平均年収186万円の非正規雇用者は、現代の日本においてはまったく珍しくない存在となった。フルタイムで働いても、それ以下の人たちも大勢いる。年収186万円と言えば月に換算すると15万5000円なのだが、首都圏でこの月給で生きるのは相当苦しいはずだ。
しかし、この層はいまや約1200万人もいる。
実際、彼らは生活の余裕はほとんどない。日本では貯金ゼロの世帯も全体の約3割に迫っているのだが、低賃金の非正規雇用者は多くが貯金ゼロである。それもそうだ。首都圏では家賃から生活費から何からひたすらカネがかかる。
「普通の生活」をしたいと思ったら、貯金などする余裕がない。だから、貯金ゼロが延々と続いていき、場合によってはマイナスに陥ったりする。
なぜマイナスになるのか。病気や解雇などで収入が途絶えてしまったとき、助けてくれる親などがいなければカードローンやリボ払いや消費者金融などに頼るしかないからである。
消費者金融と言えば、かつてはギャンブル漬けの人が利用するものであった。最近は、足りない生活費を消費者金融で賄うのがメインでもある。それくらい「カネが足りない」「ギリギリでの生活」なのだ。
岸田首相は、最近になって突然「資産運用立国」とか言い出しているのだが、多くの国民は「馬鹿ではないか」と失笑している。30年も国を成長させることができず、貧困層がどんどん増加しているのに「資産運用立国」も何もない。
社会の下側のレイヤーにいる人たちは、資産運用の前に「今日をどうやって生き延びるのか」「いかに貯金すべきか」を必死で考えている。少しでも貯金したいと、そっちの方が最優先だ。
たとえば、彼らの目標は「100万円を貯めること」である。では、彼らが100万円を貯めることは可能なのか。今日はそのあたりを、考察していきたい。
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