「暴言ビジネス」を行う人間には、やがて何も持たない無敵の人の暴力が向かう

「暴言ビジネス」を行う人間には、やがて何も持たない無敵の人の暴力が向かう

「無敵の人」は通常は無気力であり、何もやる気がない。しかし、彼らが「暴言ビジネス」をする人間の俎上に上げられ、自分が馬鹿と罵られたり、無能力と嘲笑われるようになると、彼らの中に怒りの炎が点灯して、やがて復讐心が育っていく。そして残虐な事件が起こるだろう。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

復讐する側は自分が一番勝てる手段を使って当然

インターネットやメディアで暴言を吐きまくって売名しつつカネを儲けるビジネスモデルを取っている人間が何十人、何百人もいる。「暴言ビジネス」と呼んでもいいかもしれない。暴言を吐き、炎上させ、それによって売名してカネを儲ける。「悪名は無名に勝る」というわけだ。

こういう「暴言ビジネス」を行う人間は、人の憎しみを一身に集めるわけで、いずれは予期しないところで復讐される可能性が非常に高い。

そして、その復讐は「暴言を暴言で返される復讐」ではなく、前触れもなく肉体的に損傷を与えられるような暴力による復讐の可能性がある。しかも、その暴力は憎しみが加わっているので相当残虐なものになる。

なぜなら、「暴言ビジネス」を行う人間の被害者は、言葉や論理では負けるので肉体的に相手を直接的に傷つけるしか勝てる見込みがないからである。

「言論でやられたら言論で戦え」というのは、それこそ「暴言ビジネス」を行う人間の都合良い論理である。復讐する側は、自分が一番勝てる手段を使って当然だ。不意打ちで、ターゲットを後から刺したり撃ったり燃やしたりしたら自分でも勝てると思ったら、それを実行するだろう。

実際に、こうした暴力による復讐を行う人は今の警察の高度に発達した捜査能力から逃れることは不可能なので、かならず逮捕される。それは復讐を行う人間側もよく理解している。

だから、「暴言ビジネス」に暴力的な復讐を行う人間は、どのみち娑婆で生きていてもロクな人生を送れないと思って逮捕を覚悟した人間か、もしくは「奴を殺して自分も死ぬ」タイプの人間が行うことになる。

こういう人は、つまり社会でまったく評価されず、何も得ることができず、上から嘲笑されたり罵倒されたりしている「何も持たない人」である可能性が高い。ひとことで言うと「無敵の人」である。

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繰り返し脳裏でシミュレーションされて具体化する

「無敵の人」は、社会的に何も持たないがゆえに、自分が逮捕されようがどうでもいい。死んでしまってもいいとさえ思っている。これからどんな社会的制裁を食らっても、失うものは何もない。だから、「無敵」なのである。

この「無敵の人」は通常は無気力であり、何もやる気がない。自分は何も成し遂げられないと考えていて、無為無策に生きている。あるいは自暴自棄に生きている。社会の底辺で人知れず静かに沈澱するかのように暮らしている。

彼らが社会でスポットライトを浴びる瞬間はない。

しかし、彼らが「暴言ビジネス」をする人間の標的になって、自分が「馬鹿」と罵られたり「無能力」と嘲笑われると、彼らの中に怒りの炎が点灯して、その怒りが皮肉なことに「復讐という生きる目標」を与えることになる。

怒りを収めるには「忘れるか、あきらめるか、のし上がるか」しかない。しかし、数十万人に1人くらいの確率かもしれないが、ある無敵の人は「激しい怒り」によってそのどれでもない選択を選ぼうとすることがある。その選択こそが「復讐」である。

暴言ビジネスで、自分を馬鹿だとか無能力だとかネットやマスコミで嘲笑している人間に対して明確な復讐心を抱き、どうやって痛めつけるのかを考えるようになっていくのだ。

最初は、他愛のない妄想だったかもしれない。しかし、それは繰り返し脳裏でシミュレーションされることによって具体化していき、計画性を帯びるようになっていき、やがてただの妄想では終わらなくなる。

言うまでもないが、この復讐心というのは感情に根ざしたものであり、理性や合理性ではとめることができない。

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暴力事件が起こる土壌が形成されている

ネットやメディアで「暴言ビジネス」をする人間は、暴言で売名してカネを儲けるのだから、暴言は恒常的である。そのため、あちこちに暴言の被害者を作る。復讐心を抱いた無敵の人にとっては、それも復讐心を強めるものとなる。

なぜなら、あちこちに暴言の被害者が生まれることによって、自分の復讐は「社会のためになる」という思いが湧くからだ。暴言の矛先が自分ではなかったとしても、復讐心を投下させるエネルギーとなっていくのである。

「暴言を吐いて売名しながら儲ける」という仕組みは、ここ10年くらいでネットが広がることによって確立されるようになったビジネスである。したがって、被害者の怨念が蓄積されて爆発するのには、まだ時間がかかるかもしれない。

しかし、暴言ビジネスをする人間が大きな肉体的損傷を負ったり、惨殺されるような事件が「次々と起こる」のは避けられないだろう。実際、そういう感情をSNSで吐露する人たちが増えている。中には感情的に危険なレベルに達しているのではないかと思う人も見る。

徐々に徐々に、暴力事件が起こる土壌が形成されている。この流れが止まらないのであれば、間違いなく暴言を吐いて売名しながら儲けている人間の誰かが犠牲になってもおかしくない。予期しないときに、忘れた頃にやられる。

実際問題として、暴言ビジネスをしてカネを稼いでいる人間の中には、すでに無敵の人にロックオンされている人もいるはずだ。

どういう暴力がいつどこで起こるのかは誰にも分からないのだが、誰が惨殺されてもおかしくないような社会的情勢になりつつあるというのは理解しておいたほうがいいように思う。そういう事件が起きたら世間は驚くだろうが、私は驚かない。

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「奴らをやることによって復讐が遂げられる」

日本では貧困と格差がとめどなく広がっており、何も持たない「無敵の人」は増えている。さらに言えば、30年も日本を成長させることができない愚鈍な政治家たちによって中流階級から貧困側の階層に落ちていく人たちも多い。

一方で、現代社会をたくみに泳いで成り上がっていく人間も増えている。その人間たちが自分たちの富をひけひらかし、貧困層を見下して優越感に浸る。ネットやメディアで暴言を吐いて炎上させてはカネを稼ぐ。

格差が鮮明になって、成り上がった人間が貧困層を見下すのだから、社会が荒廃して当然なのである。荒廃した社会で「無敵の人」は激しいストレスを感じ、鬱屈した気持ちを抱くのだが、どうすることもできないまま流されて生きている。

しかし、膨大な貧困層の中でほんの一欠片のひとりが、自分たちを公然と嘲笑する存在に対して憎悪を抱くようになって、それを暴力によって呼応するようになっていく。

まだ、多くの「無敵の人」は自分がそれを成し遂げられるとは思っていない。自分たちを嘲笑う人間たちに復讐をぶつけることができるとは思っていない。

しかし、彼らの中にも確固たる意志で復讐をやり遂げようとする目的遂行型の人間が、いずれ出てくる。貧困層が増えれば増えるほど、さまざまな特性を持った「無敵の人」が出てくる。

そして、誰かが暴言ビジネスをしている人間に復讐を遂げたとき「そうか、奴らをやることによって復讐が遂げられるのか」と気づきだして、やがては暴言ビジネスをする人間が多くの人間たちの標的となって犠牲になる。

社会の底辺から、上から目線で名もない人たち、貧しい人たちを馬鹿だとか言って嘲笑している人間を暴力で叩きのめす人間が出てくる。一種の「下剋上」である。社会の片隅でどうにもならない状態で生きている人間が爆発すると、恐ろしいことになる。

何かが起こる。それは時間の問題だ。

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