岸田首相は2024年3月28日、X(旧Twitter)にて次のような発言をしている。
『物価と賃金の好循環を回し、新たな経済ステージに移行する上で、最大のカギは全従業員の7割の方が働く中小企業の「賃上げと稼ぐ力」の強化です。このために、様々な方策を用い、あらゆる手段を講じて、総合的・多面的な対策を全力で行ってまいります』
岸田政権が何を考えているのかというと、以下のサイクル(成長と分配の好循環)を回転させるというものだった。
・賃金をアップしたら消費がアップする。
・消費をアップしたら売上がアップする。
・売上がアップしたら賃金がアップする。
ところが、このサイクルは「回らない」可能性がある。なぜなら、賃金がアップしても岸田政権はそれ以上に収奪をしてくるからだ。
福祉を拡充するといって社会保険料を引き上げ、自然環境を守るといって森林環境税を設置して再エネ賦課金を取り、少子化対策をするといって子育て支援金を取り、とにかく消費税以外の税金をひたすら上げていくのが岸田政権なのだ。つまり、賃金をアップしても税金・社会保険料もアップして実質賃金が下がる一方である。
もうひとつ考えなければならないのは、物価上昇の積極的な肯定である。消費税を10%に据え置いても「物価を上げる」というのであれば、取られる消費税は同じ10%でも物価が上がった分だけ上がるという事実だ。
たとえば定価100円のモノを買ったら消費税は10円だが、それが物価上昇で定価200円になったらどうか。支払う消費税は20円になる。
そのため、賃金がアップしても実質賃金がアップしない環境になっているので「物価と賃金の好循環」が本当に回るのかどうか疑わしいのだ。むしろ、賃金の上昇は物価上昇に勝てずに生活が苦しくなっていく一方であることすら考えられる。
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