昭和の時代の日本企業は無個性な集団を抱え込んで企業の歯車として育てていた。しかし、平成の時代になって正社員はどんどん切り捨てられ、ルーチン作業や低レベルの仕事は非正規雇用者に置き換える流れになった。
今後、どうなるのだろうか。端的に言えば、最終的には正社員という立場も消えて、みんな個人事業主の立場になる。どこかの大企業に所属しても個人事業主の扱いになって会社は「個人の能力」にそれぞれまったく違う賃金を払うようになる。
今後は超グローバル化とインターネット至上主義の社会となる。こうした世界では組織よりも個の方が重要になる。だから、仕事と報酬は「個の能力」によって変わる。そのため、今後は別に組織に所属していようが個人だろうが関係なくなる。
昭和の時代では、組織に所属するというのは「大量生産品の歯車」になるということだった。同じ能力・同じ個性の人間が大量に集まって、それぞれは取り替えが利くパーツで、給料も横並びだったのだ。
平成の時代はそれが崩れていく社会だった。従業員を選別して、必要不可欠と思われる人材以外は非正規雇用者に入れ替えて、社会情勢に応じて「使い捨て」にする時代だったのだ。
令和の時代はまた違う動きになる。個人の能力や才能や個性を企業が利用する社会となっていき、「個」で待遇も賃金も変わっていくのである。「個」の個性や能力はバラバラなので、賃金も仕事も「個」によって判定されることになるのは当然だ。
個人も組織に深い愛着を持たなくなる。自分の個性や才能で生きていきたいと思えば、インターネットというインフラを使ってそれができる時代に入っているからだ。
インターネットでモノを売る。インターネットで広告収入を得る。インターネットで動画を配信して有名になる。インターネットで情報を売る。インターネットで労働力や才能を提供する……。
多様な「稼ぎ方」がインターネットで広がっており、もはや組織に帰属しなくてもインターネットで何とかなるようになっている。2020年代はそれが押し進められていくのである。(鈴木傾城)
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