フェイクニュースが溢れ、何が真実か分からなくなった時代の生き残り方

フェイクニュースが溢れ、何が真実か分からなくなった時代の生き残り方

現代社会は、科学も医学も社会のありかたも経済のありかたも、すべてが猛烈に細分化されている。もはや人々は自分の専門以外の部分で「何が真実なのか」を知ることができなくなってしまった。ひとりの人間が身の回りで起きているすべてを正確に把握できるほど分かりやすい社会ではなくなっていったのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019メディア『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

11月まで対応が徹底強化されるSNS

アメリカの大統領選挙が迫っており、フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は「アメリカ大統領選挙に先立って、厳重な不正予防措置を講じる」と述べた。政治広告も禁止し、意図的にフェイクニュースを流して世論操作を行う外国勢力のアカウントも削除する。すでにフェイスブックはかなり厳しい規制を敷いている。

グーグルも利用者が情報を検索する際に表示される「オートコンプリート」機能を中立に保つように検索エンジンを強化する対策を発表した。

ツイッターは9月17日より誤解を招くフェイク情報、未確認情報、不正操作に関してはラベル表示で注意を促したり、投稿を削除する等の措置を行うと発表した。それぞれのSNSが11月までかなり対応を強化して大統領選挙に臨む。

以前からグーグルやフェイスブックやツイッターなどは、右派からも左派からも「偏向している」と攻撃されている。これらの企業は紛れもなくリベラル寄りなのだが、それでも何とかバランスを取ろうとして努力している。

その努力は、実のところうまくいっていない。特にバランスを取ることに失敗し、混乱の極みにあるのがフェイスブックである。フェイク・ニュースの温床と見られ、ブランドが大きく毀損してしまったフェイスブックは、信用を取り戻すために必死で手を打っている。

フェイク・ニュースの拠点になっているアカウントを大量閉鎖し、フェイクの拡散を防ぐために利用者の信用格付けを開始するような涙ぐましい努力を続けている。

これまでフェイスブックはユーザーを増やすことだけに集中してきたが、今では新規ユーザーを取り込むことよりも、都合の悪いユーザーをいかに弾くのかに力を注がないとならない局面に立っている。

そうしなければ、再び「フェイク・ニュースの温床だ」と言われて存続すらも許されない局面に立ってしまうからだ。

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どれが真実なのか分からなくなってしまった

SNS各社は、もう新規ユーザーを容易に増やせなくなった。誰でもウェルカムではなくなった。取り込んだユーザーも、監視して摘発して排除しなければならなくなった。利用規約も厳しくなっていく一方で、実際にアカウントを排除させたユーザーも続出している。

これは、「ユーザーを大量に取り込んで広告で稼ぐ」というビジネスモデルを持っているSNS運営業者にとってはかなり致命的なことである。

さらに、「ユーザーが妙な情報を発信していないか監視する」というのは、ユーザーにとっても居心地の悪い空間と化す。自由に何でも言えない空間なのだ。

その上に下手なことを書いたら、たとえそれが冗談でも、突如としてアカウントを削除されるような目にも遭うことになる。実際「なぜ削除されたのか分からないが削除された」という人もかなりいる。

こんな中でシステムを使用するのは息が詰まる。しかし、そうしないとSNSは世間から袋叩きに遭って存続の危機に陥るからそうせざるを得ない。

SNSというビジネスはかなり深刻なことになっている。SNSは管理を強化してもしなくても、大量の情報の中で問題を抱えている。

そんな中、グーグルもフェイスブックもユーザーを増やすために中国進出を考えていた時期もあったが、それも悪手だった。

中国を取り込んだら中国政府の意向も聞かなければならない。つまり、反中国の言動は厳しく取り締まられることになり、新しい偏向も生まれて批判の元になっていく。

グーグルもフェイスブックも中国共産党政権との関わりの中でトラブルを抱え込み、最終的に状況をコントロールできなくなるのは目に見えている。

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多種多様な「主義主張」と「意見」

SNSというシステムは大量のユーザーと情報を抱え込んで、多種多様な「主義主張」と「意見」で翻弄され、苦しんでいる。大量の情報を取り込んだSNSは、その大量の情報で自縄自縛に陥った。

世の中で拡散されている情報は、それが拡散されることが容易になればなるほど玉石混交になる。これは、「大量の情報」に接する私たち自身がそれをどう判断するかの自己責任になることを意味している。

たとえば、私たちは今、中国発コロナウイルスのワクチンを待望しているのだが、このワクチンひとつに取っても、予防のために打つべきだという意見と、ワクチンそのものが副作用で問題を引き起こすので「絶対」に打たない方がいいという意見が激突している。

「ワクチンは健康な人間を病気にする毒であって、そんなものは打つべきではない、コロナのワクチンも信用できない」という人がいるのである。これはコロナのワクチンだけに限らず、インフルエンザのワクチンですらもそうだ。

「ワクチンは打っても効かない。むしろ害悪になる」
「ワクチンは製薬会社が儲かるために仕掛けたプロパガンダ」

この主張を信じる人は大勢いる。一方で、病気を予防するワクチンは打っておいた方が絶対に良いと医師は主張する。こちらを信じる人は圧倒的だ。

ワクチンは打っていいのかどうか。結論が180度違う情報がそれぞれ大量にある。しかも、最終的にどちらが正しくてどちらが誤っているのか、そんなことはグーグルやフェイスブックですらも分からない。

普通、真実はひとつしかないはずなのだが、インターネットではあまりにも「真実」を称する記事がありすぎて、どれが真実なのか分からなくなってしまうのである。

真実を見失い、間違ったものを取り込んだ時、私たちは自分の人生ですらも存続の危機に立たされる可能性もある。

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専門外であっても取捨選択できる能力が必要に

現代社会は、科学も医学も社会のありかたも経済のありかたも、すべてが猛烈に細分化されている。もはや人々は自分の専門以外の部分で「何が真実なのか」を知ることができなくなってしまった。

ひとりの人間が身の回りで起きているすべてを正確に把握できるほど分かりやすい社会ではなくなっていったのだ。

だから、人々はインターネットに頼り、SNSに頼り、検索エンジンを駆使する。しかし,そこから得られる情報もまた多種多様になり相反する主張が渦巻き、何が正しくて何が間違っているのか、何も分からなくなっている。

大量の情報は、物事を整理し、解決するためにあるのではなく、むしろ自分の判断を大混乱させるものと化す。大量の情報は大量のゴミと化して、それに触れれば触れるほど混乱していくことになる。

そうなっていくと、情報化社会になって必要なのは情報に依存して踊ることではないことに気付くはずだ。もっと重要なものが必要になってくる。

大量の情報を前にして重要になってくるのは、それは大量の情報に踊らされたり、捏造やプロパガンダを排除したりする取捨選択の能力である。それも、「自分の専門外であっても取捨選択できる能力」が必要になってくる。

では、この能力を発揮するために必要なものとは何か……。

それは、もはや「常識」しかない。私たちは大量の情報を前にして取捨選択する時、最も重要な能力である「常識」を働かさなければならないのだ。

世の中には常識外れな出来事が真実であることも往々にしてある。そして、常識がすべてを解決するわけではない。

しかし、きちんとした常識があれば、少なくと捏造とプロパガンダにまみれた情報に接したとき、「これは間違っている」と直感で判断できるようになり、正しい選択ができることの方が多い。

何かを判定するモノサシとしての常識は、ひとつの「正しい可能性の高い」基準点となる。

検索エンジンで得られる情報ですらもフェイクとプロパガンダにまみれていく時代、「常識」はますます重要なものになりつつある。

ちなみに常識を外した生き方で成功するためにも、最初に常識を知った上でそれを外す必要があるのだから、結局は常識が身についていなければならないということだ。

生きにくい時代になればなるほど、常識は役に立つ。自分が身につけた常識は、大量の偽情報を前にした時、いずれ役に立つ日が必ずくる。

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