緊縮財政が続くのであれば、「こんな社会をぶち壊したい」という怨念が噴き出す

緊縮財政が続くのであれば、「こんな社会をぶち壊したい」という怨念が噴き出す

政府は役に立たない、支持できる政党もない、社会を変えようとする勢力は封殺されている。そうれあれば「こんな社会をぶち壊したい」「狂った社会を一瞬にして崩壊させたい」と思い詰める人間が出てきても不思議ではない。そういう社会情勢になっているのである。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。まぐまぐ大賞2019、2020年2連覇で『マネーボイス賞』1位。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、投資をテーマにしたブログ「フルインベスト」を運営している。「鈴木傾城のダークネス・メルマガ編」を発行、マネーボイスにも寄稿している。(連絡先:bllackz@gmail.com)

緊縮財政というのは国民生活を劣化させるものである

これからやってくるのは「強硬派の時代」であると私は思っている。なぜなら、日本の政府官僚はいつまで経っても緊縮財政を辞めようとしないからである。

日本の財務省は長らく緊縮財政を続けてきた。緊縮財政というのは、「政府支出の削減や増税といった手段で政府の財政を均衡させる試み」と説明されているのだが、これをよく考えて欲しい。

「政府支出の削減」
「増税」

という2つの言葉が使われているのが分かるはずだ。

「政府支出の削減」というのは、何を意味しているのか。それは「公務員の人員削減」「給与カット」「社会保障水準の引き下げ」「インフラ投資の削減」「研究・教育の削減」等々である。要するに国民生活を劣化させるものである。

そして「増税」である。ここ30年近くで日本は消費税がどんどん引き上げられ、今や10%にまで達してしまった。2020年からはコロナ禍に見舞われて多くの人が経済的困窮に追い込まれているのだが、消費税は引き下げられることもない。

その他にも、タバコ税も上がっている、13年経過した古い車は自動車税が増税になる、給与所得控除の見直し、基礎控除の見直し、扶養親族などの合計所得金額用件などの見直し等々で実質的に税金が上がっている。当然、私たちの可処分所得はどんどん減ってしまい、国民生活は劣化していく。

これを見ると、緊縮財政というのは国民生活を劣化させるものであることが分かる。つまり緊縮財政とは国民生活は劣化していく政策なのである。

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緊縮財政による社会的劣化は相当なダメージを与えている

これは、多くの経済学者が10年も20年も前から指摘しているものであり、今も多くの経済学者が「何とかしろ」と叫んでいる。しかし、政府と財務省は絶対に何があっても緊縮財政をやめようとしない。

緊縮財政=国民生活の劣化

この図式を政府と財務省は30年近くも日本人に押しつけて国民生活を、社会を、個人を放置してきたのである。

だから、今の日本はGDP成長率は地を這っている。30年近くもGDPが成長しておらず、他国がどんどん成長しているのであれば、日本は「退化している」も同然である。つまり、日本は緊縮財政政策を続けることによって「途上国」になっていく。

さらに、大きな問題がある。少子高齢化の放置である。

この少子高齢化も緊縮財政による社会的劣化が生み出している。緊縮財政は「社会保障水準の引き下げ」を目的としているので弱者を助けない。「苦しくとも我慢しろ」という政策である。もっと言えば「弱者切り捨て」の政策である。

こうした政策が続いた結果、直撃をモロに受けた若者たちが、結婚しても家族を支えられないことによって結婚をあきらめてしまった。それが少子高齢化につながって、日本の活力も未来もイノベーションもすべて喪失してしまった。

イノベーションが重視される超高度情報化社会の現代において、イノベーションを喪失してしまうというのは、まさに先進国から落ちていくということでもある。

緊縮財政による社会的劣化は相当なダメージを日本という国に与えている。その結果、日本は「もはや先進国であること」が難しくなってしまうのは言うまでもない。日本は先進国ではない「普通のどうでもいい国」になり、中進国になり、社会が荒廃したら途上国にまで落ちていくこともあり得る。

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さらに緊縮財政に邁進するのではないかという恐れがある

ただし、途上国になると言っても日本人全員がまとめて明日から途上国になってしまうわけではない。日本という国は富裕層から貧困層を並べるとピラミッド型になっている。

「先進国」というレベルから「途上国」というレベルに落ちていくというのは、日本が途上国のレベルに沈んでいくという状態だ。沈んでいくということは、つまりピラミッドの底辺から沈んでいくわけである。

そうすると、ピラミッドの上部に位置する人たちはまだ先進国のレベルにあって、先進国の光景が見えているのだが、ピラミッドの下部に位置する人たち、それこそ社会のどん底《ボトム》にいる人たちは、先進国の境界線を越えて下に落ちてしまって日本は途上国にしか思えないという二極分化となる。

私に言わせると、もう社会のどん底に転がり落ちてしまった人は先進国・日本で途上国並みの生活環境にある。

こうした緊縮財政が今後も国是として続けられていくのであれば、日本という国はどんどん社会的劣化を繰り返しながら貧しい側に落ちていき、最後の最後に国全体が先進国から脱落するということになる。

政府と財務省は方向転換するだろうか。「政府支出の削減や増税を続けていると日本は駄目になる」と考えて積極財政に転換するだろうか。いや、そんな兆しはまったくない。

このままではマズいと気付いている議員や経済学者が番犬のように管政権や財務省に吠えているが、管政権はまったく聞く耳を持っていない。

それどころか、「コロナ禍で財政が痛んだので、消費税を引き上げる必要があるのではないか?」「コロナ税を取り入れる必要があるのではないか」と画策している。つまり、コロナ禍によってさらに緊縮財政に邁進するのではないかという恐れがある。

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「こんな社会をぶち壊したい」という暗い怨念

政府や財務省は緊縮財政政策に突き進むことしか考えておらず、もはや国民の痛みを理解しようとは思っていない。

日本人は耐えて、耐えて、耐え続けてきたが、もはや「耐える意味が分からない」という状態にまで追い込まれている。緊縮財政をやめて積極財政に転換すればいいだけの話なのに、政府はそれをしないというのであれば野党に期待するしかない。

ところが、である。

日本の野党はそのほとんどが左翼・反日政党である。自民党みたいな無為無策の政党を捨てて野党に鞍替えしようと思っても野党の方がもっと劣悪なのだ。

今の日本は政治界から財界から報道界から教育界まで、影響力の大きな世界はほぼ左翼に乗っ取られてしまった状況になっているので、右派政権が台頭するのは本当に難しく厳しい情勢だ。

右派政党も実は今の日本では大きな需要が生まれているのだが、マスコミが「報道しない自由」を徹底行使して隠蔽しているので、「日本国民党」や「日本第一党」等が台頭しつつあることすらも報道されない。

政府は役に立たない、支持できる政党もない、社会を変えようとする勢力は封殺されている。こうした閉塞感の中で「こんな社会をぶち壊したい」という暗い怨念が湧きあがっていく。

この怨念は日本に大きな地殻変動を引き起こしたとしても不思議ではない。間違いなく日本の未来のために社会を無理やり変えようとする動きがマグマのように噴き出し、社会は激震に見舞われていく。緊縮財政が続くのであれば、そうした激震が引き起こされても何ら不思議ではない。

書籍
『ボトム・オブ・ジャパン 日本のどん底(鈴木 傾城)』

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