社会は経済格差で分断され、格差が広がる日本も荒れた社会になっていくだろう

社会は経済格差で分断され、格差が広がる日本も荒れた社会になっていくだろう

厳しい社会が到来した。大半が経済ピラミッドの下に落ち、一部の少数の成功者だけが上にいく。社会は経済格差で分断され、富裕層は富裕層の世界、貧困層は貧困層の世界で生きることになる。世襲で金持ちは世代を超えて富を拡大し、貧困層は貧困で固定化されるのだ。(鈴木傾城)


プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)

作家、アルファブロガー。著書は『ボトム・オブ・ジャパン』など多数。政治・経済分野を取りあげたブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営、2019、2020、2022年、マネーボイス賞1位。 連絡先 : bllackz@gmail.com

相対的貧困層の生活はより深刻なものになっていく

総務省統計局によると、2023年10月時点で、就業者数は6771万人だった。正規の職員・従業員数は3611万人で前年同月に比べ3万人の減少、逆に非正規の職員・従業員数は2140万人で24万人の増加だった。

相変わらず、非正規雇用者が増えている。単純に言えば、働いている人の約31%は非正規労働者である。2023年の厚生労働省の調査では、正社員全体の平均年収は「328.0万円」で、非正規社員の平均年収は「221.3万円」であった。

221万円というのは、月収にすると約18万円となる。ちなみに、非正規社員の女性は年収198.9万円なので、これよりも低く16.6万円となる。生活できない金額ではないが、かなりギリギリの生活を強いられているはずだ。

すべての世帯人員を、等価可処分所得の少ない順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する者の金額のことを「等価可処分所得の中央値」と呼ぶ。2021年のデータでは、その金額は約254万円。

この254万円の半分の値である127万円以下を、日本では「相対的貧困」と呼ぶ。2021年の日本の相対的貧困率は15.4%である。これは日本人口の6人に1人が相対的貧困であることを意味する。

コロナ禍を経て、2023年は物価上昇に明け暮れた年だった。さらに日本では2023年12月現在、実質賃金は19か月連続のマイナスなので、相対的貧困層はもっと増えているのではないか。

そして、2024年はもっと国民の負担率は上がっていくので、相対的貧困層の生活はより深刻なものになっていくことが予測される。

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金融資産を保有できる富裕層は恩恵を得ている

しかし、日本人が全員まとめて苦境に落ちているのかと言えば、まったくそうではないことに注意する必要がある。富裕層は2013年以降、株価上昇によって資産を増やしている。貧困層も増えているのだが、同時に富裕層も増えている。

日本社会の経済情勢はこの10年で悪化しているのだが、日本の株式市場の推移を見たら別の光景がある。アベノミクス以後「株価は上がっている」のである。金融資産を保有できる富裕層はその恩恵を着実に得た。

一方で、株価上昇の恩恵などまったく受けていない低賃金層は、この10年近くで増税に苦しみ、国民負担率の上昇に苦しみ、コロナ禍に苦しみ、物価上昇に苦しみ、実質賃金の低下に苦しんでいる。

金融資産がないので、資本主義の恩恵をまったく受けないでツケを払わされているだけなのだ。いくら、金融リテラシーがあっても元手がなければ為す術がない。彼らは上昇していく株価を見つめながら、指をくわえて見てるしかなかった。

一時期は日本でもトリクルダウン理論が喧伝されることもあった。トリクルダウン理論とは「富裕層が豊かになれば、その富が低所得層にも徐々に浸透し、経済全体が良くなる」とする理論である。

2000年代以後のの自民党の政策も、ある意味トリクルダウンを意図して最初に富裕層を金融緩和で増やそうという意図があったかもしれない。

1. 金融緩和で最初に企業や富裕層を助ける。
2. 富裕層が消費し、企業が低所得層を雇う。
3. 最終的に景気が好循環する。

しかし、その思惑通りにはなっていない。富裕層は貯め込み、企業は慎重姿勢を崩さず正社員を雇わず、非正規雇用は景気が悪化するたびに「景気の調整弁」として真っ先に切り捨てられて貧困化していったからだ。

トリクルダウン理論は、経済成長の実現に向けた一つの考え方だが、その効果は依然として見えてない。

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格差が極度に広がっていくのは、ほぼ確定した

政治家は日本を30年も成長させることができなかった。国民の可処分所得は1997年あたりを頂点にして、以後はずっと下がっている。

2020年に入ってさすがに可処分所得は上がっていくかに見えたが、自民党は馬鹿げたことに消費税を5%から8%に、8%から10%にと引き上げて景気を破壊した。

2020年からはコロナ禍でダメージを受け、それがようやく終わりかけたら今度は物価上昇でダメージを深めた。それでも日本政府は消費税を引き下げることはなかったので、低所得層は四苦八苦するばかりとなった。

岸田政権も国民負担を次々に引き上げる政策を推し進めているので、「増税メガネ」と吐き捨てられるようにもなってしまっている。政権の支持率も20%を切って転がり落ちた。

今後、日本経済に何らかの奇跡が起きて好循環になる可能性はゼロだとは言わないが、政治の混迷と無策は続くので、むしろ日本はもっと経済環境が悪化して低所得層が苦しむことになるのではないか。

しかし、富裕層はどうか。富裕層はこれからも恩恵を受けやすい環境にある。

今後、物価が上昇するということは、名目で売上が立つ企業は好決算を生み出しやすい環境になるので、株価は上昇しやすいと見ることができる。ということは、金融資産を持つ富裕層が大きな恩恵を受ける。

皮肉なことに、政治が無策であれば物価の上昇は抑えられないので、企業は値上げしやすい環境になって売上が上がる。売上が上がると決算に反映されて、決算が良いと株価が上がる。そして、富裕層は儲かる。

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格差が広がる日本も荒れた社会になっていくだろう

中間層はどうか。中間層も厳しい社会になるだろう。もうすでに日本は弱肉強食の資本主義へと変わっている。

大学を卒業して、どこかの企業に就職し、そこで大過なく過ごしていればエレベータにでも乗っているように、出世して賃金が上がるような時代はとっくの前に終わった。

昭和の時代では、企業にとって「従業員は家族」だったかもしれないが、今の企業にとっては「従業員はコスト」でしかない。だから、ほぼすべての企業は、あの手この手で従業員の賃金を引き下げや効率化による従業員の切り捨てを画策する。

従業員の非正規雇用化も、ブラック企業の登場も、ワンオペも、成果主義・実力主義も、黒字リストラ(業績が良いときに企業組織を再構築するため実施するリストラ)も、その正体はコストを削減して内部留保を増やすための方策である。

つまり、従業員はいつでも企業の都合で切り捨てられる時代が来ているのであり、「会社の従業員になる」のは割に合わない生き方となるのだ。社会を構成する中間層の多くは「会社の従業員」である。だから、中間層も厳しい社会になるのだ。

「社員の切り捨て」は今後も延々と続けられ、それが当たり前になる。だから、中間層も生き残りのために向上していかないと、いつでも見捨てられて社会のどん底に叩き落とされることになってしまう。

いろんな意味で厳しい社会が到来し、大半が経済ピラミッドの下に落ち、一部の少数の成功者だけが上にいく。そのため、これからは格差が極限まで広がっていくのは、ほぼ確定した。それが日本の未来なのだ。

社会は経済格差で分断され、富裕層は富裕層の世界、貧困層は貧困層の世界で生きることになる。世襲で金持ちは世代を超えて富を拡大し、貧困層は貧困で固定化される。富裕層はSNSで富を誇示し、貧困層を嘲笑するので、貧困層の間でルサンチマンが広がっていき、犯罪も増加していく。

私の書籍『病み、闇。ゾンビになる若者、ジョーカーになる若者』でも書いたが、貧困層が貧困層を襲う事件も増えるが、金持ちや政治家を狙う事件も出てくる。日本も荒れた社会になっていくだろう。

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