推し進められる多文化共生。広がっていく経済格差。それは、なぜ止められないのか?

推し進められる多文化共生。広がっていく経済格差。それは、なぜ止められないのか?

推し進められる多文化共生。広がっていく経済格差。なぜ、この2つの現象が毎年毎年すさまじく苛烈になっていくのか。多文化共生も、誰がそれを推進しているのか。なぜ推進されているのか。なぜ政治家はそれを進めていくのか。もちろん、偶然そうなっているわけではない。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

文化・歴史・伝統・宗教が違う人々は融和しない

日本政府は今、意図的に大量の留学生を入れ、外国人の単純労働者の移住を緩和し、在留資格を持つ特定技能2号を2分野から11分野へ拡大し無期限就労を可能にして、家族の帯同も認めて日本に外国人を定着させようとしている。

さらに、インバウンドでも6000万人の流入を促して、日本を移民大国にしようとしている。インバウンドはただの観光客という側面ではなく、特定の外国人を「ビザなし」にすることによって違法でも短期就労が可能な社会にする。

多文化共生は着々と進んでいると言ってもいい。

多文化共生は、その国の社会を混乱させて文化を破壊する元凶になっているというのは、いまや誰もが知る事実である。そのため、欧米では「移民反対」「多文化共生反対」「グローバル化反対」が大きな社会運動となっている。

しかし、草の根の国民がどれだけ反対してもそれは止まらない。

EU(欧州連合)では、どこの国でも多文化共生を無理やり推し進めたことによって、既存の政党が見捨てられて、反移民の政党が大躍進するという現象がこの10年で起こっているのだが、政治がひっくり返るほど多文化共生は国を混乱させてしまうということでもある。

多文化共生に対する反発は「人種のるつぼ」「人種のサラダボール」と呼ばれているアメリカですらも起きていて、だからこそ2016年にはドナルド・トランプ氏が大統領になったのである。

多文化共生はありえない。文化・歴史・伝統・宗教が違う人々は融和しない。対立して衝突するのである。国家内で文明の対立が起こる。

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1%程度の勝者が、99%の人からすべてを収奪する

ところで、現代社会では貧困格差も鮮明なものになっている。資本主義が暴走して弱肉強食化している。

分かりやすく言うと、要するに「カネこそすべて」になって、強者が弱者からどんどん奪い取る社会になっているということだ。政治はそれを是正する役割があるのだが、その政治も役割を放棄して格差が広がるのを止めようともしない。

世界全体が、この暴走する資本主義に飲み込まれて動いている。だから、この「暴走」は、行き着くところに行くまで止まらない。最終的にどうなるのかというと、資本の多寡によって世界全体が「階級社会」になる。

国際支援団体「オックスファム」が、「世界の人口の1%の富裕層の資産総額は、残る99%の人口の資産を合わせた額と同程度になる」と発表したのは2015年1月19日だった。それから事態は改善されたのか。まったくされていない。

それからも富の集中は加速している。

ほんの1%程度の勝者が、99%の人からすべてを収奪するまで止まらない。それが完成した時、階級社会が姿を現す。

全世界で中産階級の収入が毎年激減し、貧困層が増加していっている。世界最大の経済大国と言われているアメリカでも6人に1人が貧困層だ。貧困層予備軍を入れると3人に1人が貧困に苦しむ社会となってしまっている。

多くのアメリカ人が「生活していけない」状態に突き落とされているのだが、もう誰もがそんな社会のあり方に慣れてしまって、社会が異様な姿になっていることに何の違和感も感じていない。

1%の人間の富が、99%の資産と同じになる社会が来るとは誰が想像しただろうか。

その富の偏在の過程で、経済的な格差や、深刻な失業問題はどんどん深化してしまい、それが現在の巨大な社会不安を生み出しているのだ。

推し進められる多文化共生。
広がっていく経済格差。

この2つは同時並行で起こっている現象だが、実は根の部分でつながっている。

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政治を動かしているのは政治家に見えて政治家ではない

国民は「多文化共生は反対だ」と言っているのに、なぜ多文化共生が止まらずに進んでいくのか。なぜ世界中の政治家は基本的に移民の大量流入を政策として進めて、自国民に多文化共生を押し付けるのか。

国民は「経済格差を何とかしてくれ」と言っているのに、なぜ政治家は何も対処せず、むしろ貧しくなる一方の国民に莫大な税金を課したりするのか。現代の日本ではすでに年収の半分は税金と社会保障費で持っていかれるような社会と化した。

政治家は無能で何も分かっていないのか?

いや、政治家は分かってやっている。移民の大量流入も国民の貧困化も、それは意図的に行われているのだ。なぜか。自分たちに票や献金をしてくれる「ある存在」がそれを望んでいるからだ。

政治家は自分たちに多額の献金をしてくれる「ある存在」に忠誠を誓っているだけなのだ。「国」に忠誠を誓っているのではない。カネを支払ってくれるところに忠誠を誓っている。

重要なのは、政治を動かしているのは政治家に見えて政治家ではないということだ。政治家を動かしている「ある存在」が重要なのだ。その「存在」は誰もが知っている。

巨大企業である。

巨大企業が経団連だとか経済同友会だとか、そのような「圧力団体」を作って政治家にロビー活動を行い、既存の政治家に多額の献金をし、あるいは自分たちの組織から自ら人を送り込んで政治を自分たちに都合が良いように動かす。

だから企業は常に減税になり、国民は増税になる。人がいつでも切り捨てられるようになり、人を安く雇えるように非正規雇用が進められるようになり、低賃金・悪条件で働いてくれる外国人を雇えるように社会を変える。

国民から見ると、外国人が突如として大量に日本に定着するのは問題かもしれないが、企業から見ると安い人間がいつでも雇えるようになるので大歓迎である。ついでに移民が大量に入り込んで人口が増えれば消費者も増える。

多文化共生は多国籍企業にとっては利益の増大を意味する。利益が増大するのであれば、それは企業にとっては実現すべき政策だ。だから多国籍企業は政治家に対してロビー活動を行い多文化共生を推し進める政治家に影響力を与える。

すべて、起きていることは「すべて企業の利益のため」だったのである。

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1%の富裕層は、いったい何を所有しているのか?

社会には「国家」と「企業」と「国民」がいる。資本主義社会での中での強者は、言うまでもなく「企業」である。「企業」の中でも巨大化して多国籍化した巨大企業は、世界中のマーケットに触手を伸ばす。そして、そこから莫大な儲けを得るために、ありとあらゆる国に自由化を押しつける。

ターゲットに定めた国(奪い取りたい国)の政治家に働きかけ、外国企業でも投資できるように国内が自由化される。そして、投資に制限がかかっていない状態にする。それを「新自由主義(ネオ・リベラリズム)」と呼ぶ。

新自由主義は、「企業」に徹底的に有利なものになっている。それは、自分たちが世界中のあちこちの企業を買収したり、売り飛ばしたり、投資したり、空売りしたり、自由に野放図に経済活動できるようにするためのものだからだ。

あるいは、外国人を大量に自国に引き入れて「賃金コストを下げる」のも、自国民の労働者を簡単にクビを切れる非正規雇用にするのも政策で実現させる。新自由主義の「自由」というのは企業がやりたい放題できるという意味の自由なのだ。

そして、自分たちの収奪的な経済活動に対して、各国政府には介在させないようにする。市場(マーケット)で何が起きても政府には介在させない。そうやって国や国民を丸裸にしたあと、富の一切合財を吸い上げる。

アメリカという強大な国家でさえも、アメリカの多国籍企業の命じるがままに「動かされている」のであって、「国家」は主ではなくて従なのだ。主は莫大な金を持つ「巨大企業」なのである。

もちろん、こうした新自由主義の政策に反対して、自国の伝統や文化や国民の利益を守ろうとする政治家もいるのだが、そうした政治家は支援せず、力も与えない。そして、メディアなどを駆使して攻撃してつぶす。

世界中の政治家が執拗に「多文化共生」を謳い、それを国民に押し付けるのは、バックにいる巨大企業群がそれを望んでいるからなのである。

ところで、そうした巨大企業は誰のものか。それは、もちろん大株主のものである。その大株主とは誰か。それが、地球人口の1%の超富裕層なのである。

1%の超富裕層とは、巨大企業の所有者《オーナー》である。そうした巨大企業が現代社会の支配者であるというのは、すなわち1%の富裕層が現代社会の支配者であるというのと同義だ。

現代社会の支配者は決して国家ではなく、巨大企業を保有する1%の富裕層なのだ。それを理解してから、もう一度最初の命題に戻ってほしい。

推し進められる多文化共生。
広がっていく経済格差。

なぜ、この2つの現象が毎年毎年すさまじく苛烈になっていくのか。誰がそれを推進しているのか。なぜ推進されているのか。それは巨大企業がそれを望んでおり、その巨大企業のバッグには1%の超富裕層がいる。そういうことなのだ……。

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『亡国トラップ─多文化共生─ 隠れ移民政策が引き起こす地獄の未来(鈴木 傾城)』

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