2020年6月11日。久々に大きな暴落が来ていた。DOWはマイナス6.9％、市場を牽引していたハイテクやバイオ株の多いNASDAQも5.2％一気に暴落し、市場は文字通り「売り一色」だったと言える。
アメリカの株式市場は、FRBの無尽蔵な金融緩和によって2020年3月からずっと上がってきていて「何を買っても上がる」ような状況だった。
実体経済はボロボロであり、今も何一つ問題は解決していないのに、この三ヶ月は株価だけは怖いもの知らずで上がっていた。
「こんな状況はおかしい」と言われながらも相場だけはどんどん上がるので、一部の投資家は「もうコロナショックなんか終わった」と豪語していた。もう暴落はなく、これからどんどん上昇するという錯覚を持っていた投資家もいた。
しかし、6月11日。状況はそんなに簡単なものではないということを全世界は再確認することになった。
そもそも、実体経済はほとんど改善しておらず、失業率も4月よりも下がったとは言えども5月も13.3％もあり、さらに6月に入ってから抗議暴動がどんどん広がって社会的な混乱や政治的な混乱が止まらない。
こうした抗議行動の中でコロナの感染拡大も懸念される。そんな状態の中、株式市場だけが別世界のように上昇していたのだから、市場の参加者は浮世離れしているのかと思うような状況だった。
グローバル経済が再開したわけでもないのに、政府の延命措置を受けてかろうじて生きながらえている航空株まで上昇していたのだから馬鹿な話でもあった。（鈴木傾城）
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