「日本は1990年代からずっと緊縮財政が続いている」「そのため、国民が窮乏化して今に至っている」「だからこそ、日本は積極財政に転換しなければ未来はない」……。このような考え方がどんどん広がるようになっている。
私自身も、緊縮財政だと言いながら税金や社会保険料をどんどん引き上げて国民から搾り取る政府や財務省のやり方には疑問を持っている。そんなことで国や国民が豊かになれるわけがないと思っているので、積極財政に転じなければならないという意見に賛成だ。
しかし一方で、日本国民は緊縮財政を30年も続けてきた元凶である自民党を、消極的とは言えどもまだ支持している。他にまともな野党が見当たらないこともあって、この流れはなかなか変わらない。
「事態は良くならないかもしれないが、ひとまず自民党で現状維持する」というのが国民の総意なのである。今回の参議院選挙でも、この国民の総意で自民党は難なく勝った。ただ、その消極的支持も今は消えつつある。
安倍晋三元首相が銃撃され、統一教会問題や国葬問題で足を取られ、物価上昇やコロナ対策でこれといった効果的な対策を打ち出せない自民党・岸田政権は徐々に見捨てられるような様相になっているのだ。
岸田政権の支持率は、いまや危険水域の30%台にまで落ちているのだ。自民党全体がスキャンダルに巻き込まれていることを考えると、岸田政権に対する不信任というよりも自民党そのものに対する不信任であると考えるのが正しい。
自民党は、下手したらこのまま挽回できない可能性さえある。では、岸田首相が辞任したら次には国民の信頼を得られるような人が登場するのか? 今の自民党には、それくらいの能力がある人が見当たらない。
とすれば……
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