもいい」とか極論をいう人もいる。

しかし、物事には表があれば裏もあるわけで、そういう人は「行き過ぎた円安が引き起こす暗い面」をまったく無視しており、とても危険だ。

改めていうが、私自身は円安になればなるほど資産が増える。そうであっても、行き過ぎた円安なんかまったく望んでいない。自分の資産が増えるからもっと円安になればいいというのは、それこそ売国奴の発想である。

私自身は通貨は「温泉のようなもの」で、熱すぎず冷めすぎず、ほどほどにちょうどいいのが最適であると考えている。つまり、「円高であればあるほど良い」も「円安であればあるほど良い」も間違っていると認識している。

ちなみに過度な円高になっても日本企業は国外で競争力を失うので、日本経済にとって良くないのは2009年から2012年までの円高でもわかる。このときもリーマンショックの余波も重なって倒産件数が爆増していた。

現在は逆に行き過ぎた円安と物価高で、2024年の倒産件数は1万件突破も視野に入っているほど深刻になっているのだか、円安が引き起こす「本当の危険な面」を多くの人は理解していないと思う。ここでひとまず、どれだけ問題があるのかを列挙してみたい。

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円安になればなるほど引き起こされる深刻な問題

・円安になればなるほど、日本の優良資産は外国人に買われるようになる。安く買えるからである。大企業も大株主は軒並み外国人になる。結果的に、円安で儲けている大企業は、外国人の大株主に配当を出すようになる。途上国の優良企業はだいたいそうなっている。

・円安になればなるほど、外国からの経済侵略が進む。なぜなら日本の資産が安く買えるようになるからである。大都市の優良な土地建物だけでなく、水資源も、山林資源も、外国資本になる。円安で外国勢力が安く買い叩けるからだ。途上国では、だいたいどこも外国資本に乗っ取られている。その後、円高になっても、買われた土地建物は戻って来ない。

・円安になればなるほど、その円を稼ぐ日本人はますます貧しくなることになる。安い通貨しか稼げないので、低賃金で労働しているのと同じになってしまうからだ。途上国の国民はそうやって貧しくなっている。

・円安になればなるほど、日本人も日本の通貨がゴミのように思うようになる。そして日本円は日本人からも信頼を失うようになる。日本の通貨を持っていたら、外国のちゃんとした通貨に入れ替えようと思うようになる。誰でも価値のある通貨で安全を担保したいからだ。途上国の国民はみんな、そうしている。

・円安になればなるほど物価が上がっていく。賃金の上昇はすぐに物価に追いつかず、貧困層が円安で大きなダメージを受ける。さらに、これまでギリギリで生活をしていた層も貧困層に落ちていく。円安は輸出企業やドル資産を持つ富裕層には快適だが、底辺層はますます増えていく。

・円安になればなるほど、不良外国人が大量に入ってくる。なぜなら、物価は安いし、「現地の女性も安く買える」からである。途上国では、だいたい多くの不良外国人が入り込む。途上国のアンダーグラウンドは、だいたい不良外国人の巣窟になっている。

・円安になればなるほど、優秀な若者、バイタリティのある若者、大きく稼ぎたい若者は外国に出ていく。なぜなら、外国の通貨で稼いだほうが同じ働くにしても有利になるからだ。途上国では、それで出稼ぎ経済となっている。

・円安になればなるほど、日本人女性が外国人に買われ、日本人女性も外国人のほうがカネを持っているので外国人になびくようになる。売春で外国に出稼ぎし、外国人の男性と結婚するようになる。途上国の女性はみんなそのような考えかたをしている。

・円安になればなるほど、資産を持った富裕層は資産を外国にキャピタルフライトさせる。なぜなら、円で持っていたら資産が毀損していく一方だからだ。資産を価値のある通貨で保全したいと思うのは当然の話である。途上国の富裕層はみんなそうしている。

・円安になれば材料もエネルギーも上昇していくが、中小企業の大半はコストを商品に転嫁できないので追いつめられて弱っていく。日本の99.7%は中小企業であり、過度な円安は日本の99.7%に大きな悪影響を与えることになる。

・円安になればなるほど外国人経営者が日本に進出して、日本人を安く雇って働かせるようになる。日本人が外国人の経営者に搾取されていく構図が作られていく。途上国の国民はそうなっているのだから、日本もまたそうなっていく。

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『邪悪な世界のもがき方 格差と搾取の世界を株式投資で生き残る(鈴木傾城)』

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