「2022年は株式市場に近づかず、定期定額積立投資をする以外は何もするな」「2022年は金融的冒険をするな」と、私は年初からずっと言い続けている。FRB(連邦準備制度)は利上げを続けているのだが、それでもインフレが収束しないのだから、株式市場にとってはキツい状況であるのは間違いない。
8月に入ってから、「もうそろそろ利上げは緩和されていくのではないか?」と楽観的な空気が広がって株式が上がる局面もあった。
しかし、FRBのパウエル議長が「記録的なインフレを抑え込むための金融引き締めについては、やり遂げるまでやり続けなければならない」という旨の発言をして、市場参加者の顔色が変わった。
8月26日の株式市場は一気に楽観論が吹き飛び、ダウは1000ドル超の下げとなって、8月の上昇分をすべて吐き出す形になってしまった。
これは一時的な話ではない。パウエル議長は「金融引き締め策を一定期間維持することが必要となる可能性が高い」「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」と言っているのだから、まだまだ金融引き締めが続く。
アメリカのインフレ率は7月にやや低下したのだが、それでも十分ではなく、インフレ率をもっと下げるためには利上げを続けざるを得ない。ところで、「なぜ、利上げするとインフレ率が下がるのか?」は、教科書的に説明すると以下の通りとなる。
金利が上がると、企業は借り入れを減らす。そうすると、企業は使える金が減る。使える金が減ったら設備投資を増やすのを控え、雇用も減らす。その結果、個人にも金が回らなくなる。当然、モノやサービスの売上が落ちる。すると、商品価格は据え置きせざるを得なくなる。
つまり、金利を上げるというのは「わざと景気を冷やして物価が上がらなくする」ということを目指している。「わざと景気を冷やす」というのが分かりにくいのであれば、「わざと景気を悪化させる」と考えて欲しい。
FRBのパウエル議長は「インフレを抑えるために、これからわざと景気を悪くしてモノの値段が上がらないようにする」と宣言しているのである。とすれば、問題はここからである……
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